人手不足の切り札!特定技能1号と2号の違いと採用戦略徹底ガイド

特定技能 1号2号違い

日本社会は現在、少子高齢化がじわりと進行し、生産年齢人口の減少という大波が産業界を襲っています。内閣府によると、2020年には約7,406万人だった生産年齢人口は、2065年には約4,529万人にまで落ち込む見込みです。こうした背景から、介護、建設、農業、製造業といった業界では、国内人材だけで必要な労働力を確保するのが至難の業という状況が続いています。

そこで、多くの企業が外国人材の積極的な活用に目を向けています。多様なバックグラウンドを持つ人材は、新たな視点をもたらし、職場の活性化につながる可能性があります。実のところ、グローバルな視点はイノベーションの源泉ともなり得るのです。いまや、単なる労働力の補填を超えて、多様性を組織戦略の一部として位置づける動きが加速しています。

こうした流れを受けて、日本政府は2019年4月、「特定技能」在留資格を創設しました。従来の技能実習制度が国際協力を重視していたのに対し、新制度は即戦力の確保を第一に据えています。

しかし、「特定技能」という言葉自体は知っていても、1号と2号という制度上の違いがあることを知らない人も少なくありません。

そこで当記事では、特定技能外国人の採用を検討している企業の採用担当者様向けに、特定技能制度の概要、1号と2号の違い、それらに基づく採用戦略などについて解説します

参考:  令和4年版高齢社会白書|内閣府

目次

特定技能制度の概要と創設背景

特定技能と書かれた積み木

日本は少子高齢化が急速に進展し、生産年齢人口が減少し続けています。この人口構造の変化は、多くの産業で人手不足という緊迫した課題を引き起こし、介護、建設、農業、製造業、外食などでは国内人材だけでは労働力の確保が困難な状況が明白です。

こうした構造的な課題に対し、政府は2019年4月に「特定技能」在留資格を創設しました。本制度は、特定分野で即戦力となる外国人を受け入れ、日本の産業活動の維持・発展を図ることを目的としています。これにより、日本語能力と技能を兼ね備えた人材の導入が具体的な解決策として期待されます。

技能実習制度から育成就労制度への移行

従来の技能実習制度は「技能移転による国際協力」を主目的としていましたが、実態は人手不足への対応が強く、その乖離や外国人の人権保護の課題が指摘されてきました。

その結果、2024年6月21日に出入国管理及び難民認定法等の一部改正が成立し、「育成就労制度」の創設が決定しました。この制度は、技能実習制度の課題を解消しつつ、外国人材をより中長期的に受け入れ、育成と就労を両立させる仕組みを新設します。育成就労制度の下では、約3年の育成期間を経て、特定技能1号へ移行し、その後特定技能2号へとキャリアパスを描く流れが計画されています。これにより、企業は外国人材を長期的な人材戦略の一環として計画的に採用・育成できる環境が整います。

企業に求められる視点

特定技能制度の設立、そして技能実習制度から育成就労制度への移行は、外国人材を「単なる労働力」ではなく、「将来の中核的戦力」としてとらえる視点が企業採用担当者に求められていることを明示しています。採用から育成、定着までを見通した人材設計が不可欠であり、制度の意図と事業戦略を一致させた取り組みが重要となるでしょう。

参考:
特定技能制度 | 出入国在留管理庁
育成就労制度の概要|出入国管理庁

特定技能1号とは?

壁に書かれた数字の1

特定技能には1号と2号というそれぞれ要件の異なる在留資格があります。在留できる期間や家族帯同の可否など、同じ制度内でも1号と2号では大きく異なる点があるので、まずはその違いについてしっかりと理解してきましょう。

定義と目的

特定技能1号は、深刻な人手不足が続く特定産業分野で「相当程度の知識又は経験を必要とする技能」を有し、かつ一定の日本語能力を備えた外国人を即戦力として受け入れるための在留資格です。技能実習2号修了者と同等の技能水準を前提に、試験等で能力を確認します。

