特定技能でフィリピン人材を雇用するには?採用までの流れを徹底解説

日本企業にとって、人手不足は避けて通れない課題です。少子高齢化の影響は、介護・建設・製造・宿泊といった産業に直撃しています。とりわけ労働集約型の分野では、人材の確保が経営の明暗を分けるといっても過言ではないでしょう。
こうした背景を受け、2019年に創設されたのが「特定技能制度」です。この制度は即戦力となる外国人材の受け入れを目的としており、従来の在留資格に比べ柔軟な運用が可能になりました。まさに人手不足を補う「切り札」的な役割を担っているのです。
その中でも注目度を増しているのがフィリピン人材です。2024年12月末時点で、特定技能の在留資格で就労するフィリピン人は28,000人を超えました。これはベトナム、インドネシアに次ぐ規模であり、日本企業にとって重要なパートナーとなりつつあります。
当記事では、フィリピン人特定技能人材の採用を検討する企業の担当者様に向けて、制度の全体像をはじめ、日比両国の複雑な手続き、採用コスト、そして成功のカギを握る受け入れ体制までを解説します。
特定技能制度の概要

特定技能制度は、日本国内で人材確保が困難な特定産業分野において、外国人材を受け入れるために創設された在留資格(就労ビザ)です。外国人材が担う業務の熟練度に応じて、「特定技能1号」と「特定技能2号」の2区分に分かれています。
特定技能1号 | 即戦力として業務をこなせる相当程度の知識・経験を必要とする業務に従事します。 |
---|---|
特定技能2号 | 熟練した技能が求められ、現場のリーダーや監督者レベルの業務に対応可能な外国人を対象とします。 |
介護、ビルクリーニング、工業製品製造業、建設、造船・舶用工業、自動車整備、航空、宿泊、自動車運送業、鉄道、農業、漁業、飲食料品製造業、外食業、林業、木材産業
ビルクリーニング、工業製品製造業、建設、造船・舶用工業、自動車整備、航空、宿泊、農業、漁業、飲食料品製造業、外食業
特定技能1号と2号の違い
特定技能1号と2号には、下の表にあるような制度上の違いがあります。そのため、2号にはスキルだけではなく、外国人材の長期的なキャリア形成や定着支援を重視した制度設計が可能です。
項目 | 特定技能1号 | 特定技能2号 |
---|---|---|
在留期間 | 通算5年まで | 更新制限なし |
家族帯同 | 不可 | 配偶者・子の帯同が可能 |
技能水準 | 指導者の下で作業 | 熟練技能でリーダー・監督的役割 |
特定技能1号と2号での大きな違いは、在留期間と家族帯同の可否です。
在留期間 | 1号の在留期間は1年、6ヶ月、または4ヶ月ごとの更新で、通算で上限5年までです。2号の在留期間は3年、1年、または6ヶ月ごとの更新で、在留期間に上限はありません。 |
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家族帯同 | 1号は原則として配偶者や子どもの帯同が認められていませんが、2号は要件を満たせば配偶者と子どもの帯同が可能です。 |
技能実習制度との違い
特定技能と混同されやすいのが「技能実習制度」です。両制度は外国人を企業で受け入れるという点は同じですが、その目的が根本的に異なります。
技能実習は「開発途上国への技術移転を通じた国際貢献」を目的としているのに対し、特定技能は「日本の労働力不足解消」を目的としています。この目的の違いが、在留資格の運用における様々な相違点を生み出します。
項目 | 特定技能 | 技能実習 |
---|---|---|
在留期間 | 1号:通算5年 2号:上限なし | 最長5年 |
転職の可否 | 同一分野内であれば原則可能(届出や受入れ要件確認が必要) | 原則不可(やむを得ない事情に限り実務上の取扱い変更あり) |
家族帯同 | 1号:不可 2号:要件を満たせば可 | 基本的に不可 |
求められる技能水準 | 入国前後に技能試験や日本語能力の確認が必要。即戦力としての期待度が高い | 入国前の技能試験は特になく、来日後の実習を通じて技能を習得 |
受け入れ人数 | 原則制限なし(政策目標として業種別受入見込みあり) | 常勤職員数に応じた上限あり |
主な関係機関 | 受入れ企業、登録支援機関、入管庁 | 監理団体、送出機関、技能実習機構 |
特定技能は即戦力としての活用を目的としているため、技能試験や日本語能力の確認が入国前後に求められます。一方で技能実習は、送出国側の選考や来日後の実習を通じて技能を習得していく制度です。両制度の違いを理解した上で、受入れ計画を立てることが重要です。
フィリピン人特定技能人材を雇用する際の具体的な流れ

