MWO(旧POLO)申請書類の全貌!フィリピン人雇用に必要な書類から手続きまで徹底解説

フィリピンから優秀な人材を雇用しようとする企業にとって、MWO (Migrant Workers Office) 申請は避けて通れない重要な手続きです。
以前はPOLO (Philippine Overseas Labor Office) と呼ばれていたこの機関への申請は、フィリピン人労働者の権利を守り、適正な就労を促すためにフィリピン政府が定めた制度です。
しかし、その申請手続きや必要書類の複雑さから、多くの企業担当者様が頭を悩ませているのではないでしょうか。
この記事では申請書類の準備から手続きの流れ、注意点など、MWO申請に必要な書類に関して担当者が知っておくべき情報をまとめました。
フィリピン人人材を自社に受け入れるために、ぜひ参考にしてください。
MWO申請の基本知識

まず始めにMWOが果たす役割や対象となる在留資格など、MWO申請の基礎的な知識について解説します。
MWO (旧POLO) の役割と管轄
MWOは、フィリピンの海外労働省 (DMW/Department of Migrant Workers) の海外出先機関として、フィリピン国外で働くフィリピン人労働者の権利保護や福祉の向上を目的としています。
日本国内にはMWO東京とMWO大阪の2つの事務所があり、それぞれ担当する地域が決まっています。
基本的には東日本の企業はMWO東京へ、西日本の企業はMWO大阪へと、企業の所在地に応じて管轄するMWO事務所に申請を行う必要があります。
フィリピン人労働者が公正な労働条件で働けるよう、雇用契約の内容確認や企業の審査を行うのが、MWOの役割です。
MWOへの申請は単なる手続きではなく、フィリピン人労働者と雇用主である日本の企業の双方にとって、健全な雇用関係を築くための重要なプロセスなのです。


MWO申請の対象となる在留資格
原則として、フィリピン国籍の方が日本で就労を目的として新規に渡航する場合では、MWOへの登録と承認が求められます。
以下のような在留資格(ビザ)で渡航・就労する場合、MWOの認証が必要となります。
- 特定技能
- 技術・人文知識・国際業務 (技人国)
- 技能実習 (一部、監理団体を通じて手続きが行われる場合があります)
- 高度専門職
- 経営・管理
- 介護
- 特定活動 (例: 日本人配偶者等との離婚後、定住者への変更が認められない場合など、就労が認められるケース)
- その他、就労目的での在留資格取得時
一方で永住者やその配偶者、定住者などの在留資格を有する場合は、MWO申請が不要なことがあります。
実際の要否は、在留資格の種類と採用・雇用の形態(国内転職か、海外からの新規雇用か)に依存するため、自社で採用予定のフィリピン人材のケースごとに、MWOへ事前確認することが推奨されます。
MWO申請手続きの全体の流れ

MWO申請の基礎的な点が理解できたところで、MWO申請を開始してから承認を得るまでの具体的な流れとポイントについて説明します。
全体の流れを把握することで、計画的な申請準備が整えられるでしょう。
ステップ1: 求人情報の登録と確認
フィリピンから人材を募集する際には、原則としてDMWの認定を受けた送出機関 (PRA/Philippine Recruitment Agency) を通じて求人を行うことになります。
この際、日本の企業は送出機関と契約(Recruitment Agreement)を締結してMWOの認証を受けます(かつては「POEA / Philippine Overseas Employment Administration」がこの業務を行っていましたが、2022年2月に解散し、海外就労に関する業務はすべてDMWに統合されました)。
送出機関の選定は非常に重要なステップです。
信頼できる機関を選ぶことが、スムーズな手続きの鍵となります。
ステップ2: 必要書類の準備と認証
MWO申請で最も重要なのが、必要書類の準備です。
多くの書類は英語での作成または翻訳が求められ、一部の書類については公証役場や外務省、駐日フィリピン大使館領事部(または各総領事館)での認証が必要となる場合があります。
書類の準備には多くの時間と手間がかかります。
早めにリストアップし、計画的に進めましょう。
ステップ3: MWOへの申請書類提出
準備した申請書類一式を、管轄のMWO(東京または大阪)に提出します。
資料は全て郵送で申請となります。
MWO東京のオフィシャルWebサイトに、フィリピン政府が提供する公式なテンプレート(ひな形)が用意されています。
提出前に、書類に不備がないか、最新の様式を使用しているかなどを入念に確認しましょう。