在留資格要件と技能水準

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年齢入国時点で18歳以上(労働基準法第57条の特別保護規定に準拠)
技能要件各分野の技能試験合格
日本語要件日本語能力試験(N4以上)またはJFT‑Basic合格。日常会話の基礎レベルが求められる
試験免除技能実習2号を良好に修了した者は、技能試験と日本語試験が免除

従事可能な業務分野(16分野)

特定技能の対象職種は分野ごとに明確に定められています。

特定技能1号の対象分野は以下の16分野です。

16分野
  1. 介護
  2. ビルクリーニング
  3. 工業製品製造業
  4. 建設
  5. 造船・舶用工業
  6. 自動車整備
  7. 航空
  8. 宿泊
  9. 自動車運送業
  10. 鉄道
  11. 農業
  12. 漁業
  13. 飲食料品製造業
  14. 外食業
  15. 林業
  16. 木材産業

各分野では、主たる業務に該当する業務だけが認められ、関連業務のみに従事することはできません

在留期間と家族帯同

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在留期間原則として1年以内の期間ごとに更新が可能。通算最長5年まで(再入国中も通算期間に含む)
家族帯同原則不可。ただし、既に「家族滞在」資格で在留中の配偶者・子については「特定活動」等への変更が認められる場合あり

特定技能1号の在留期間には上限があるため、企業は特定技能2号や育成就労制度への移行を視野に入れたキャリアパスを提示し、生活面・キャリア面の支援を充実させることが、定着率向上に不可欠です。

企業に課される支援義務

受入企業(所属機関)は、省令で定められた10項目の支援計画を作成・実施する義務があります(事前ガイダンス、住居確保支援、生活オリエンテーション、相談対応など)

企業はこれらの支援策を自社で実施するか、登録支援機関に委託しなければなりません。また登録支援機関は、住居確保や通訳といった生活支援サービスも提供しています。

参考:特定技能1号の各分野の仕事内容(Job Description) | 出入国在留管理庁

特定技能2号とは?

壁に書かれた数字の2

特定技能1号の要件をさらに拡大させて、長期にわたって日本に在留・就労できるのが2号の在留資格です。

定義と目的

特定技能2号の制度の目的は、日本の産業を長期的に支える熟練外国人材を確保し、国内人材の指導や組織全体の生産性向上に寄与してもらう点にあります。

2号の在留資格は、特定産業分野で高度かつ専門的な技能を有する外国人を対象とし、長期的に日本での就労・在留を可能にする在留資格です。2号は1号よりも幅広い業務範囲と柔軟な在留条件を特徴とし、現場のリーダーや中核人材としての活躍を期待しています。

在留資格要件と技能水準

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技能要件各分野で実施される特定技能2号試験の合格、または国家資格の技能検定1級合格
実務経験現場において班長・職長などの地位で2年以上の経験を有すること
日本語要件基本的には免除されるが、外食や漁業はN3レベル以上が必要

これらの基準により、2号人材は単なる作業者ではなく、技術伝承や現場管理を担う中核的存在として評価されます。

従事可能な業務分野と拡大状況

当初、2号は建設分野と造船・舶用工業(溶接区分)のみに適用されていました。しかし、2023年6月の閣議決定で9分野が追加され、現在は下記の該当する11分野で2号在留資格が取得可能となりました

11分野
  1. ビルクリーニング
  2. 工業製品製造業
  3. 建設
  4. 造船・船用工業
  5. 自動車整備
  6. 航空
  7. 宿泊
  8. 農業
  9. 漁業
  10. 飲食料品製造業
  11. 外食業

これにより、多くの業界で1号から2号へのキャリアパスが広がり、企業は熟練外国人材の定着を促進できます。

在留期間と家族帯同

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在留期間上限なし(3年・1年・6カ月ごとに更新可能)
家族帯同要件を満たせば配偶者・子の帯同が認められる