特定技能のフィリピン人材を採用するための申請手続きは、対象者が日本にすでに在留しているか、それとも日本国外にいるかで大きく異なります。
- 日本国外のフィリピン人を採用する場合:在留資格認定証明書交付申請
- 日本在留のフィリピン人を採用する場合:在留資格変更許可申請
日本国外からフィリピン人材を特定技能で採用する流れ(在留資格認定証明書交付申請)
フィリピン人を特定技能で採用する場合、日本側の在留資格手続きに加え、フィリピン政府が定める送出手続きを完了させる必要があります。日比間で締結された特定技能に関する覚書(MOC)に基づき、悪質な仲介業者の排除と労働者保護が目的とされています。
フィリピン側では、DMW(旧POEA)による雇用契約の確認や、出国時に発行されるOEC(Overseas Employment Certificate)の取得が求められます。OECは単なる証明書ではなく、労働者の契約条件や保護措置を確認した重要な書類です。
日本の企業は、COE取得などの日本側手続きと、フィリピン側のOEC発給手続きを並行して進める必要があります。事前に両国の要件や窓口対応を把握しておくことで、渡航遅延などのリスクを避けられます。
日本国外のフィリピン人が特定技能の資格を取得して、日本入国・就労を開始するまでの大まかな流れは以下の通りです。
特定技能1号の資格取得には、各分野で固有の技能試験ならびに日本語能力試験(JLPT N4以上、またはJFT-Basicの合格)の合格が必須です。
日本の雇用主(受入れ機関)が募集する求人に応募し、選考を経て雇用契約を結びます。雇用契約は日本の労働関係法令を遵守し、特定技能雇用契約の基準を満たすことが求められます。
企業や登録支援機関が対象者に対して、採用前のオリエンテーションを通じて業務内容や報酬、入国手続き、日本での生活情報などを本人が理解できる言語で説明します。これは、日本での生活や就労に必要な基礎的な教育としての側面も持ちます。同時に健康診断も受診してもらいます。
対象のフィリピン人を受け入れる際、企業は生活支援計画を策定し、日本で安定した生活が送れるよう支援を行う義務があります。この支援は自社で実施することも可能ですが、専門の登録支援機関に委託することもできます。
フィリピン人本人に代わって企業もしくは登録支援機関が、地方出入国在留管理局に「在留資格認定証明書(COE)」の交付を申請します。申請には雇用契約書、支援計画書、合格証明書、健康診断書など多くの書類が必要です。
申請が認められると、在留資格認定の許可証が交付されます。本人はこれを受け取り、フィリピンの日本大使館や総領事館で査証(ビザ)を申請します。査証が発給された後、日本に入国し、入国審査を経て在留資格と在留カードが交付されます。
在留カードが交付された後、受入れ機関での就労を開始できます。入国時や住居地までの送迎、入居後の生活サポートなど、継続的な支援も重要なポイントです。
参考:法務省 出入国在留管理庁 在留資格認定証明書交付申請
ポイント1:フィリピン政府側(DMW・MWO)の手続き
フィリピン人特定技能人材を海外から採用する場合、まずフィリピン政府が認定した送り出し機関を選定し、募集取決めを締結します。その後、企業はMWO東京またはMWO大阪に、営業許可書の写しや雇用契約書など、10点以上に及ぶ必要書類を郵送で提出します。
MWOは提出された書類を確認した後、企業代表者または権限のある従業員に対し、面接を実施します。この面接は原則として英語で行われ、単なる書類確認ではありません。フィリピン政府が定める労働者の権利保護に関する規定を企業側が十分に理解しているか、また、労働条件が適切であるかを確認する重要な審査プロセスです。この面接をクリアできなければ、たとえ日本の入管手続きが完了しても、フィリピン人労働者は出国前に必要な海外雇用許可証(OEC)が発行されず、渡航が不可能となります。したがって、このMWOでの認証手続きは、フィリピン人材を海外から採用する上で最初の、そして最も重要な障壁の一つであるといえるでしょう。
ポイント2:日本政府側(出入国在留管理庁)の手続き
フィリピン政府側の手続きと並行して、日本の出入国在留管理庁に「在留資格認定証明書交付申請」を行います。申請には、雇用契約書のほか、支援計画書、給与に関する資料などが必要になります。この手続きは、企業の所在地を管轄する地方出入国在留管理庁の窓口またはオンラインで申請可能です。
ポイント3:入国前の最終準備と海外雇用許可証(OEC)の取得
日本の入管庁から在留資格認定証明書が交付されたら、原本をフィリピン人労働者へ送付します。労働者は、この証明書を元にフィリピン国内の日本大使館でビザ申請を行います。ビザ取得後、フィリピン人労働者はフィリピン政府が主催する「渡航前オリエンテーション(PDOS)」に参加し、健康診断を受診します。これらの手続きが完了し、最終的にDMWが「海外雇用許可証(OEC)」を発行します。OECは、フィリピン人労働者がフィリピンを出国する際に必ず提示が求められる書類です。
参考:
受入れ機関の方 | 出入国在留管理庁
MWO-Tokyo
日本在留のフィリピン人を特定技能で採用する流れ(在留資格変更許可申請)
日本国内にすでに在留しているフィリピン人を雇用する場合、海外からの採用とは異なり、MWO/DMWによる手続きの大部分が不要となります。これは、すでに日本の在留資格を持っており、フィリピン政府の「送出」手続きが完了しているためです。
日本に在留している外国籍の人(留学生、技能実習生など)が、特定技能へと在留資格を変更する場合の主な流れは以下の通りです。
海外からの場合と同様に、技能に関する試験と日本語試験の合格が求められます。しかし技能実習2号を良好に修了した場合は、これらの試験が免除される可能性があります。
企業と雇用契約を締結します。
受入れ機関または登録支援機関が事前ガイダンスを実施し、健康診断を受診してもらいます。
特定技能1号のフィリピン人を受け入れる場合、企業は生活支援計画を策定します。
フィリピン人本人(または申請取次の資格を持った行政書士等)が在留資格への変更を、地方出入国在留管理局に申請します。提出書類は、雇用契約書、支援計画書、技能試験・日本語試験の合格証明書、現在の在留カード、パスポート、住民票の写しなど多岐にわたります。
申請が審査に通ると、在留資格の変更が許可されます。新しい在留カードが交付されるか、現在の在留カードに新たな在留資格が記載されます。
在留資格変更許可後、受入れ機関での就労を開始できます。
ポイント1:技能実習からの在留資格変更
技能実習2号を良好に修了したフィリピン人は、特定技能1号の技能試験および日本語試験が免除される場合があります。この場合、企業と雇用契約を締結し、出入国在留管理庁で「在留資格変更許可申請」を行うだけで済み、海外からの採用に比べ、手続きが大幅に簡略化されます。
また送り出し関連費用や渡航費等が不要となるため、企業の採用コストを抑えられる傾向があります。とはいえ、金額には幅があるため、具体的なコスト比較は個別に見積もるべきです。
ポイント2:留学生などからの在留資格変更
留学生が特定技能に変更する場合は、雇用契約を締結し在留資格変更申請を行います。原則として技能試験と日本語試験の合格が必要です。
留学中に取得した学内の専門性や母国での資格が業務に活かせる場合、その強みを雇用契約や業務内容で示すと審査上の説明がしやすくなります。
法律で義務付けられた10の支援と登録支援機関の役割

