IT業界の救世主?フィリピン人エンジニア採用を成功に導く全知識

フィリピン エンジニア

様々な職種で人材不足が叫ばれている現在、IT企業もエンジニア不足という課題が年々深刻さを増しています。経済産業省発表のデータによると、この傾向は今後も継続し、特に2030年にはIT人材の需要と供給のギャップがさらに拡大すると予測されています。

日本国内だけではこの課題を解決することは難しい現状の中で、多くの日本企業が世界市場へと目を向け、新たな活路を見出し始めています。その中でも、特に高い関心を集めているのがフィリピン人エンジニアです。

フィリピンはその独自の経済・社会構造から、高度な技術をもつエンジニアを世界中に輩出しています。しかし、フィリピン人エンジニアの採用は、単に現地の人材探しだけでは成功しません。異なる文化の理解、運営手段、そして何よりも複雑な法的手続きへの正しい理解が不可欠です。

当記事では、フィリピン人エンジニアの採用を検討している企業担当者の方々が抱く、こうした多岐にわたる疑問や不安を解消するため、市場動向から採用方法、法律的な観点、そして成功事例に至るまで、その全貌を徹底的に解説します

ぜひ最後までチェックなさってください。

目次

フィリピン人ITエンジニアの特徴|採用すべき理由

ITエンジニアとパソコン

フィリピンがIT人材供給地として台頭した背景には、独特の経済成長モデルや教育・市場環境など、様々な要因が組み合わさっています。

人口ボーナス期がもたらす若く豊富な労働力

フィリピンは若年人口の比率が高く、中央値年齢は約25歳です。若年層は量的な労働力を供給するだけでなく、デジタルネイティブとしての素地を持っています

2000年から2020年にかけて人口は大幅に増加しており、採用プールが広がっていることがわかります。そのため、日本企業が求める若手即戦力を補う可能性が高いと言えるでしょう。

デジタル接触の高さがもたらす即応力

若年層を中心にインターネットやスマートフォンの利用が広がっています。インターネット普及率は高く、SNSやモバイルサービスの利用が盛んです。

これにより、Webサービスやソーシャルコマースの理解度が高く、UX改善やマーケティング、フロント実装の業務でも力を発揮します。ただし、都市部と地方でのインフラ格差があるため、採用時には勤務地や勤務形態を含めた見極めが必要です。

国を挙げた教育投資と実務重視のカリキュラム

フィリピンの高等教育機関では、コンピューティング系や工学系の卒業生が年によって数万規模で輩出されています

AMA大学、マプア大学、デ・ラサール大学などでは、実習中心のカリキュラムが整備されており、在学中に実務に近いプロジェクト経験を積むことが可能です。

こうした学習プログラムがあることから、採用後のオンボーディング期間を短縮できる可能性があります。

グローバル企業との関わりが育む開発経験と英語運用力

フィリピンがIT大国へと成長した背景には、長年にわたる欧米企業との深い関わりがあります。アクセンチュアやサムスンといった多国籍企業がフィリピンに開発拠点を置くことで、欧米市場向けのプロダクト開発が盛んに行われてきました。

またフィリピンはアジアの中では珍しく、英語が公用語の一つであるため、高い英語力を活かしたグローバルな環境で豊富なプロジェクト経験を積んできたのです

日本で働く際にも最新情報の日本語翻訳を待つ必要がなく、圧倒的なスピードで技術を吸収することが可能です。

フィリピン人の国民性と日本との親和性

フィリピン人は陽気でフレンドリーな性格を持つ人が多く、初対面でもすぐに打ち解けることができるのが大きな特徴です。この温和な人柄は、日本の職場に心理的安全性の高い、穏やかな環境をもたらす可能性があります。

フィリピン人エンジニアも一般にコミュニケーションが柔らかく、職場での協働を得意とする性質が見られます。さらに家族を大事にする彼らの価値観が勤勉な労働観に結びつき、顧客の要件に対するコミットメントや納期意識の高さにつながるケースも多く見られます。

こうした彼らの国民性がチームや企業にもたらすメリットも、採用の大きな理由となるでしょう。

参考:Age and Sex Distribution in the Philippine Population|PSA

フィリピン人エンジニア探す方法

LinkedInのアプリをインストールしたスマホ

フィリピン人エンジニアをIT企業が採用する際には、適切なルートを理解し、現地の法規制に則って進めることが不可欠です。

大前提:現地の認定送り出し機関の利用

フィリピン政府は海外就労者の保護を重視しており、原則として DMW(旧POEA)が認定した送り出し機関を経由した募集・選考を義務付けています

過去には悪質なブローカーによる被害が相次いだため、直接募集は法律で禁止され、例外的に認められる場合も所定の承認手続きが必要です。

認定機関を通さずに雇用を進めても、最終的にOEC(海外雇用許可)が発行されないため、労働者は合法的に出国できません。

したがって日本企業は、必ずDMW認定の送り出し機関やエージェントと連携することが、法的にも実務的にも唯一の安全な方法となります。これらの専門機関は採用活動だけでなく、日本語研修、ビザ・渡航手続き、入国後の生活サポートまで一貫して支援できるため、採用担当者の負担を大幅に軽減します。