特に在留期間に限りがなく、家族が帯同できるという点は、外国人材の生活の安定と長期定着を強力に後押しします。

企業に課される支援義務

特定技能2号人材に対する支援義務は課されません。熟練人材とみなされるため企業の負担は軽減されますが、定着促進のためには自主的なサポートも重要です。

参考:特定技能2号の各分野の仕事内容(Job Description) | 出入国在留管理庁

特定技能1号・2号の違い・比較一覧

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比較項目特定技能1号特定技能2号
技能水準相当程度の知識・経験技能試験+日本語試験熟練技能2号試験 or 技能検定1級+2年以上実務経験
在留期間通算5年まで上限なし(3年・1年・6カ月更新)
永住権移行直接不可在留期間が永住要件に含まれ、可能
家族帯同原則不可配偶者・子帯同可
支援義務10項目の支援計画義務あり義務なし(任意支援を推奨)

特定技能1号と2号の「違い」による企業の採用戦略

どちらかの選択をするポーズの女性

1号と2号の要件の違いをさらに深堀りし、企業としてどのような採用戦略を取るべかを考察します。

技能水準と実務経験の違い

特定技能1号と2号では、外国人材に求められる技能水準や実務経験のレベルに明確な違いがあります。

特定技能1号

「相当程度の知識又は経験を必要とする技能」が求められます。これは、特定の業務を自律的に遂行できるレベルを指し、原則として各分野の技能試験と日本語能力試験(N4以上)に合格することで証明されます。ただし、技能実習2号を良好に修了した外国人材はこれらの試験が免除されます。

特定技能2号

「熟練した技能」が求められ、単独での業務遂行に加え、現場で複数の作業員を指導・管理し、品質管理や工程管理を行う能力が必要です。この技能水準は、各分野の2号試験または技能検定1級合格に加え、通常2年以上の指導・管理の実務経験が要件となります。例えば建設分野では「班長または職長として複数人を指導しながら作業に従事する」経験が必要です。

この技能水準の差は、企業内で外国人材が担う役割の質に直結します。1号人材は「即戦力」として現場の作業に従事する一方、2号人材は「中核人材」として生産性向上や若手育成にも貢献することが期待されます。企業の採用担当者は、自社の求める人材像を明確にし、単なる労働力不足の解消にとどまらず、将来的な組織体制強化を視野に入れて、どちらの特定技能人材が最適かを判断する必要があります。2号への移行には数年の実務経験を要するため、計画的な育成が重要です。」

在留期間と永住権移行の可能性の違い

在留期間の長さや永住権取得の可能性は、外国人材が日本でのキャリアを考えるうえで重要なポイントです。

特定技能1号

在留期間は通算で最大5年と定められており、この資格から直接永住権に移行することはできません。永住権を取得するには、特定技能2号への移行や他の就労資格への変更、または永住許可の要件を満たす必要があります。

特定技能2号

在留期間に上限がなく、3年・1年・6か月ごとに更新を繰り返すことで、実質的に無期限に日本で就労・滞在可能です。さらに、2号での在留期間は永住許可の要件の一つである「就労資格(技能実習および特定技能1号を除く)または居住資格を有して5年以上連続在留していること」に含まれ、永住権取得の可能性が開かれます。

永住権取得の可能性は、外国人材が日本での生活基盤を築くうえで大きな安心材料となり、長期的な定着を促進します。企業の採用担当者は、2号へのキャリアパスを明確に示し、永住権取得の可能性を含めて説明することで、外国人材のモチベーション向上や定着率の改善につなげることができます。これにより、単なる労働力確保だけでなく、企業ブランドの向上や優秀な人材の継続的な確保が期待できます。

家族帯同の可否の違い

家族帯同の可否は、外国人材の生活の質や定着に大きく影響します。

特定技能1号

原則として家族帯同は認められていません。

特定技能2号

配偶者および子の帯同が認められています。

家族と離れて暮らすことは精神的な負担となり、離職の要因になる場合もあります。家族と共に生活できる環境は、外国人材の生活満足度や仕事への集中力、定着意欲を高めるため重要です。企業は2号人材の採用時に家族帯同のメリットを積極的に伝えるとともに、住居探しや子どもの学校選びなど生活全般にわたる支援体制を整えることが、円滑な受け入れと定着につながります。

企業に求められる支援義務の違い

1号と2号では、受け入れ企業に課される支援義務にも違いがあります。

特定技能1号

受け入れ企業(特定技能所属機関)は、省令で定められた10項目の支援計画を実施する義務があります。主な支援内容は、事前ガイダンス、送迎、住居確保、生活オリエンテーション、公的手続き同行、日本語学習機会の提供、相談・苦情対応、日本人との交流促進、転職支援、定期面談・行政機関への通報などです。これらの支援は自社で行うか、登録支援機関に委託することも可能です。