ステップ4: MWOによる審査
提出された書類は、MWOの担当官によって詳細に審査されます。
審査では、雇用契約の内容、企業の経営状況などが確認されます。
審査の過程で、追加書類の提出や面接が求められることもあります。
審査期間は申請の混雑状況や書類の内容によって変動します。
MWOからの連絡には迅速に対応できるように準備しておきましょう。
ステップ5: 承認とOEC (海外就労許可証) 取得
審査が無事に完了し、承認されると、MWOから許可証が交付されます。その許可証をフィリピンの送出機関に郵送します。
送出機関は現地のDMWにOEC (Overseas Employment Certificate/海外就労許可証) の申請を行います。発行されたOECをフィリピン人労働者が受け取れば、フィリピンを出国できる用意が整ったことになります。
OECはフィリピンからの出国時や、一時的に帰国した後に再び日本に就労目的で入国する際にも必要な重要な証明書です。
労働者がスムーズに取得できるよう、送出機関と連携して支援しましょう。
申請にかかるおおよその期間と注意点
MWO申請にかかる期間は、書類の準備状況、審査の混雑具合、送出機関との連携の度合いなど、多くの要因によって変動します。
具体的にはMWOが申請を受理後、15営業日以内に返事が来ることになっています。申請に不備がなければ良いのですが、修正や追加書類の提出を求められることが多い。再提出後、さらに返事が届くのに15営業日ほどかかるため、早くても数週間、やり取りが長引けば数ヶ月かかることもありえます。
そのためMWO申請には、余裕をもたせたスケジュールを立てることが肝要です。
申請書類に不備があると審査が大幅に遅れたり、最悪の場合は不許可となったりする可能性があります。
また、MWOの制度や必要書類は予告なく変更されることがあるため、常に最新情報を確認するよう心がけましょう。

MWO申請の必要書類一覧と作成ガイド

日本企業がフィリピン人労働者を雇用・就労させるために、MWO申請で準備すべき書類はMWO東京ならびにMWO大阪のwebサイトに掲載されています。
必要書類は在留資格の種類(技能実習・特定技能・技術・人文知識・国際業務など)によっても異なるため、必ず下記のウェブサイトで必要書類を確認なさって下さい。
MWO東京公式ウェブサイト
MWO大阪公式ウェブサイト
MWOでの申請をスムーズに進めるためには、これらの書類を正確かつ網羅的に準備することが鍵となります。
MWO申請書類作成における注意点