特定技能1号の外国人を受け入れる企業は、出入国在留管理法等の運用に基づき、生活・業務支援について10項目の計画を作成し実施する義務があります。これらは受入れ後の安定就労と生活定着を図るための基本的な枠組みです。支援は記録化し保存する義務があり、入管等からの照会に備えておく必要があります。
- 事前ガイダンス
入国前に雇用契約の内容や制度の概要を母国語で説明します。本人が契約条件を正確に理解できることが目的です。 - 出入国時の送迎
入国・帰国時に空港等での送迎を行い、集合場所や緊急連絡方法を事前に共有しておきます。安全確保の観点から手順化することを推奨します。 - 住居確保・生活契約支援
住居の手配、賃貸契約の補助、銀行口座や携帯電話の契約支援など、生活基盤の整備を支援します。 - 生活オリエンテーション
日本のルール、交通機関の利用法、災害時の対応などを説明し、日常生活で必要な基礎知識を提供します。 - 公的手続き等への同行
役所手続きや住民票の取得など、初回手続きに同行または支援を行います。書類の翻訳や通訳の手配も含めると良いでしょう。 - 日本語学習の機会提供
日本語学校や学習教材の情報提供、学習機会の案内を行います。必要に応じて学習支援の実費負担についても検討してください。 - 相談・苦情への対応
母国語での相談窓口を設け、職場や生活に関する苦情や相談に迅速に対応する体制を整えます。 - 日本人との交流促進
地域行事や交流プログラムへの参加支援を通じ、地域社会への定着を後押しします。 - 転職支援(主に非自発的離職時)
所属機関側の都合で契約終了となった場合などには、次の就業先探しを支援します。自己都合退職すべてに支援義務が及ぶわけではない点に注意してください。 - 定期的な面談(原則3か月に1回以上)
原則として3か月に1回以上の面談を行い、生活・業務上の課題を把握します。対面を基本としますが、状況に応じてオンライン等を併用できます。
記録・保存と責任の所在
支援の実施状況は記録に残し、一定期間保存することが求められます。支援を外部の登録支援機関に委託した場合でも、最終的な実施責任は受入れ企業にあります。支援記録は入管等からの照会に対応できるよう、整然と保管してください。
登録支援機関の役割と選定ポイント
登録支援機関は、上記の支援計画の実施を代行できる組織です。多言語対応や生活支援のノウハウを持ち、実務的な負担を軽減してくれます。ただし、委託契約を結ぶ際は次の点を必ず確認してください。
- 登録の有無と登録番号、対応可能言語と実績。
- 委託範囲(どの支援項目を代行するか)と報告頻度。
- 費用の内訳と領収の取り扱い。
- 記録の引き継ぎ方法および監督官庁からの照会時の対応フロー。
契約書には「担当範囲」「報告義務」「秘密保持」「緊急時の連絡体制」「費用負担の明確化」を明記してください。これによりトラブルを未然に防げます。
運用上の実務注意点
- 支援項目は義務であり、実施記録の保存が求められる点を周知してください。
- 転職支援は「非自発的離職」が主な対象であると明確化すると誤解が避けられます。
- 登録支援機関へ委託しても監督責任は企業側に残るため、定期的に実施状況を確認してください。
- 支援の実施方法(対面・オンライン等)や緊急対応の手順は、事前に社内マニュアルとして整備しておくことが望ましいです。
特定技能フィリピン人受け入れのメリットと注意点

