高度人材ビザとは?外国人(フィリピン人)専門職を雇用する制度と方法を解説!

日本経済の持続的な発展には、イノベーション創出と国際競争力の強化が不可欠です。
しかし現在、国内の少子高齢化は深刻化し、多くの企業が人手不足、特に高い専門性や技能を持つ「高度外国人材」の確保がますます必要になっています。
このような状況において、特に成長著しいフィリピンからの人材獲得は、企業にとって優先度が非常に高い検討事案であるに違いありません。
本記事では、フィリピン人採用を検討している企業担当者様を対象に、日本政府が優秀な外国人材の受け入れを促進するために設けた「高度人材ビザ(高度専門職在留資格)」に焦点を当て、その制度の概要から具体的な申請プロセス、企業が利用すべきメリット、さらに採用後の定着支援に至るまで、多角的なポイントを詳細に解説します。
複雑な制度を理解し、企業のグローバル人材戦略を成功させるための実践的な方法を提供しますので、ぜひ参考にして下さい。
高度人材ビザとは?フィリピン人採用に不可欠な基礎知識

高度人材ビザ(正式には「高度専門職」)は、優れた知識や技術、経験を有する外国人を積極的に受け入れるために、2012年に創設された在留資格です。
一般的な就労ビザに比べて、在留期間や就労範囲、永住許可への道筋など多くの優遇措置が設けられており、日本国内の産業競争力強化や国際化を推進するための重要な制度となっています。
フィリピン人に限らず、ポイント制で一定の基準を満たす優秀な外国人を対象としている点が大きな特徴です。
高度専門職1号・2号の違いと対象活動
高度専門職の在留資格は、活動内容や在留期間に応じて「高度専門職1号」と「高度専門職2号」に大別されます。
自社がどのような人材を招聘したいかをイメージしながら、それぞれの特徴を押さえておきましょう。
高度専門職1号 | |
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在留期間 | 原則として一律5年 |
対象活動 | 以下のいずれか3つの区分に該当する活動 高度学術研究活動(イ) ・大学や研究機関における研究・研究指導など ・例)大学教授、研究者 高度専門・技術活動(ロ) ・人文または自然科学の分野における専門的・技術的業務 ・例)ITエンジニア、国際会計士、コンサルタント、医師 高度経営・管理活動(ハ) ・日本国内の公私機関で事業経営や管理を行う業務 ・例)企業役員、部長職などの管理職 |
ポイント制要件 | 学歴・職歴・年収などの要素で計算されるポイントが70点以上であることが必要 |
優遇措置例 | 在留期間の一律付与 配偶者や家族の帯同(配偶者の就労も認められる) 永住許可申請要件の緩和 など |
上記のように、「1号」は在留期間を5年で固定し、ポイント制をクリアした外国人が「大学や研究機関での研究」「高度な専門技術の実務」「事業の経営・管理」などに従事できる枠組みです。
高度専門職2号 | |
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在留期間 | 無期限(永住許可に準ずる扱い) |
対象活動 | 高度専門職1号で許可された活動(イ・ロ・ハ)を継続する他、「原則としてすべての就労活動」が認められる |
移行要件 | 高度専門職1号として日本で継続して3年以上活動していること 年収や学歴などの一定要件(具体的には年収要件300万円以上など)を満たすこと |
メリット | 在留期限がなくなるため、更新手続きの煩雑さが軽減 ほぼ永住者と同様に自由な就労活動が可能 配偶者・ご家族の帯同要件もさらに柔軟になる |
「2号」は、1号として一定期間・要件をクリアした後に申請できるステップアップの在留資格で、より長期的に日本に定着しやすい仕組みになっています。
高度人材ビザのポイント計算の仕組み:フィリピン人候補者の適合性確認

