【企業担当者向け】フィリピン人の日本入国ビザ(査証)完全ガイド:短期滞在から就労ビザまで最新情報

フィリピン人 日本入国 ビザ

近年、多くの日本企業が優秀な人材を求め、フィリピン人の採用に注目しています。

そうした状況の中でフィリピン人を日本に招へいし雇用するには、就労可能な在留資格(いわゆるビザ)の取得が不可欠です。

しかしこの手続きは複雑で、書類の準備や審査に時間と労力を要するため、企業の採用担当者にとって大きな負担となることも少なくありません。 

本記事では、フィリピン人を採用する企業の担当者様に向けて、日本入国のためのビザの種類、申請書の手続きや具体的な方法、必要書類、審査のポイントや注意点まで、必要な情報を一覧かつ分かりやすく解説します

ぜひ、参考にしてください。

目次

入国に必須!フィリピン人のためのビザ基本知識

パスポートに押されたスタンプ

外国人が日本で就労するためには、日本入国のために適切なビザ(査証)を取得する必要があります。

そのため企業がフィリピン人を採用するにあたっては、どのビザを取得すべきかを正しく理解することが、その第一歩となります。

ビザとは? 

VISAの文字が押されたスタンプ

ビザ(査証)とは、外国人が日本に入国するために必要な推薦状のようなものです。

外国人が日本の空港や港で入国審査を受ける際に、その活動が日本の在留資格制度に適合していることを示すものです

ビザは在外の日本大使館や領事事務所で発給され、パスポートに貼付されます。

このビザを取得することで日本への渡航が可能となり、入国審査を経て初めて在留資格が与えられ、日本での滞在が許可されます。

企業がフィリピン人を招へいする際には、この査証手続きを避けて通ることはできません。

ビザと在留資格の違い

外国人を採用する際、よく混同されがちなのが「ビザ」と「在留資格」という2つの用語です。

どちらも外国人が日本で働くために必要なものですが、実は役割が異なります。

「ビザ(査証)」とは上で説明した通り、外国人が日本に入国する前に、在外の日本大使館や領事事務所で発給されるもので、日本への入国を申請する際の推薦状のような役割を果たします

これがあることで初めて日本への渡航が可能になります。

一方、「在留資格」とは、外国人が日本に入国した後に、どのような活動(例:就労、留学、家族・親族との同居など)を行うかを法的に定めるもので、日本国内での滞在や活動を許可する“活動許可証”のようなものです

つまり、ビザは「入国のため」、在留資格は「滞在・活動のため」に必要なものと考えると分かりやすいでしょう。

フィリピン人が日本に入国する際にビザが必要な理由

日本政府と査証免除の協定を結んでいる国・地域の人は、日本にノービザ(ビザ免除)で入国できます。

しかしノービザでの入国は観光目的等の短期滞在目的に限られるため、就労目的で日本に入国する人は適切なビザを取得しなければなりません。

フィリピン国籍の人はそもそもノービザで日本に入国できませんし、就労目的の場合は当然ながらそれに見合ったビザを取得する必要があります

【目的別】フィリピン人の入国ケースとビザの種類

フィリピン人の入国をイメージした空港

フィリピン人が日本に入国する際の具体的な目的別に、どのような種類のビザが必要となるのでしょうか。

ここからは、短期的な商用目的での招へいや、本格的な就労を目的とした採用など、各ケースに応じたビザ選択のポイントと、それに伴う申請書類の概要を説明します。

企業担当者は、自社の採用計画やフィリピン人との関わり方に応じて、最適なビザ情報を把握してください。

短期商用ビザ(90日以内)