特定技能のフィリピン人を受け入れる主なメリットと、注意点をまとめました。
メリット1:高い語学力
フィリピンでは英語を公用語の一つとし、多くの人が英語を流暢に話します。宿泊業や外食業など、インバウンド需要が高まっている日本において、即戦力となる人材です。また幼いときから複数言語の中で育つためか、新たな言語の習得も早い傾向にあります。実際に日本で働く多くのフィリピン人が早い段階で日本語を喋れるようになっているため、英語が苦手な人が多い職場でも円滑なコミュニケーションが期待できます。
メリット2:ホスピタリティ精神
フィリピン人は明るく陽気で、人とのコミュニケーションを大切にする国民性を持っています。またフィリピン文化に根付いた「おもてなし」の心は、特に介護分野や飲食料品製造、宿泊業などで大きな強みとなります。彼らが提供する質の高いサービスは、利用者からも高い評価を受け、企業の評判向上にも繋がるでしょう。
メリット3:親日的で日本文化への適応力が高い
フィリピンでは日本のポップカルチャーが広く浸透しており、日本に対して良いイメージを持つ人が多いです。そのため、日本の文化や生活習慣への適応が比較的スムーズに進む傾向があります。これは、職場での人間関係構築や定着率の向上において重要な要素です。
メリット4:優秀で学習意欲の高い人材の確保
フィリピン国外で働くことを選択するフィリピン人は、家族を支えたいという強い目的意識と向上心を持っています。新しい技術や知識、日本語の習得に対しても意欲的であり、企業の成長に貢献する優秀な人材となるポテンシャルを秘めています。
メリット5:特定技能2号への移行による長期就労の可能性
特定技能制度は、熟練した技能を要する業務に従事する「特定技能2号」への移行が可能です。2023年に対象分野が拡大され、介護を除くほとんどの分野で1号から2号への道が開かれました。特定技能2号を取得すれば、在留期間の更新に上限がなくなり、家族の帯同も可能になるため、企業にとって長期的に安定した労働力を確保できるという大きなメリットがあります。

