技人国ビザと単純労働の境界線|外国人材採用の注意点と活用法

技人国 単純労働

日本社会は少子高齢化による労働力人口の減少という、避けられない現実に直面しています。多くの企業が深刻な人手不足に頭を悩ませており、ある調査では半数以上の企業が人材確保に苦慮していると答えています。

その解決策として注目されているのが、外国人材の活用です。厚生労働省の「外国人雇用状況」によれば、外国人労働者数は過去最高の約230万人を記録し、特に「専門的・技術的分野の在留資格」を持つ人材が全体の約3割と最多を占めています。これは、企業が単なる労働力補充にとどまらず、高度な知識や技術を持つ外国人材を積極的に受け入れ、経営戦略の一環として位置づけている現状を浮き彫りにしています。

そのような高度な知識や技術をもつ外国人材を採用するために用いられる在留資格が、「技術・人文知識・国際業務」(以下、技人国)ビザです。

しかし技人国ビザで仕事に就く外国人材には、要件が明確に定められています。特に企業が気をつけるべき点の一つが、「単純労働との境界線」です。技人国ビザでは外国人材を単純労働に重視させることはできないため、企業としてはどのような業務で活用したいかを明確に把握しておかなければなりません。

当記事では外国人材の採用を検討している企業担当者様向けに、技人国ビザの概要から対象業務、単純労働との明確な境界線について詳細に解説します

目次

技人国ビザとは?対象となる業務一覧

化学研究職としてリサーチを行っている外国人社員

技人国ビザは、日本の公私の機関との契約に基づき、専門的な技術や知識を要する業務、または外国の文化に基盤を有する思考や感受性を必要とする業務に従事する外国人向けの在留資格です

出入国在留管理庁では、この在留資格を大きく分けて3つのカテゴリーの活動に分類しています。それぞれの分野では求められる知識やスキルが異なり、申請の際には従事する外国人材の業務がどの分野に該当するのかを明確にする必要があります。

技人国ビザで外国人材が就労できるのは、以下のいずれかの業務に従事する場合に認められます。ただし、教授・芸術・報道・経営管理・教育・企業内転勤・興行など他の在留資格に該当する活動は対象外です。

技術:自然科学分野における技術・知識を要する業務

理学・工学その他の自然科学分野に属する技術または知識が必要な業務です

これらの業務は、学術的・体系的な知識に基づいていることが求められます。そのため単にマニュアルに従って行う作業ではなく、問題解決や改善提案に繋がるような深い専門知識が求められる業務が該当するでしょう。

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職種例システムエンジニア、プログラマー、機械設計技術者、化学研究職、土木設計技術者、情報セキュリティエンジニアなど
業務例システム開発、機械・電気設計、新製品の研究開発、品質管理など

人文知識:人文科学分野における技術・知識を要する業務

法律学・経済学・社会学その他の人文科学分野に属する知見や技能が求められる業務です

これらの業務もまた、専門的な学術的素養が基盤にあることが重要です。単なる事務作業ではなく、市場分析、戦略立案、法務判断など、専門的な思考プロセスを要する業務が対象となります。

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職種例企画・営業・経理・人事・マーケティング・広報・コンサルタント、財務分析、契約管理など
業務例市場調査、会計処理、業務改善提案、顧客アドバイスなど

国際業務:外国の文化に基盤を有する思考・感受性を要する業務

国際業務分野は、外国の文化に基盤を有する思考や感受性を必要とする業務を指します

単に外国語を話せるだけでなく、その国の文化背景、商習慣、価値観などを深く理解し、それを業務に活かす能力が求められます。例えば、異文化間の交渉、海外市場への製品展開、異文化理解を促進する広報活動などが該当します。

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職種例通訳・翻訳、私企業の語学教師、海外取引担当、デザイナー(服飾・室内装飾)、海外駐在員など
業務例会議通訳、契約書翻訳、多言語サポート、輸出入業務、海外SNS運用など

参考:在留資格「技術・人文知識・国際業務」 | 出入国在留管理庁

技人国ビザで認められる「業務内容」の判断基準と注意点

情報工学で学位を取得しシステムエンジニアとして働いている外国人

技人国ビザの審査では、申請人が大学や専門学校で学んだ専門知識と、実際に日本で従事する業務内容との「関連性」が最も重要視されます。単に「大学を卒業している」ことだけでは要件を満たさず、学んだ分野の知見が職務に直接的かつ具体的に活かされることが求められます。たとえば、情報工学を専攻した人材がシステム開発に関わる場合や、マーケティングを学んだ人材が市場調査を担当する場合など、その結びつきが明確である必要があります。