MWO申請のために必要な書類の作成における注意点をまとめました。
提出書類に関する共通の注意点
MWO申請で提出する書類には、いくつかの共通した注意点があります。
書類の再提出や審査の遅延を避けるためにも、細心の注意を払って下さい。
言語
多くの書類は英語で作成するか、公式な英語翻訳を添付する必要があります。
翻訳した書類には翻訳家の署名が必要なため、不安な場合には専門家の助けを得ることをおすすめします。
認証 (Authentication / Apostille)
MWO申請に必要な書類の中には、日本国内で発行された公的書類や契約書などに対して、正式な認証手続きが求められるものがあります。
これにより、提出先であるフィリピン当局がその書類の真正性を確認できるようになります。
日本とフィリピンはハーグ条約加盟国のため、対象となる書類は日本外務省でアポスティーユの付与を受けることで大使館での認証を省略できる場合があります。
ただしMWO申請ではアポスティーユではなく、大使館による認証を得た書類を求められることもあります。
書類 | アポスティーユ可 | 駐日フィリピン大使館認証必須 | 備考 |
---|---|---|---|
雇用契約書 (Employment Contract) | × | ◎ | ・フィリピンDMW/MWOまたは大使館認証を要求 |
求人契約書 (Recruitment Agreement) | × | ◎ | ・送出機関との契約書は大使館認証必須 |
宣誓供述書 (Affidavit of Undertaking) | × | ◎ | ・フィリピン側での法的効力のため大使館認証 |
会社の登記簿謄本(商業登記簿) | ◎ | × | ・日本の法務局発行、外務省アポスティーユ可 |
卒業証明書、成績証明書 | ◎ | 場合により必要 | ・学校発行の外国文書はアポスティーユか大使館認証を要確認 |
資格証明書、免許証 | ◎ | 場合により必要 | ・職種により異なるため事前確認推奨 |
健康診断書 (Medical Certificate) | ◎ | × | ・医療機関発行書類は外務省アポスティーユ対応可 |
パスポートコピー | 不要 | 不要 | ・提出はコピーでよく、認証不要 |
無犯罪証明書 | フィリピン国内発行 | 不要 | ・フィリピン発行書類のため認証不要 |
労働条件通知書 | ◎ | × | ・企業発行書類はアポスティーユ対応可能な場合多い |
書類の準備は煩雑ですが、一つ一つの書類が持つ意味を理解し、丁寧に進めることがMWO申請成功の鍵です。
不明な点があれば、自己判断せずにMWOや行政書士などの専門家に相談することをお勧めします。
内部監査の重要性と実施方法
申請書類の最終チェックをより確実なものにするためには、企業内での内部監査の実施をお勧めします。
内部監査は、書類のミスや不備を客観的な視点から発見し、申請の成功率を高めるための有効な手段です。
複数人でのダブルチェック体制
書類を作成した担当者だけでなく、別の担当者(できればMWO申請の知識がある、または細かなチェックが得意な者)がクロスチェックを行います。
異なる視点から見ることで、作成者が見落としたミスを発見しやすくなります。
過去の申請事例との比較 (該当する場合)
過去にMWO申請を行った経験がある企業であれば、その時の書類や経験を参考に、今回の申請書類に問題がないか比較検討します。
ただし、制度が変更されている可能性もあるため、過去の事例が必ずしも現在の基準に合致するとは限りません。
必ず最新の情報を確認してください。
チェックリストの活用
申請書類に関するチェックリストを作成し、項目ごとに一つずつ丁寧に確認を行います。
確認した項目にはチェックを入れ、確認漏れが生じないよう、十分に注意しましょう。
MWO申請をスムーズに進めるためのサポート活用

MWO申請は、書類の多さや手続きの複雑さから、多くの企業にとって負担の大きい業務です。
煩雑なMWO申請を効率的に進めるために、専門家によるサポートを受けることを積極的に検討しましょう。
専門家によるサポートのメリット
- 専門知識と経験
-
最新の制度情報や過去の事例に基づき、的確なアドバイスを受けられます。
- 書類作成代行・チェック
-
煩雑な申請書類の作成を代行してもらえたり、作成した書類の不備をチェックしてもらえたりすることで、時間と労力を大幅に削減できます。
- 申請代行
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MWOへの書類提出や、その後のやり取りを代行してもらえる場合もあります。
- 不許可リスクの低減
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専門家のノウハウを活用することで、書類の不備による審査の遅延や不許可のリスクを軽減できます。
- 時間的・精神的負担の軽減
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複雑な手続きを専門家に任せることで、担当者は本来の業務に集中でき、精神的な負担も軽くなります。
専門家の選び方
MWO申請の取り扱い実績が豊富かどうかを確認します。
フィリピン人の雇用や在留資格申請に特化している専門家であれば、より深い知識と経験が期待できます。
サービス内容と費用が明確に提示されているか確認します。
何が含まれていて、何が別途費用となるのかを事前に把握しておくことが大切です。
相談しやすく、親身に対応してくれる専門家を選びましょう。
相性も重要です。
他の企業からの紹介や、インターネット上の口コミなども参考にすると良いでしょう。
「MWO申請サポート」では面倒なMWO申請を代行しています。
MWO申請への実績も十分、かつやり取りは全て日本語なので、担当者も安心して申請手続きを進められるでしょう。
MWO申請に関するよくある質問 (FAQ)