特定技能2号

企業には支援義務がありません。これは、2号人材が熟練技能を持ち、日本での生活経験も豊富であるためとされています。

支援義務の有無は企業の受け入れ体制構築の負担に直結します。1号人材の受け入れは手厚い支援体制の整備が必要であり、費用や時間もかかります。一方、2号人材は自己管理能力が高いため企業側の負担が軽減されると考えられます。採用担当者は自社のリソースを踏まえ、支援体制に不安がある場合は登録支援機関への委託や支援義務のない2号人材の採用を検討するとよいでしょう。ただし、特定技能2号人材に対する支援は不要とされていますが、彼らが引き続き活躍できるように、自主的なサポートやコミュニケーションの重要性も忘れてはなりません。

以上のように、特定技能1号と2号は求められる技能や経験、在留条件、家族帯同、支援義務において異なります。企業の採用戦略としては、自社の状況や将来のビジョンに照らし合わせ、どちらの特定技能人材を採用すべきかを慎重に判断することが重要です。特に、長期的な組織強化や人材定着を目指す場合は、2号人材の積極的な活用が有効といえます。

特定技能1号と2号の取得方法とキャリアパス

キャリアと書かれた文字の上を昇っていくビジネスマンのイラスト

特定技能制度では、1号と2号の在留資格それぞれに取得ルートがあり、企業の人材戦略に応じた活用が可能です。以下で取得方法とキャリアパスを整理します。

特定技能1号の取得ルート

1. 試験ルート
  • 各産業分野の技能試験と日本語能力試験(JLPT N4以上またはJFT‑Basic)に合格
  • 分野別要件:介護分野は介護日本語評価試験、外食業の一部業務ではJLPT N3以上が必要
  • 国内外で受験可能だが、分野によっては国内のみの実施もある
2. 実習修了ルート
  • 技能実習2号を良好に修了
  • 実習で習得した技能が1号業務と関連する場合、技能試験・日本語試験が免除

これにより、即戦力となる試験合格者と、日本の職場環境に慣れた実習修了者を併せて採用できます。企業は採用ニーズや育成リソースを踏まえ、最適なルートを選ぶとよいでしょう。

特定技能2号への移行ルート

スクロールできます
対象者原則として特定技能1号保持者
要件特定技能1号で2年以上の実務経験を積む
各分野の2号試験または技能検定1級に合格
建設分野の2号試験は、海外で実施されない場合がある

1号からの移行は、キャリアアップの明確な道筋を示します。企業は2号への試験対策や実務経験の機会提供、日本語教育などの支援を組み込み、途中離脱を防ぐことが肝要です

育成就労制度との連携

2024年6月改正法により、技能実習制度は「育成就労制度」へと発展的に移行します。

育成就労制度
  • 約3年間の育成期間を経て特定技能1号へ移行
  • その後、2号へのステップアップも可能

この制度は、中長期的な育成を計画的に進めるルートを提供します。企業は実習→育成就労→1号→2号という一貫したキャリアパスの形を描き、人材の定着と成長をサポートしましょう

参考:育成就労制度・特定技能制度Q&A | 出入国在留管理庁

特定技能1号在留外国人数の国籍・分野別内訳

グラフが表示されたタブレットを分析している男性

2023年12月末現在の特定技能1号在留外国人数は、208,462人。内訳を見ると、主な国籍はベトナムが110,628人(53.1%)で最多。次いでインドネシア34,253人(16.4%)、フィリピン21,364人(10.3%)が続きます。その他の国籍は17,315人(約8.3%)となっています。

国籍・地域人数(人)割合(%)
ベトナム110,62853.1
インドネシア34,25316.4
フィリピン21,36410.3
中国13,4566.5
ミャンマー11,8735.7
その他17,3158.3

分野別での受け入れ人数が最も多いのは、飲食料品製造業で61,095人(29.3%)、次いで工業製品製造業(製造業)40,069人(19.2%)、介護28,400人(13.6%)が上位を占めています。