また、法務省のガイドラインでは、求人票などに「未経験可」「短期間で習得可能」といった文言がある業務や、日本人従業員が学歴・実務経験なしで行っている業務は、原則として専門的業務には該当しないと明記されています。これらはいわゆる「単純労働」と判断され、技人国ビザの対象外です。企業は、募集要件や職務内容の説明書において、専門性が不可欠である点を明示しましょう。

加えて、技人国ビザの上陸許可基準には、以下の要件も含まれます。

要件
  • 日本人と同等以上の報酬水準であること
  • 日本国内の公私の機関との雇用契約に基づく勤務であること
  • 実務経験(10年以上)を代替的に認めるケースがあること

これらのポイントを踏まえ、企業側は外国人材の専門知識をどのように業務に活かすかを、採用計画の段階から具体的に設計し、職務経歴書や募集要項に明確に記載する必要があります。特に、学歴・研修・職務経験と業務内容との「論理的関連性」を示す資料(シラバスの抜粋やプロジェクト概要など)を用意すると、審査通過の可能性が高まるでしょう。

制度の本来の目的は、国内労働市場を保護しつつ、高度専門人材の知見を日本企業の「知識基盤」や「国際競争力」の強化に活用することにあります。単なる「人手不足の穴埋め」ではなく、戦略的な「人材投資」として外国人材を位置づけ、その専門性を最大限生かす体制構築を心がけてください。

参考:「技術・人文知識・国際業務」の在留資格の明確化等について|出入国在留管理庁

技人国ビザで「単純労働」が認められない理由とその境界線

NOの文字を手にしている外国人女性

日本政府は、単純労働を目的とした在留資格を原則として認めていません。その理由は大きく二つあります。

  1. 国内労働市場の安定
    • 低賃金で外国人を雇用する動きが広がると、日本人パートタイマーや高齢者などの雇用機会や労働条件が悪化しかねません。そのため、単純労働分野への無制限な外国人受け入れは抑制されています。
  2. 治安維持
    • 不法滞在や不法労働が増加すると、犯罪組織との関与や公共の安全へのリスクが高まります。こうした事態を未然に防ぐため、単純労働を目的とする在留資格は厳格に制限されています。

特定技能制度による例外的対応

一方で、人手不足への対応として、2019年4月に「特定技能」在留資格が創設されました。この在留資格では、介護や宿泊、農業などの人手不足が顕著な産業分野において、比較的単純な業務への就労も認められるようになっています。これにより、即戦力としての外国人材活用と、国内労働市場保護のバランスを図る工夫が進められています。

「単純労働」の定義と具体例

「単純労働」とは、特別な知識や技能を要さず、短期間の訓練や反復作業で習得可能な業務を指します

典型的な業務例は以下のとおりです。

業務例
  • 食品加工ラインでの原料選別やカット・包装
  • 宿泊施設での客室清掃やベッドメイキング、リネン交換
  • ビルやオフィスの床清掃、トイレ清掃、ゴミ分別
  • 製造現場での部品研磨・目視検査、梱包作業
  • 野菜・果物の収穫、選別・袋詰め
  • 養殖用網の修繕・清掃、魚の選別・箱詰め

これらの業務は、技人国ビザの対象外です。

単純労働のニーズのために外国人材を雇い入れたいと考えている場合、企業は技人国ビザではなく、特定技能制度の活用の検討をおすすめします。

参考:特定技能制度 | 出入国在留管理庁

「現業研修」の取り扱い(留意点)

技人国ビザは原則として単純労働を認めませんが、例外的に「現業研修」として一時的に単純労働に従事することが許可される場合があります。これは、制度設計上で明文化されているものではありませんが、現場の業務を理解するために必要な研修と認められるケースなどで、一時的に単純労働に従事させることが可能です。

ただしその場合には、以下のポイントを満たさなければなりません。

  • 研修期間は、専門業務開始前の短期間に限定
  • 日本人社員にも同様の研修機会を設ける
  • 研修内容が将来業務に直結することを文書で示す

現場研修は、将来的に専門的業務を担う上で現場理解が不可欠な場合に限ります。企業は研修計画の合理性を十分に説明できるよう、職務経歴書や研修プログラムの概要を詳細にまとめておくことが望まれます。