短期商用ビザは、外国人が日本で短期間のビジネス活動を行うためのビザです

商談や打ち合わせ、契約締結、展示会やセミナーへの参加、工場視察などが主な対象となり、最長90日間の滞在が認められます。

短期滞在ビザでフィリピン人を招く場合は、企業が身元保証に関しても責任を持つことになります。

注意すべき点として、このビザは「短期の商用活動」に限定されており、日本国内での報酬を伴う就労や作業は認められていません。

つまり、実際に働くのではなく、あくまでビジネス上の連絡や交渉、調査などにとどまる必要があります

申請には、招へい状や滞在予定表、在職証明書などの書類が必要であり、企業側が準備すべき書類も多くあります。

滞在日数は15日、30日、90日(3か月)のいずれかで許可されるのが一般的です。

フィリピンをはじめとするビザ免除対象外の国からの招へいでは、こうした短期商用ビザの取得が欠かせません。

就労ビザ:フィリピン人を社員として採用する場合

フィリピン人を日本企業が雇用し、その業務に従事してもらうためには、就労が可能な在留資格に対応するビザを取得する必要があります。

これは日本で報酬を得て働くために必須の手続きです。

代表的な就労ビザの概要

フィリピン人の方が取得する可能性のある代表的な就労ビザには以下のようなものがあります。

技術・人文知識・国際業務

理学や工学などの自然科学分野、法律学、経済学、社会学などの人文科学分野に関する専門的な知識・技術を要する業務、または外国の文化的背景に基づいた思考・感受性を活かす業務に従事する場合に適用されます。

【具体的な職種】

  • エンジニア
  • 翻訳・通訳
  • 語学教師(※業務内容によっては「教育」ビザに該当することもあります)
  • デザイナー
  • マーケティング担当者 など

申請には、通常、関連分野の大学卒業(学士号)または一定年数の実務経験(一般には10年以上、一部職種では3年以上)が求められます。

技能

技能の在留資格は、産業上の特殊な分野において、熟練を要する技能を用いた業務に従事する外国人に適用されます。

【該当職種】

  • 外国料理の調理師
  • スポーツ指導者
  • パイロット
  • 伝統工芸職人(貴金属・木工・石工など)

学歴ではなく、長年の実務経験と技能の熟練度が重要視され、通常は10年以上の経験が求められます(職種により例外あり)。

特定技能

特定技能は、2019年に創設された比較的新しい在留資格で、日本における深刻な人手不足に対応するために導入されました。

【対象分野】

介護、建設、農業、外食業などを含む14の特定産業分野で、相当程度の知識または経験を要する業務に従事する場合に適用されます。

フィリピンはこの制度に関する二国間協定を日本と締結しており、特定技能1号で在留する外国人の中でもフィリピン人は上位の人数を占めています。

その他の就労ビザ

上記以外にも、「企業内転勤」「興行」「高度専門職」など、活動内容に応じた様々な就労ビザが存在します。

採用するフィリピン人の学歴、職歴、そして日本で従事する予定の業務内容に応じて、適切な在留資格を選択することが重要です。

身分・地位に基づくビザ – 日本人の配偶者等

日本人と結婚しているフィリピン人配偶者やその子、または永住者の配偶者・子といった特定の身分や地位を有するフィリピン人の方は、「日本人の配偶者等」「永住者の配偶者等」「定住者」などの在留資格を取得することができます

これらの在留資格は、原則として日本国内での就労に制限がなく、職種や就労形態に関係なく働くことが可能です。

そのため、企業がこうした在留資格を持つフィリピン人を採用する場合、新たに就労ビザを取得する必要はありません。

ただし、在留カードで資格の種類・在留期間・就労制限の有無を必ず確認することが重要です。これにより、採用手続きが大幅に簡素化されることが多く、実務上も非常に有利な条件となります。

このビザ取得のためには、関係性を証明するために婚姻証明書や出生証明書などが必要となる場合があります。

写真も含め、必要書類をしっかりと揃えることが肝要です。

就労ビザ申請の基本的な流れと企業側の準備

書類と署名箇所を記したタグ

就労ビザを取得するための一般的な流れは、以下のようになっています。

STEP
企業が必要書類を準備する
  • 雇用契約書や労働条件通知書を作成する
  • 会社の登記事項証明書や決算書など財務関連書類を用意する
  • 採用予定のフィリピン人の職務内容や採用理由を説明する文書を作成する
  • 対象者の名簿や情報をまとめたリストも効果的
STEP
在留資格認定証明書(COE)の申請を行う
  • 企業が日本の出入国在留管理庁へCOE交付申請を代理で行う
  • 書類を整えた上で申請し、審査を待つ
STEP
COEの交付を受ける
  1. 出入国在留管理庁からCOEが発行される(この証明書は日本での活動が認められていることの証明になる)
STEP
フィリピン人本人がビザを申請する
  1. フィリピン国内の日本大使館または領事事務所へ行く
  2. COEを添えてビザ申請手続きを行う
STEP
ビザの発給を待つ
  1. ビザ申請の審査を受ける
  2. ビザが発給されると、日本への渡航が可能になる
STEP
日本で入国手続きを行う
  1. 日本到着時に空港で入国審査を受ける
  2. 問題がなければ日本での就労・滞在が許可される