主要6分野で全体の約91.7%をカバーしており、その他の分野は17,292人(8.3%)です。

分野人数(人)割合(%)
飲食料品製造業61,09529.3
工業製品製造業
(製造業)
40,06919.2
介護28,40013.6
建設24,43311.7
農業23,86111.4
外食業13,3126.4
その他17,2928.3

この統計からは、ベトナムやインドネシア、フィリピンといった送り出し国が中心となり、飲食料品製造業や製造業、介護分野で特定技能1号人材の需要が特に高いことがわかります。企業採用担当者は、自社の業種・分野に合った国籍別の採用戦略や、現場で活躍しやすい環境整備を検討する際の参考にしてください。

参考:特定技能在留外国人数の公表等 | 出入国在留管理庁

現場の声から学ぶ!特定技能外国人のメリットと活用方法

外食産業で働く特定技能外国人

外国人材を受け入れる現場からは、彼らの適応力や成長、そして日本人従業員への好影響が報告されています。そうした実際の現場の声から、特定技能外国人を企業としてどのように受け入れ、活躍の場を提供すべきかを考察します。

現場の声

外食業での日本語学習と職場環境

「来日当初は厨房内の指示すら聞き取れず、不安でいっぱいでした。しかし、毎日30分〜1時間の自主学習と、先輩スタッフによるマンツーマンのOJTが相まって、1か月ほどで業務上必要な日本語表現が身につきました。店長は指摘ひとつひとつに理由を添えて教えてくれ、叱責ではなく“改善ポイント”として示してくれたのが何よりありがたかったです。今では自信をもって接客にもチャレンジできています」

参考:お客様の声 | むすびば株式会社|人と人のいい関係性を築く日本語教育

ベトナム国籍の女性人材の即戦力化

 「日面接時に感じた“言葉の壁”は、配属後のペア研修であっという間に解消しました。先輩の隣で実務を見学しながら、業務に必要な日本語フレーズを即時フィードバックしてもらえるのが大きなポイントです。3週間後には単独対応が可能になり、店舗会議でも意見を求められるほど頼られる存在になれました」

参考:【初】外食業特定技能2号試験に合格|合格した外国人の方にインタビュー | Divership

介護現場での成長実感

 「最初は“挨拶だけで精一杯”でしたが、利用者様のご家族とも会話できるようになると、ケアプランにも積極的に意見を出せるように。特に夜勤は体力だけでなく判断力が求められますが、研修担当者が逐一フォローアップしてくれたおかげで、自信をもって任されるまでに成長できました」

参考:お客様の声 | むすびば株式会社|人と人のいい関係性を築く日本語教育

ペアワークによる相互学習

 「研修期間中は、日本人スタッフと外国人スタッフが必ずペアを組むシステム。疑問点をその都度解決できるうえ、互いの文化や仕事の進め方を教え合うことで、コミュニケーションの幅が広がりました。結果として、チーム全体の生産性も向上しています」

参考:現場の声 – 長崎県ごとう人材確保・育成協同組合

教育コストと中小事業所の負担

「言語研修や異文化理解研修を自前で整備しようとすると、年間数百万円のコストがかかります。特に介護のような専門職では、介護用語や高齢者対応の研修が必須。中小事業所では予算や人手が限られ、導入を断念するケースも少なくありません」

参考:外国人材の訪問介護、4月から「特定技能」「技能実習」も解禁 背景に深刻な人手不足|にしやま行政書士事務所

公正な賃金決定と透明性

「同じ業務内容でも、日本人スタッフと給与レンジが異なるケースがあります。評価基準や賃金テーブルの透明化が進まないと、モチベーション低下の原因になりかねません。現場では定期的に給与に関する説明会を実施し、納得感を高める工夫を行っています」