技人国ビザで現業研修を組み込む際には、研修の必要性・対象・期間を明確化し、専門性への橋渡しとしての「ストーリー」を立案することが重要です。

他の在留資格との比較

比較と書かれたパズルを覗いている虫眼鏡

外国人材を採用するのには技人国ビザだけではなく、上でも述べた特定技能や、技能実習などの在留資格も存在します。

それぞれのビザの特徴や要件を理解することによって、自社が求めている人材を獲得するのに適した方法を理解できるでしょう。

特定技能制度の概要・要件

「特定技能」とは日本国内で深刻な人手不足が続く特定の産業分野で、即戦力として働く外国人に認められる在留資格です。主な対象は特定の産業で一定の技能を習得し、かつ日本語の試験に合格した外国人で、分野ごとの実務に対応できるスキルを持っていることが必須条件です。

特定技能の在留資格は単一のものではなく、「1号」と「2号」の2つの種類があります。

特定技能1号

特定の産業分野で一定程度の技能を持ち、相当程度の知識または経験を有する外国人向けに与えられる在留資格が、「特定技能1号」です。在留期間は通算で最長5年と定められており、原則として妻や子どもの帯同は認められていません。

特定技能1号・16分野

介護、ビルクリーニング、素形材産業、産業機械製造業、電気・電子情報関連産業、建設業、造船・舶用工業、自動車整備業、航空業、宿泊業、農業、漁業、飲食料品製造業、外食業、産業廃棄物処理業、医療・福祉分野(限定的適用)

参考:特定技能1号の各分野の仕事内容|出入国在留管理庁

特定技能2号

特定技能2号は、特定技能1号での経験などを基に、さらに高度で熟練した技能が必要な業務に従事する外国人に付与される在留資格です。1号と異なり、在留期間の上限がなく、在留資格は初回に3年・1年・6月のいずれかで付与され、更新を繰り返すことで継続的な在留が可能です。また、条件を満たせば配偶者や子の帯同も認められます。

特定技能2号・11分野

建設業、造船・舶用工業、自動車整備業、航空業、宿泊業、ビルクリーニング業、農業、漁業、飲食料品製造業、素形材産業、外食業

参考:特定技能2号の各分野の仕事内容|出入国在留管理庁

技能実習制度の概要・要件

1993年に創設された技能実習制度は、日本の企業において技能・技術・知識を学び、それを母国の経済発展に活かしてもらうことを目的としています。制度の法的な位置づけとしては、労働力の確保ではなく「国際貢献」や「国際協力」にあります

そのため、技能実習生は「労働者」というよりも「実習生」としての立場が重視されます。日本企業と雇用契約を結び、労働基準法などの適用は受けますが、制度の枠組みとしては、あくまで日本人や企業の持つ技術や知識を学ぶために来日しているという位置づけです。

技能実習は、習熟度に応じて「技能実習1号」から「2号」、さらに条件を満たした場合は「3号」へと段階的に移行していく制度設計となっており、実習内容の進展に伴って滞在期間が延長される仕組みです。

参考:外国人技能実習制度について|厚生労働省 

技能実習制度の廃止と新制度「育成就労制度」の創設

2024年6月14日に成立した改正入管法により、現行の技能実習制度は2027年4月をめどに廃止され、新たに「育成就労制度」が創設される予定です。

この新制度は、従来の技能移転重視から一歩進め、「人材育成」と「人材確保」の両立を明確に打ち出しています。その主なポイントは以下のとおりです。

転職の一定容認

就労開始から1年以上経過し、かつ支援計画の要件を満たせば、同一の分野への転職が可能となる見込みです。

特定技能への移行支援

最長3年間の就労を通じて特定技能1号の水準到達を目指し、移行手続きを円滑化する枠組みが盛り込まれています。

監理支援機関の要件強化

監理団体は「監理支援機関」へ名称変更し、外部監査人の設置が義務付けられるなど、中立性や専門性の担保が求められます。

今後、現行の技能実習制度は段階的に新設の育成就労制度へ移行される予定です。育成就労制度は2027年4月の施行が見込まれていますが、2025年以降には制度案の詳細や運用要領、Q&A等が順次公表される時期に入ります。そのため外国人の人材の受け入れを検討される企業は、早い段階から法務省出入国在留管理庁の公式ウェブサイトで最新情報をこまめに確認してください。