このようなステップを経て、ビザの取得・日本での就労が可能となります。

在留資格認定証明書(COE)の申請

就労ビザを取得する上で最も重要なステップの一つが、在留資格認定証明書(COE)の申請です。

外国人を日本で就労させるためには、まず在留資格認定証明書(COE: Certificate of Eligibility)の取得が必要です。

COEは、外国人が日本で行おうとする活動が、出入国管理及び難民認定法に定められた在留資格に該当することを証明する文書であり、ビザ申請や入国審査を円滑に進めるために重要です

COE取得に必要な書類は在留資格によって異なりますし、しばしば変更がなされるため、必ず出入国在留管理庁のウェブサイトから最新の情報・資料をダウンロードするようにしてください。

MWOへの申請

フィリピンの国旗

フィリピン国籍の人を雇うには、ビザの取得だけではなく、MWOへの申請が不可欠です。

MWO(Migrant Workers Office)は、フィリピンの海外労働者省(DMW)が運営する在外機関で、海外で働くフィリピン人の保護や支援を目的としています。

以前はPOLO(Philippine Overseas Labor Office)と呼ばれていましたが、2023年にDMWの設立に伴い団体が再編成され、名称も変更されました。

日本企業がフィリピン人を雇い入れる場合、まずMWOに雇用契約内容の確認・認証のための申請を行わなければなりません

その後、送出機関と連携しながらフィリピン人人材がフィリピンを出国し、日本に来日するために必要な「海外雇用証明書(OEC)」の発行申請を行います。

日本には東日本を管轄するMWO東京と、西日本を管轄するMWO大阪があり、企業の所在地に合わせて申請を行わなければなりません。

MWO東京の管轄エリア

MWO東京が管轄する地域は、以下の通りです。

北海道、青森県、岩手県、宮城県、秋田県、山形県、福島県、茨城県、栃木県、群馬県、埼玉県、千葉県、東京都、神奈川県、新潟県、山梨県、長野県、静岡県

MWO大阪の管轄地域

MWO大阪が管轄する地域は、以下の通りです。

富山県、石川県、福井県、岐阜県、愛知県、三重県、滋賀県、京都府、大阪府、兵庫県、奈良県、和歌山県、鳥取県、島根県、岡山県、広島県、山口県、徳島県、香川県、愛媛県、高知県、福岡県、佐賀県、長崎県、熊本県、大分県、宮崎県、鹿児島県、沖縄県

※2023年10月1日付で、沖縄県の管轄がMWO東京からMWO大阪へ正式に移管されました(Advisory No. 12-2023)。

MWOへの申請はフィリピン人労働者の権利を守るためにも大切ですが、手続きが非常に複雑で面倒であることも事実です。

申請書も英語が基本となります。

そのため、フィリピン人労働者を採用する企業は、MWO申請のサポートをしてくれる専門家の助けを借りることが一番の近道と言えます。

まずは無料の相談サービスなどを利用するのをおすすめします。

フィリピン人採用におけるビザ申請のよくある質問(FAQ)

クエスチョンマークが書かれた札をも手に持っている男性

最後に、ビザ申請について多い質問とその答えをまとめました。ビザ申請は制度や状況によって変動があるため、以下は一般的な目安としてお役立てください。

個別のケースについては、行政書士や専門機関への確認をおすすめします。

ビザ申請は誰が行いますか? 代理申請は可能ですか?