採用の際に必ず押さえるべき5つの注意点
メリットの多いフィリピン人採用ですが、成功させるためには事前に知っておくべき注意点もあります。
注意点1:フィリピン独自の複雑な出国手続きと必要書類
フィリピン人労働者を雇用するためには、フィリピンでOEC(海外雇用証明書)の申請など、独自の手続きが必要になります。提出書類も多く、英文での作成が求められるため、自社のみで対応するのは困難な場合があります。手続きに不備があると、採用プロセス全体が大幅に遅延するリスクがあります。
注意点2:他の国籍に比べ採用までにかかる期間
フィリピン人を採用するためには独自の手続きが必要であるため、候補者の面接から日本に入国して就労を開始するまで、他の国籍(例:ベトナム、インドネシア等)に比べて長くかかるのが一般的です。就労のためにフィリピンで発行が必要な書類もあるため、余裕を持った採用計画を立てる必要があります。
注意点3:宗教や文化・習慣への配慮
フィリピンは国民の多くが敬虔なキリスト教徒です。クリスマスやイースターといった宗教的な祝祭を大切にする文化があります。また、ミンダナオ島を中心に、イスラム教徒も存在します。食事面など彼らの文化や宗教を尊重し、理解を示す姿勢が、良好な関係を築く上で不可欠です。
注意点4:家族との強い絆を尊重する必要性
フィリピン人は家族との繋がりを非常に大切にします。定期的に連絡を取ったり、送金したりすることは、彼らの仕事へのモチベーション維持に直結します。企業側も、こうした国民性を理解し、例えば休暇の取得などに柔軟に対応することで、従業員の満足度を高めることができます。
注意点5:信頼できる送り出し機関・登録支援機関の選定
複雑な手続きを円滑に進め、採用後の定着を成功させるためには、信頼できるパートナー選びが最も重要です。フィリピン政府から認定を受けた現地の送り出し機関と、日本での支援実績が豊富な申請代行業者を慎重に選定することが、採用の成否を分けると言っても過言ではありません。

現場の声から学ぶ!特定技能フィリピン人採用のメリットと企業の果たす役割

では実際に特定技能フィリピン人を採用している企業の声をもとに、教訓を引き出してみましょう。
有限会社カミヤマの事例
有限会社カミヤマ(埼玉県朝霞市)は、建設業の分野で特定技能1号のフィリピン人を受け入れています。彼らは技能実習生として来日した後も日本語学校に通いながら、建設現場での実務経験を積み、特定技能への在留資格変更を果たしました。
企業側は、技能試験や日本語能力試験の合格を支援し、生活支援計画を策定して、定期的な面談や相談窓口の設置など、10項目にわたる支援を実施しています。これにより、受け入れ後の定着率が向上し、企業の生産性向上にも寄与しています。
社長は彼らについて「本当に優秀で努力家が多く、建設現場で粘り強く働いてくれる。日本人の若手では辞めてしまうこともある厳しい作業環境でも、フィリピン人材は最後までやり遂げてくれる」と述べ、フィリピン人を受け入れたメリットを強調しています。
現在、社員のジェシーさんは特定技能2号を目指し、1級技能士の資格取得に挑戦しています。社長は将来的に会社を譲りたいと考えており、フィリピン人社員にも日本で独立する夢を持ってほしいと語っています。こうした考え方が、外国人労働者を長期的に受け入れる体制づくりにつながっています。
教訓:企業が行うべき支援とは
カミヤマの事例から学べる教訓は以下の通りです。
- 生活支援の充実
住居の確保や生活オリエンテーションを通じて、外国人労働者が安心して働ける環境を提供することが重要です。 - 定期的なコミュニケーション
定期的な面談や相談窓口の設置により、労働者の不安や問題を早期に把握し、適切な対応を行うことが求められます。 - キャリアパスの明確化
技能実習から特定技能への移行支援を通じて、労働者のキャリアアップをサポートし、モチベーションの維持・向上を図ることが効果的です。
これらの支援を通じて、企業は外国人労働者の定着率を高め、長期的な人材育成と企業の成長に繋げることができます。