参考:育成就労制度 | 出入国在留管理庁

在留資格比較一覧

企業が外国人材を採用する際には、ニーズとビザの要件が一致していなければなりません。以下の比較表を参考に、どの在留資格の外国人材を採用すべきかよく検討なさってください。

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在留資格おすすめの企業の特徴
技人国高度な専門知識や技術を活用したい企業
関連分野の学位保有者や10年以上の実務経験者を求める企業
長期的なキャリア形成を見据えた採用を行いたい企業
プロジェクト、研究開発、コンサルティングなど専門職ポジションを設置する企業
日本語運用能力が不可欠な業務を任せたい企業
特定技能即戦力として現場で稼働できる人材を確保したい企業
単純作業に近い業務や熟練技能を要する分野で補強が必要な企業
登録支援機関を活用し、手厚い受入れ支援体制を整えたい企業
技能実習自社ノウハウを一から指導し、途上国拠点の人材育成を図りたい企業
実習計画に基づく段階的な技能移転を重視する企業
転職リスクを抑えつつ、一定期間じっくり育成したい企業
国際貢献やCSRの一環として人材育成事業を推進したい企業

基本的には、単純作業に近い業務の担い手を必要としているならば特定技能(1号)もしくは技能実習生、高度な専門知識・スキルをもった人材を欲しているのであれば、技人国ビザでの採用を検討することになるでしょう。

技人国ビザ取得の要件と申請のポイント

プログラマーとして実務経験が10年以上ある外国人社員

技人国ビザを取得するためには、出入国在留管理庁が定める複数の要件をすべて満たさなければなりません。採用担当者として、候補者がこれらの条件をクリアしているか、事前に確認することが極めて重要です。

学歴要件

原則として、以下のいずれかの学歴を有することが求められます。

  1. 当該業務に関連する科目を専攻して日本の大学,短期大学,高等専門学校または外国のこれらに相当する教育機関を卒業し学位を取得していること
  2. 日本の専門学校を卒業し、「専門士」または「高度専門士」の称号を付与されたこと

海外の大学を卒業している場合も対象となります。重要なのは、大学や専門学校での専攻内容と、日本で行う予定の業務内容との間に「関連性」が認められることです

実務経験要件

上記の学歴要件を満たさない場合でも、実務経験によって要件を代替することが可能です。

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技術・人文知識の業務10年以上の実務経験(大学等で関連科目を専攻した期間を含む)が必要
国際業務3年以上の実務経験が必要

この実務経験は、在職証明書などの客観的な資料によって証明する必要があります。口頭での申告だけでは認められません。例えば、高校卒業後にプログラマーとして10年間働いてきた実績があれば、学歴要件を満たさなくとも「技術」分野でビザを取得できる可能性があります。

業務の関連性

ここまで繰り返し述べているように、本人のスキルと業務が関連していることが、審査で最も重視されるポイントです。申請においては、なぜその外国人を採用する必要があるのか、その人の持つ専門知識(大学での専攻や過去の職歴)が、自社で担当する業務にどう活かされるのかを、具体的かつ論理的に説明しなくてはなりません

学歴と業務内容の関連性が低いと判断された場合、「その業務は日本人でもできるのではないか」「その外国人を採用する必然性がない」と見なされ、不許可となるリスクが高まります。

報酬要件

雇用する外国人に支払う報酬額が、同じ業務に従事する日本人が受け取る報酬と同等額以上であることが法律で定められています

これは、不当に安い賃金で外国人を雇用し、労働市場に不健全な影響を与えることを防ぐための規定です。給与水準が低すぎると、安定した生活を送ることが難しいと判断され、不許可の一因となることがあります。

会社の安定性・継続性

申請人本人だけでなく、雇用する企業側の経営状態も審査の対象となります

事業の安定性や継続性が認められないと、外国人社員の雇用を継続的に維持できないと判断される可能性があります。設立間もない企業や、債務超過に陥っている企業の場合は、事業計画書などを提出し、将来にわたる事業の安定性を説得力をもって示す必要があります。