グローバルな求人サイトやSNSでの募集方法

DMW認定の送り出し機関と連携することを前提に、企業自らがグローバルな求人サイトやSNSを通じて候補者にアプローチする方法もあります。

特にLinkedInは海外のIT業界で広く利用されており、企業が候補者に直接スカウトメッセージを送れる機能もあります。JobStreetやKalibrr、その他の現地求人サイトも、IT関連職の募集に活用されています。

こうしたプラットフォームを利用することで、企業は「待ち」の姿勢から「攻め」の採用に転じることができます。ただし、候補者を見つけた後は必ず認定送り出し機関を通して正式な採用プロセスを進める必要があります。

フィリピン国内での現地法人設立という選択肢

長期的にフィリピン人IT人材を確保したい企業にとっては、現地に開発拠点を設立する選択肢もあります。フィリピンでは特定分野で外資100%の法人設立が認められており、自社文化に合ったチームを一から構築することが可能です

特にマニラ首都圏やセブのITパークのような産業集積地では、優秀な人材を採用しやすく、競争力のある拠点づくりにつながります。

ただし法人設立には一定の法的要件があり、資本金規模や業種によって条件が異なります。また人気エリアではオフィス賃貸の空室率が低い場合もあるため、事前の調査と慎重な計画が欠かせません。

スクロールできます
メリット注意点
認定送り出し機関手続きが一貫して安心
法規制に準拠できる
研修や生活サポートも可能
仲介コストがかかる
送り出し機関を介さないと、採用した人材が来日できない恐れがある
グローバル求人サイト/SNS優秀な人材に直接アプローチ可能
企業主体で採用活動できる
文化的適合性も事前に確認可能
法的手続きは別途必要
日本語対応が難しい場合あり
入国後サポートを企業側で用意する必要も
現地法人設立長期的な人材確保が可能
自社文化に合ったチーム構築
事業のグローバル展開を加速
設立に時間とコストがかかる
現地法規や商習慣の理解が必要
オフィスやインフラの整備が課題

参考:DMW

フィリピン人エンジニア採用を成功させるために

デスクで作業をしているフィリピン人エンジニア男性2人

フィリピン人エンジニアを採用する上で最も重要なのは、単に人材を確保することだけではありません。彼らが日本で、そして貴社で長期的に活躍できる環境を整えることが本丸です。

そのことを踏まえて、フィリピン人エンジニア採用のための秘訣を探ります。

労働文化の実態と誤解を避ける表現

フィリピンでは「家族を大切にする価値観」が強く、ワークライフバランスを重視する傾向が見られます。とはいえ、業種や職場によって働き方は様々です。BPOや一部のIT現場では長時間労働や交代制が普通という職場もあるため、「残業はしない」「常に時間にルーズだ」といった単純化は避けるべきです。

「Philippines time」という俗称があることは事実ですが、背景には交通事情や社会的事情、コミュニケーションの取り方など複合的な要因があるため、文化を一括りにして評価しないことが重要です

ポイント

日本側は期待する勤務態度や就業ルールを明文化し、初期オンボーディング時に共有してください。ジョブディスクリプションや就業規則で「残業の扱い」「コアタイム」「報告ライン」を明確にするだけで、認識ズレは大きく減ります。

給与・福利厚生は「日本での採用」を前提に設計する

フィリピン人エンジニアを日本で採用する場合、技人国ビザでの採用が前提となるため、給与も日本人スタッフと同等以上であることが求められます

したがって、募集段階から年俸(月給)の内訳、雇用形態、勤務時間の取り扱いを明示し、在留資格要件と齟齬がない雇用条件であることを求人票に記載してください。

また家族を重視する文化的配慮(帰省支援や柔軟な休暇など)は定着率向上に寄与しますが、福利厚生の設計は必ず日本の法制度や社内規定に整合させる必要があります。

ポイント

年俸提示時に「日本での標準的報酬+家族支援制度の有無」を設定・明示すると、応募者の信頼を得やすくなります。

受け入れ体制への投資

採用後の最初の数ヶ月で定着が決まります。受け入れ体制に投資することは、採用コストの回収を早め、離職リスクを低減します。

日本語研修や生活サポート(住居・銀行口座・携帯契約の支援)、業務に必要な日本特有の慣習教育を計画してください。日本側のマネージャーにも多文化マネジメント研修を行うと、摩擦は減ります。