参考:特定技能外国人(外国人材)を企業が受け入れるメリットとは?|株式会社総務の窓口

現場の声から学べること

  • 継続的な日本語教育が定着と業務品質向上に直結
    • 外食業・介護現場の事例から、日々の学習機会提供がモチベーション維持と業務遂行能力アップに不可欠です。
  • 即戦力化の鍵は生活経験と早期コミュニケーション支援
    • ベトナム人材のように、来日前後の生活サポートや職場でのペアワークが、早期の戦力化に寄与します。
  • 異文化交流による組織活性化
    • ペアワーク事例のように、日本人・外国人が協働する仕組みは、双方のスキルアップと職場の活性化をもたらします。
  • 教育投資とコスト負担のバランス調整
    • 中小事業所では研修コストが課題のため、外部支援機関の活用や共同研修による効率化が有効です。
  • 待遇の公正性と透明性の確保が定着の要
    • 給与水準や賃金決定プロセスを見直し、外国人材と日本人社員の間に不公平感を生まないことが重要です。
  • 現場の声を継続的に吸い上げる仕組みの構築
    • 定期的なヒアリングやアンケートを通じ、改善点を把握・対応することで、持続可能な受け入れモデルを確立できます。

企業は現場の実態に即した支援体制と待遇改善を進めることで、特定技能外国人材の定着と活躍を促進できるでしょう。

MWO申請|特定技能フィリピン人の受け入れのために

フィリピンの国旗

特定技能分野の人材を多く排出している国の一つがフィリピンです。しかしフィリピン人人材を雇用する場合には、MWOへの申請も必須となります。

以前はPOLOという名称で知られていたMWOは、フィリピンのDMW(移住労働者省)の海外出先機関であり、日本では東京と大阪にMWOが設置されています(駐日フィリピン共和国大使館・総領事館内)。 

DMWとMWOはフィリピン人労働者の権利保護、福祉の向上、海外雇用の促進と管理を一元的に行うことを目的としています。そのため、特定技能でフィリピン人を採用する際にも、MWOへの申請が義務付けられています

MWOへの申請手続きは、一般的に以下の流れで進みます。

STEP
申請書類の提出

まず必要な申請書類や資料を準備し、MWO(東京または大阪の事務所)に送付(郵送)します。

STEP
MWOによる審査と承認

次に、MWOによって提出された書類に基づいて審査が行われ、雇用契約の内容などが適切であると判断されれば、フィリピン政府から正式な承認の印とも言える認証が得られます。この承認によって、フィリピン人人材の募集活動が行えるようになります。

STEP
フィリピン人人材の採用

フィリピン人人材の募集を行い、採用・雇用契約を結びます。現地の送り出し機関を通じた人材の紹介も行われています。

フィリピン本国のDMWへのOEC申請などは、契約した現地の送り出し機関を介して行いますが、日本のMWO事務所への申請や申し込みは受入れ先が行わなければなりません。

このMWOへの申請は非常に複雑であり、注意点としては書類の不備による差し戻しが挙げられます。そのため時間と手間を省きながら採用を確実なものにするためにも、専門の代行業者を利用することが一般的です。

参考:フィリピン国籍の方々を特定技能外国人として受け入れるまでの手続の流れ|法務省 

まとめ:貴社に最適な外国人材「採用」戦略を

世界地図と人々のミニチュア

特定技能制度は、日本の深刻な人手不足に対応し、企業の持続的な成長を支える上で不可欠な制度へと進化を遂げています。特に、2号特定技能の対象分野が大幅に拡大されたことや、従来の技能実習制度から育成就労制度への移行、そして特定技能制度との連携強化は、外国人材を長期的な戦力として迎え入れるための大きな後押しとなるでしょう。

企業採用担当者は、特定技能1号と2号の「違い」を深く理解し、自社のニーズと外国人材のキャリアパスを合致させることで、より効果的な人材確保と定着を実現できます

しかしながら、その受入れプロセスは、遵守すべき法令や基準が多く、手続きも複雑であるため、企業が自力で行うには相当な時間と専門知識が必要となります。そのため専門の代行業者に委託することが、外国人材採用への一番の近道と言えるでしょう。

特にフィリピン人人材を受け入れる際には、国内への手続き以外に、会社がMWOへの申請手続きを行う必要があります。MWO申請サポートでは特定技能のフィリピン人採用を検討している企業に向けた、様々なサポートプログラムを提供しています。

まずは一度、お気軽にご相談ください。

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