本人の素行要件

申請人である外国人本人の素行が善良であることも要件です。過去に日本や海外で重大な犯罪を犯していないこと、日本の法律(入管法を含む)を遵守していることが求められます

参考:在留資格「技術・人文知識・国際業務」 | 出入国在留管理庁

現場の声に学ぶ!外国人材活用のために企業がすべきこと

外国人材採用を成功させている企業は、単に採用するだけでなく、定着と活躍を促すための多角的な支援策を講じています。そうした取り組みを行っている企業の「現場の声」から学べる点を見ていきましょう。

日本語学習支援

企業内での日本語研修や日本語学校の学費補助は、言語の壁を克服する有効策です。本人任せにするのではなく、社として日本語を学ぶ機会を設けることで、日本語による円滑な社内コミュニケーションを実現させています

社内研修や日本語学校の学費補助に加え、日々の業務手順書を外国人材自身に日本語で作成させるなど、業務理解と語学力向上を同時に促す仕組みが効果的であることが報告されています。

参考:外国人労働者の問題点と7つの解決策|グローバル人材採用BLOG

外国人材を受け入れる環境づくり

企業全体として、外国人材を受け入れているという社内風土の醸成も効果的です。

三島硝子建材株式会社では、海外人材を「親代わり」として迎える企業姿勢が評価されています。

代表者は「当時在籍していた技能実習生から『もっとしっかり教えてくれ』という叱咤を受けたことが、育成への意識を高めるきっかけとなりました。その後、会社全体で海外人材を受け入れる雰囲気を作っていきました」と述べています。

単なる制度ではなく、こうした「社内文化」を作り出すことが、外国人材にとって安心して働ける環境づくりにつながっています

参考:事例紹介:三島硝子建設株式会社様|G.A.コンサルタンツ株式会社

多言語対応マニュアルの図解化、通訳者や翻訳ツールの活用は、現場業務でのミス防止に効果的です。視覚的情報を併用することで、外国人と日本人社員の意思疎通がスムーズになります。

実際に製造現場からは、「図解マニュアルを掲示したところ、現場のミスが30%減少しました」との報告が寄せられています。

多言語対応の図解マニュアル、通訳者の配置、翻訳ツールの活用など、視覚情報×ツールを組み合わせることで、スムーズな意思疎通を実現できるでしょう。

参考:外国人労働者の問題点と7つの解決策|グローバル人材採用BLOG

文化理解と多様性教育

異文化理解研修やメンター制度、文化交流イベントは、安心感の醸成と相互理解に寄与します

ある飲食チェーンでは、異文化理解ワークショップを定期的に開催することで、日本人と外国人スタッフの相互理解・コミュニケーションが促進され、定着率の向上にも役立っていると報告されています。

企業によるこうした取り組みは、外国人労働者が自分も仲間として受け入れられているという実感を生み出します。その結果として、定着率向上やダイバーシティ推進にもつながっているのです。

参考:外国人雇用の課題解決!定着率を高めるサポートの成功事例集|リクアジ

生活サポート・福利厚生の充実

慣れない日本での生活をサポートするための住居確保支援や行政手続き支援、相談窓口の設置などは、生活面での不安の解消に直結します。

実際に相談窓口の設置によって、「定着率が25%アップしました」という報告も寄せられています。

独身寮の提供、引っ越し支援、光熱費負担など具体策を整えることで、外国人労働者の安心感だけではなく、労働意欲も高まるでしょう

参考:外国人労働者が働きやすい 工夫をしている企業事例集|JEWELS+

明確なキャリアパスと成長機会

長期的なキャリアプラン提示や資格取得支援は、外国人材のモチベーション維持に効果的です。

「入社3年で設計図面を任されるようになり、自信を持って働けています」という製造業から寄せられている声からも分かるように、長期的なキャリアプラン提示や資格取得支援、ジョブローテーション制度を組み合わせ、外国人材を次世代リーダーとして育成する事例が増えています。

参考:外国人採用の成功事例のインタビューと取り組みポイントを紹介! | G.A.コンサルタンツ

これらの成功事例から明らかなのは、企業としては採用で終わりではなく、その後の支援を継続的に行うことによって、外国人材が活躍できる環境を作り上げる。その結果、外国人スタッフだけではなく、企業にとっても大きなメリットを生み出すということではないでしょうか。