オンボーディングの典型的フロー
  1. 初日オリエン(期待値・組織ルールの共有)
  2. 1週間目:業務ツールとプロセスのハンズオン
  3. 1ヶ月目:成果物定義の確認と初回レビュー
  4. 3ヶ月目:評価・キャリアパス面談

評価と報酬の透明化&キャリアパスの明示

目標と評価軸(KPIやOKR)を早期に共有し、評価と昇給・昇進の基準を透明にしておきましょう。キャリアパスが見えれば、長期在籍の動機付けになります。技術研修や資格支援、社内ジョブローテーションの制度を整備することも有効です。

文化的配慮と現場での実践例

文化的な違いを前提にしつつ、互いの強みを活かすことが肝要です。フィリピン人は協調性や顧客志向、臨機応変さに長ける人が多いので、チームの多様性として位置づけてください。現場では以下を習慣化すると効果的です。

  • 重要な指示は「口頭→書面→確認」の三段階で確実化する。
  • フィードバックは否定ではなく建設的に伝える(尊重を示すアプローチ)。
  • 小さな成功を可視化し、チームで共有することでモチベーションを維持する。

これらを行っていけば、フィリピン人エンジニアの採用は「人を採る」行為から「組織の競争力を高める投資」へと変わります。長期的な視点で受け入れ設計に取り組んでください。

フィリピン人採用で必須となる法律・制度と日本の在留資格

日本とフィリピンの国旗

海外からの人材採用で最も複雑なのは法的手続きです。特にフィリピン人エンジニアを来日させる場合は、日本側とフィリピン側の双方で異なる制度が絡むため、手順と責任主体を明確にして進める必要があります。

日本の在留資格「技術・人文知識・国際業務」の概要

ITエンジニアを日本で雇用する場合、代表的な在留資格は「技術・人文知識・国際業務(いわゆる技人国)」です

受け入れ企業は、在留資格認定証明書(COE)交付申請のために、職務記述書、雇用契約書、報酬・就労条件などを用意して入国管理局へ提出します。

COEが交付されると、候補者は日本大使館/総領事館でビザ申請を行い、ビザが発給されれば来日・在留カード交付へと進みます。COEの審査では、大学専攻と業務内容の整合性や報酬の妥当性が重視されます。

参考:在留資格「技術・人文知識・国際業務」 | 出入国在留管理庁

MWO申請

フィリピン人エンジニアの採用には、日本の入国管理局への在留資格申請手続きと並行して、フィリピン側のMWO申請手続きを進める必要があります

以前はPOLOという名称で知られていたMWOは、フィリピンのDMW(移住労働者省)の海外出先機関であり、日本では東京と大阪にMWOが設置されています(駐日フィリピン共和国大使館・総領事館内)。 

DMWとMWOはフィリピン人労働者の権利保護、福祉の向上、海外雇用の促進と管理を一元的に行うことを目的としています。そのため、フィリピン人エンジニアを採用する際にも、MWOへの申請が義務付けられています。ただし、すでに日本で就労している技人国ビザ持ちのフィリピン人エンジニアの採用の際には、MWOへの申請は不要です。

MWOへの申請手続きは、一般的に以下の流れで進みます。

手順
STEP
申請書類の提出

まず必要な申請書類や資料を準備し、MWO(東京または大阪の事務所)に送付(郵送)します。

STEP
MWOによる審査と承認

次に、MWOによって提出された書類に基づいて審査が行われ、雇用契約の内容などが適切であると判断されれば、フィリピン政府から正式な認証が得られます。この承認によって、フィリピン人人材の募集活動が行えるようになります。

STEP
フィリピン人人材の採用

フィリピン人人材の募集を行い、採用・雇用契約を結びます。

採用プロセスの流れ(日本・フィリピン)

日本側での手続き
1. 在留資格認定証明書交付申請入国管理局へ書類提出(日本の会社が実施)
2. 在留資格認定証明書(COE)の発行入国管理局からの審査承認後、交付
3. ビザ(査証)申請フィリピンの日本大使館へ(本人と送り出し機関が実施)
4. 在留カードの発行フィリピン人エンジニアが日本入国時に空港で交付
フィリピン側での手続き
1. MWO申請MWO(東京・大阪)へ書類提出、面接(日本の会社が実施)
2. DMW(旧POEA)による認可現地の送り出し機関がDMWへ書類提出
3. OEC(海外就労認定証)取得送り出し機関がDMWへ申請、発行
4. 日本への出国OEC提示でスムーズに出国可能