最後に、MWO申請に関して企業担当者から寄せられることの多い質問とその回答をまとめました。疑問点の解消にお役立てください。
- MWO申請の費用はどのくらいかかりますか?
-
MWO申請自体にかかる直接的な手数料は、MWO(東京・大阪)によって定められており、ウェブサイトなどで公表されています。
書類の認証費用(公証役場、外務省、フィリピン大使館など)や、翻訳費用、行政書士などの専門家に依頼する場合はその報酬などが別途必要になります。
また、フィリピンの送出機関を利用する場合は、その手数料も発生します。
総額としては、申請内容や依頼する範囲によって大きく変動するため、事前に見積もりを取ることをお勧めします。
- 雇用契約書は英語で作成する必要がありますか?翻訳の注意点は?
-
はい、雇用契約書は英語で作成するか、日本語で作成した後に公式な英語翻訳を添付する必要があります。
MWOは英語の書類を正として審査を行います。翻訳については、単に単語を置き換えるだけでなく、法的な意味合いやニュアンスが正確に伝わる質の高い翻訳が求められます。
必要であれば、法律文書の翻訳経験が豊富なプロの翻訳会社に依頼するか、行政書士などの専門家に相談して作成・チェックを行うことを推奨します。
特に給与、労働時間、休暇、解雇条件などの重要な項目は、フィリピンの労働法規にも配慮した表現が必要です。
- 特定技能以外の在留資格でもMWO申請は必要ですか?
-
はい、原則としてフィリピン国籍の方が日本で就労する場合、特定技能だけでなく、技術・人文知識・国際業務(技人国)、技能実習、高度専門職、経営・管理など、多くの在留資格でMWO申請が必要となります。
ただし、永住者や日本人の配偶者等といった一部の在留資格では不要な場合があります。
個別のケースについては、必ず事前にMWOまたは専門家に確認してください。
- MWO東京と大阪で手続きに違いはありますか?
-
MWO東京とMWO大阪は、どちらもフィリピンDMWの日本における出先機関であり、基本的な申請手続きや審査基準は共通です。
しかし、管轄地域が明確に分かれており(企業の所在地によって決まります)、細かな運用ルールや提出書類の様式、ウェブサイトの情報提供の仕方などに若干の違いが見られる場合があります。
必ず自社の管轄事務所の最新情報を確認し、指示に従って手続きを行うようにしてください。
- OECとは何ですか?いつどのように取得しますか?
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OEC (Overseas Employment Certificate) は、フィリピン人海外労働者 (OFW) がフィリピンから出国して海外で就労するために必要な許可証です。
これは、フィリピン政府が自国民の海外就労を管理し、保護するための重要な制度です。
MWOの承認を得た後、送出機関がフィリピン国内のDMWへOECを申請し、取得します。
OECはフィリピン人労働者が出国時に、空港で提示が必要です。
MWO申請書類|まとめ

MWO申請は、フィリピン人の優秀な人材を日本で雇用し、共に成長していくために不可欠な手続きです。
本記事では、MWO申請の基本的な点から必要書類とその注意点、MWO申請をスムーズに進めるために専門家のサポートを得ることのメリットについて解説しました。
フィリピン人労働者は、多くの日本の企業にとって貴重な戦力となり得ます。
MWO申請というハードルを乗り越え、彼らが安心して日本でその能力を発揮できる環境を整えることは、企業の持続的な発展にも繋がるでしょう。
MWOの申請は非常に複雑で面倒でもあるため、専門的なサポートを得ることが何よりも大切です。
MWO申請サポートでは、企業の皆様がフィリピン人労働者の雇用をスムーズに進めるための様々なお手伝いを行っています。
必要なサポートを得ながらMWO申請を成功させて、自社に必要なフィリピン人労働者を雇用してください。