専門家による技人国ビザ申請代行

専門家が書類の説明をしている場面

ここまで見てきたように、技人国ビザの申請手続きは複雑で、専門的な知識が必要です。そのため、特に初めての申請など、自社のみで行うのは難しいという判断のもと、多くの企業が行政書士を始めとする専門業者にビザ申請の代行サービスを依頼しています。

専門家に依頼することによって企業が得られるメリットは、次の通りです。

許可の可能性が高まる

専門家は最新の審査傾向や、個別のケースにおける許可のポイントを熟知しています。学歴と職務内容の関連性など、審査官が重視する点を的確にアピールする書類を作成することで、不許可のリスクを最小限に抑えます。

時間と労力の削減

煩雑な書類作成や入管とのやり取りから解放され、本来の採用業務や受け入れ準備に集中できます。費用はかかったとしても、トータルとしてはコストダウンが図れるでしょう。

コンプライアンスの遵守

在留資格に関する法的なルールを遵守し、不法就労などのリスクを回避できます。

総合的なサポート

申請だけでなく、配偶者・子どもなどの家族の呼び寄せや将来的な永住申請まで、長期的な視点でサポートを受けることが可能です。

技人国ビザにまつわる申請は単なる事務手続きではなく、企業の重要な経営戦略の一環です。いずれにしても専門家の知識と経験を活用することが、確実かつ迅速に優秀な人材を確保するための賢明な投資と言えるでしょう。

MWO申請|技人国ビザでフィリピン人を受け入れるために

フィリピンの国旗

技人国ビザでフィリピン人人材を採用するには日本国内の手続きとは別に、MWOへの申請も必須となります

以前はPOLOという名称で知られていたMWOは、フィリピンのDMW(移住労働者省)の海外出先機関であり、日本では東京と大阪にMWOが設置されています(駐日フィリピン共和国大使館・総領事館内)。 

DMWとMWOはフィリピン人労働者の権利保護、福祉の向上、海外雇用の促進と管理を一元的に行うことを目的としています。そのため、技人国ビザなどでフィリピン人を採用する際にも、MWOへの申請が義務付けられています。

MWOへの申請手続きは、一般的に以下の流れで進みます。

STEP
申請書類の提出

まず必要な申請書類や資料を準備し、MWO(東京または大阪の事務所)に送付(郵送)します。

STEP
MWOによる審査と承認

次に、MWOによって提出された書類に基づいて審査が行われ、雇用契約の内容などが適切であると判断されれば、フィリピン政府から正式な承認の印とも言える認証が得られます。この承認によって、フィリピン人人材の募集活動が行えるようになります。

STEP
フィリピン人人材の採用

フィリピン人人材の募集を行い、採用・雇用契約を結びます。現地の送り出し機関を通じた人材の紹介も行われています。

フィリピン本国のDMWへのOEC申請などは、契約した現地の送り出し機関を介して行いますが、日本のMWO事務所への申請や申し込みは受入れ先が行わなければなりません。

このMWOへの申請は非常に複雑であり、書類に不備がある場合には差し戻しなどのトラブルも散見します。そのため時間と手間を省きながら採用を確実なものにするためにも、専門の代行業者を利用することが一般的です。

参考:フィリピン国籍の方々を特定技能外国人として受け入れるまでの手続の流れ|法務省 

まとめ:外国人材と共に企業の未来を拓く

技人国ビザで日本企業で働く外国人社員

日本の労働市場が人手不足に直面する中、外国人材の活用は企業にとって不可欠な経営戦略となっています。特に技人国ビザは、専門的な知識や技術を持つ高度外国人材を日本に迎え入れるための重要な在留資格です。

しかし、その対象業務は「単純労働」とは明確に区別され、学歴や実務経験と業務内容の関連性が厳しく問われます。企業は、このビザの目的と要件を深く理解し、適正な申請と運用を行うことが、不許可リスクを回避し、外国人材を効果的に戦力化する鍵となるでしょう

とはいえ、技人国ビザの申請は自社単独で行うのは困難であるため、多くの企業が専門業者に申請代行を依頼しています。

特にフィリピン人人材を受け入れる際には、国内への手続き以外に、MWOへの申請手続きが必要です。MWO申請サポートではフィリピン人採用を検討している企業に向けた、様々なサポートプログラムを提供しています。

まずは一度、お気軽にご相談ください。

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