このMWOへの申請は非常に複雑であるため、時間と手間を省きながら採用を確実なものにするためにも、専門の代行業者を利用することが一般的です。

参考:フィリピン国籍の方々を特定技能フィリピン人として受け入れるまでの手続の流れ|法務省  

MWO申請サポートへの手数料

MWO申請サポートでは、企業のニーズに応じて様々なサポートプランを提供しています。

プラン名主な内容税抜料金
フルサービスパック書類作成・翻訳・提出代行・面接通訳・送り出し機関紹介など、すべて含まれる98,000円
書類パックのみ英文申請書類作成+日本語翻訳+記入サンプルなどの一式45,000円
日本語サポートのみメール・電話での日本語サポート(記入確認や質疑応答など)45,000円
翻訳のみ日本語記入済内容を英語申請書へ翻訳記入45,000円
面接時通訳MWO面接時に立ち会う通訳者の手配45,000円
※別途、MWOへの実費(書類認証手数料など)が必要となります。また提携送り出し機関以外を利用の場合、全プラン8万円追加となります。

フィリピン独自の複雑な手続きは、専門家のサポートを得ることで、企業側の労力を削減できます。

自社がどんな申請代行サービスを必要としているかを良く見極めて、依頼なさって下さい。

\ 詳しくはこちらから /

事例から学ぶ!フィリピン人エンジニア採用と定着の秘訣

デスクで作業をしているフィリピン人エンジニア女性2人

実際にフィリピン人エンジニアが活躍している企業の事例から、採用と定着の秘訣を探っていきましょう。

株式会社コムデの事例

東京都のITベンチャー・コムデでは、マニラ生まれのフィリピン系エンジニアが現地支社で採用され、のちに日本本社へ移動しました。

インタビューで彼は「日系企業という安心感」が入社の決め手だったと語っています。職場では家族や文化の違いを尊重しつつ、日本的な規律やコミュニケーションを丁寧に伝える仕組みづくりを意識しているとのことです。

コムデのエンジニアチームでは「根底にお互いへのリスペクトを持ちながら接して」いることが強調されており、その結果「複雑な人間関係がなく会話もスムーズ」になっていると述べられています。

また国内外に拠点を持つ同社は、社員同士の連携強化にも注力しています。例えば毎週金曜には東京本社とフィリピン拠点をオンラインビデオチャットでつなぎ、軽いゲームで親睦を図る取り組みも実施中で、「海外の拠点とも同じくコミュニケーション・連絡を取っていくことで仕事が楽しくなるし、できることも増える」と、その効果と実績について語っています。

教訓
「日系企業である安心感」の訴求

フィリピン出身社員は「日本企業というバックグラウンド」に安心感を抱きやすい傾向があります。求人説明や面談の場で会社の安定性や日系らしさをきちんと伝えると、応募者の信頼感向上につながります。

尊重とチームワークの重視

コムデのエンジニアチームは相互にリスペクトし合う文化が根付いており、人間関係のトラブルが起きにくい環境です。上司や先輩が率先してフィリピン人メンバーに声をかけ、相談しやすい雰囲気をつくることで、離職を防ぐ効果があります。

拠点間コミュニケーションの促進

 現地支社と東京本社間で定期的にビデオチャットや交流会を設け、ゲームや雑談を通じてチームの一体感を高めています。こうした社内交流イベントは、遠隔地メンバーの帰属意識向上やモチベーション維持に寄与します。

参考:システムエンジニアの若きエースが今後目指す先とは? | Members Interview

まとめ:フィリピン人エンジニアの採用で企業の未来を切り開く

ITエンジニアリング

日本のIT人材不足という喫緊の課題に対し、技術レベルの高いフィリピン人エンジニアの採用は、非常に有望な解決策となり得ます。

フィリピンは、若く豊富な労働力、国を挙げたIT教育、そしてグローバルなプロジェクトで培われた高い技術力と英語力を兼ね備えており、日本のIT企業にとって大きな力となるでしょう。単なる人手不足の解消に留まらず、企業のグローバル展開を加速させ、新たなビジネスチャンスとイノベーションを生み出す契機となるはずです。

とはいえ、フィリピン人エンジニアの採用には、MWOへの申請など、煩雑で専門的な知識が求められる手続きが伴います。こうした手続きを円滑に進め、採用を成功させるためには、専門家のサポートを活用することが一番の近道と言えるでしょう。

MWO申請サポートでは皆様のニーズに応じた、様々なサポートプログラムを提供しています

まずは一度、お気軽に弊社までご相談ください。

\ ご相談はこちらから /

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