就労ビザの場合、日本での「在留資格認定証明書(COE)」の交付申請は、原則として受け入れ企業が行います。

多くの企業では、行政書士に委託するか、自社で対応しています。

申請者本人(フィリピン人)は日本に不在のため、企業側が必要書類を提出するなどの対応が不可欠です。

その後、COEを取得したフィリピン人は、在フィリピン日本大使館または領事事務所で資料を添えてビザを申請します。

申請は原則として本人が行いますが、大使館が指定する代理申請機関を通すことも可能です。

ビザが不許可になった場合、理由は開示されますか?再申請はできますか?

ビザ申請が不許可となった場合、在外公館では通常、不許可の「理由」や「説明書」のようなものは開示されず、結果のみが通知されます。

ただし、在留資格認定証明書(COE)申請に関しては、出入国在留管理局の窓口で申請者または代理人が「教示」としておおまかな理由の説明を受けられる場合があります(詳細な理由は明らかにならないこともあります)。

再申請は可能ですが、同じ内容で申請しても結果は変更しない可能性が高いため、不許可の要因を分析し、書類の不備や条件のミスマッチを解消したうえで、適切なタイミングで再申請することが重要です。

目安としては、6ヶ月程度期間を空けるケースが一般的です。専門家の助言を受けながら慎重に対応しましょう。

フィリピン人の学歴や職歴はどれくらい重要ですか?

就労ビザでは、学歴や職歴が審査の重要なポイントとなります。

以下はビザの種類ごとの要件です。

  • 技術・人文知識・国際業務ビザ

関連分野の大学卒業が基本要件ですが、10年以上の実務経験でも可。

通訳・翻訳・語学指導等の場合は3年以上の経験でも認められることがあります。

  • 技能ビザ

対象職種(例:調理師、建築大工など)に応じ、10年以上の実務経験が求められます。

学歴よりも経験が重視されます。

  • 特定技能ビザ

特定分野ごとの技能試験と日本語試験に合格していることが基本条件です。

技能実習2号を良好に修了している場合は、試験免除となる分野もあります。

企業としては、採用予定者の業務内容に合致する学歴や職歴があるか、証明書類で裏付けできるかを事前に確認しておく必要があります。

ビザの「有効期間」と「滞在期間」はどう違いますか?延長はできますか?

ビザの有効期間と滞在期間の違いは以下の通りです。

  • ビザの有効期間(Visa Validity)

日本入国に使用できる期間で、通常は発行日から3ヶ月間です。

この期間内に入国しないと、そのビザは無効になります。

  • 滞在期間(Period of Stay)

日本に入国した際に許可される実際の滞在可能期間です。

例えば「1年」「3年」「90日」などがあり、在留カードやパスポートに記載されます。

  • 延長(在留期間更新)

滞在期間を延長したい場合は、満了の約3か月前から在留期間更新許可申請が可能です。

延長が認められるかは、活動内容、生活状況、納税状況(適切な所得の申告と納税)などを総合的に審査されます。

企業としては、在留期間の管理を徹底し、従業員が不法滞在にならないようサポート体制を整えておく必要があります。

フィリピン人の日本入国ビザ|まとめ

パスポートとボーディングパスを持った男性

フィリピン人の採用は、日本企業にとって多様な人材確保とグローバル化推進の大きなチャンスとなり得ます。

しかし、その実現には、日本入国のためのビザ取得という、避けては通れない重要な手続きが伴います。

本記事では、企業担当者様がフィリピン人のビザ申請を理解し、スムーズに進めるための一助となるよう、基本的な知識から具体的な手続き、必要書類、注意点、そしてビザに関係するよくある質問までを網羅的に解説してまいりました。

フィリピン人のビザ取得は、短期滞在であれ就労目的であれ、多くの書類準備と一定の審査期間を要します。

特に就労目的の場合は、ビザに加えてMWOへも申請しなければなりません。

これらの手続きは複雑で専門的な知識を要するため、不安な場合や自社での対応が難しい場合は、専門機関に相談することも有効な手段です

費用はかかりますが、確実かつ迅速な手続きが期待でき、結果的に企業担当者の負担軽減にもつながります。

MWO申請サポートでは、フィリピン人人材を採用したい企業のニーズに合わせて、様々な申請サポートプログラムを提供しています。

まずは一度、お気軽にご相談下さい。

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