特定技能フィリピン人の採用にかかる費用と内訳

フィリピン人特定技能人材の採用費用は、大きく「採用活動・人材紹介」「渡航・ビザ関連」「初期生活支援」に分けられます。とくに海外からの採用では、フィリピン側の送出手続きに伴う費用が発生する点に注意が必要です。
以下は実務上よく見られる費用項目と概算の目安です。金額は業界の目安を示すものなので、契約時に必ず見積りを取ってください。
採用にかかる費用(海外在住者採用の目安)
費用項目 | 目安(レンジ) | 備考 |
---|---|---|
登録支援機関への委託費用 | 月額 約2万〜3万円/人 | 支援義務(生活オリエンテーション等)の代行費用。費用は企業負担で、外国人本人へ請求できません。 |
送り出し機関への手数料(フィリピン側) | 約20万〜60万円 | 募集・選考・書類作成・研修等を含む。DMWの公定額はなく、内訳確認が重要です。 |
DMW(旧POEA)関連手数料 | 変動(手続き内容に依存) | 求人登録や検証に係る手数料等。金額は時期・手続きで差があります。 |
在留資格関係の申請手数料 | 目安:数千円(収入印紙等) | 在留資格変更とCOE(在留資格認定証明書)は別手続き。申請先で扱いが異なるため要確認。 |
渡航費・入国前健康診断 | 約3万〜10万円 | 航空券・検査項目で変動。繁忙期や経路で増減します。 |
初期生活支援費(敷金・家具等) | 数万〜数十万円(条件により変動) | 敷金・礼金、家具家電購入、生活必需品等。地域差が大きいです。 |
合計(参考) | 数十万円〜100万円超/人 | 条件次第で大きく変わるため、「見積り必須」としてください。 |
費用の内訳と実務上の注意点
- 支援費用と負担の原則
特定技能1号の義務的支援にかかる費用は原則として受入れ企業が負担します。間接的にでも本人に費用負担を転嫁しないよう運用上の留意が必要です。 - 送り出し手数料の透明化
フィリピン側の送り出し機関とは、費用の内訳を明示した書面契約を結び、領収書を必ず受け取ることを推奨します。過剰な手数料や不明瞭な請求を避けられます。 - 在留手続きの違い
海外採用はCOE(在留資格認定証明書)を活用するのが一般的で、国内在留者の変更は「在留資格変更申請」です。混同しないようにしてください。 - 見積りの幅
表に示した金額は業界の目安です。募集条件、分野、受入れ支援の範囲、渡航時期などにより上下しますから、複数業者の見積りを比較することが重要です。 - コストと賃金の関係
特定技能外国人には、同等の業務に従事する日本人と同等以上の賃金が求められます。実務上は給与水準や支援コストを総合的に検討し、人材定着を見据えた条件設計を行ってください。 - 記録の保管
支援計画や健康診断、雇用契約、送り出し側との契約書類などは必ず保存し、必要時に提出できる状態にしておきましょう。監督官庁の照会に備える意味でも有用です。

MWO申請に必要な代行費用

フィリピン人労働者の雇用に必要なMWO申請手続きについては、専門の代行業者に依頼するのが企業にとってはトータルで考えて時間とコストの削減に繋がります。
MWO申請サポートでは、企業のニーズに応じて様々なサポートプランを提供しています。
MWO申請サポートへの手数料
プラン名 | 主な内容 | 税抜料金 |
---|---|---|
フルサービスパック | 書類作成・翻訳・提出代行・面接通訳・送り出し機関紹介など、すべて含まれる | 98,000円 |
書類パックのみ | 英文申請書類作成+日本語翻訳+記入サンプルなどの一式 | 45,000円 |
日本語サポートのみ | メール・電話での日本語サポート(記入確認や質疑応答など) | 45,000円 |
翻訳のみ | 日本語記入済内容を英語申請書へ翻訳記入 | 45,000円 |
面接時通訳 | MWO面接時に立ち会う通訳者の手配 | 45,000円 |
※別途、MWOへの実費(書類認証手数料など)が必要となります。また提携送り出し機関以外を利用の場合、全プラン8万円追加となります。
フィリピン独自の複雑な手続きは、専門家のサポートを得ることで、企業側の労力を少ないものにすることができます。
自社がどんな申請代行サービスを必要としているかを良く見極めて、依頼なさって下さい。
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特定技能人材の採用を検討する際によくある質問と答え

まとめ: 優秀なフィリピン人材との出会いと未来の共創に向けて

フィリピン人特定技能人材の採用は、単に日本の人手不足を解消するだけでなく、企業の組織に新たな活力をもたらすでしょう。その成功の鍵は、日本とフィリピン双方の複雑な制度を正確に理解し、入国後も継続的な支援を行うことにあります。
海外からの採用を検討する企業にとって、フィリピン政府の定めるMWO/DMW手続きは避けては通れない道です。この手続きをスムーズに進めるためには、専門的な知識と経験を持つパートナーの存在が不可欠といえるでしょう。
MWO申請サポートでは特定技能のフィリピン人採用を検討している企業に向けた、様々なサポートプログラムを提供しています。
まずは一度、お気軽にご相談ください。
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