高度人材ビザ(高度専門職)の申請には、学歴や職歴、年齢、年収、語学力、研究実績などを総合して「ポイント計算」を行い、合計70点以上を獲得することが基本要件となります。
フィリピン人候補者を採用する際も、事前に以下のポイントを確認し、適合性を判断することが重要です。
区分 | 配点例(基本) |
---|---|
学歴 | 博士号(Ph.D.):30点 修士号(Master’s degreeを保有する場合):20点 学士号(Bachelor’s degree/いわゆる大学卒業):10点 ※「複数の学士号で20点」という制度はなく、学士はどれだけ多数取得していても10点が上限となります。 |
職歴 | 3年以上:5点 5年以上:10点 7年以上:15点 10年以上:20点 (要件該当で最大25点) 10年以上かつ管理職や特定の役職要件を満たす場合:25点 ※フィリピン人候補者がIT企業や研究機関で7年以上の経験があれば15点獲得でき、さらに管理職経験があれば最大25点を目指せます。 |
年齢 | ~29歳:15点 30~34歳:10点 35~39歳:5点 40歳以上:0点 若手エンジニアを採用したい場合は、30歳未満であるほど有利です。フィリピン人の場合、留学後すぐに応募するパターンでも十分点数を獲得しやすい傾向があります。 |
年収 (年齢別要件) | 年収配点は、まず「年齢ごとに設定された必要年収」を満たすことが前提となります(例:30~34歳であれば年収500万円以上が必要)。 そのうえで、以下のように配点がつきます。 600万以上:20点 800万以上:30点 1,000万以上:40点 ※300万円や400万円台の細かい区分は存在せず、最低でも600万円以上ないと0点扱いになります。フィリピン人候補者を採用するときは、年齢に見合った水準の提示年収を設定しましょう。 |
日本語能力 | N1合格または日本語専攻卒:15点 N2合格:10点 |
研究実績 (特別加算) | 学術論文 論文50編以上:10点 論文30編以上:5点 特許取得実績 5件以上の特許:5点 外国資格・表彰(法務大臣が認めるもの):5点 成長分野プロジェクト従事(イノベーション関連など):中小企業所属なら5点、非中小企業でも10点 ※フィリピン人エンジニアが国際会議で発表した経験や特許を持っていれば、これら特別加算でさらに点数を伸ばせます。 |
計算例:フィリピン人ITエンジニア候補の場合
以下は、30歳のフィリピン人ITエンジニア(修士号取得、実務5年、年収800万円、JLPT N2、論文30編)が高度人材ビザを目指す場合のモデル計算例です。
項目 | 条件 | 配点 |
---|---|---|
学歴 | 修士号 | 20点 |
職歴 | 実務5年 | 10点 |
年齢 | 30~34歳 | 10点 |
年収 | 800万円以上 (30~34歳の必要年収500万円以上を満たす) | 30点 |
日本語能力 | JLPT N2合格 | 10点 |
研究実績・特別加算 | 論文30編以上 | 5点 |
合計 | 85点 |
合計85点で必要点数の70点を超えるため、「高度専門職」申請の対象となります。
フィリピン人ITエンジニアであれば、日本での学会発表や大学院進学支援を活用しやすいため、ポイントクリアしやすい傾向があります。
企業の視点から見る高度人材ビザ:グローバル人材採用戦略の構築

高度専門職ビザ(高度人材ビザ)は、単なる在留資格取得のための手段ではなく、企業が中長期的にグローバル人材を取り込み、持続的な成長を実現するための重要な戦略的ツールです。
特にフィリピン人高度人材を採用する場合は、ビザ申請にとどまらず、採用から定着までを見据えた包括的な戦略を構築する必要があります。
優秀なフィリピン人高度人材の獲得戦略:採用から定着まで
1. ターゲット人材の明確化と連携ルートの構築
まず最初に、自社が本当に必要とする専門性・経験・語学力を具体的に定義しましょう。
- 専門分野:AI・機械学習エンジニア、データサイエンティスト、組み込みソフト開発エンジニアなど
- 経験・スキル:修士号以上、実務5年以上、国際プロジェクト参画経験
- 語学要件:JLPT N2相当(日本語業務対応)、ビジネス英語(TOEIC 800点以上など)
これらの要件は、高度専門職ビザ申請時の「ポイント計算」にも直結します。
たとえば「修士号=20点」「実務5年以上=10点」「日本語N2=10点」「年収800万円以上=30点」など、合計70点以上を目指すことが前提です。
ターゲット像を曖昧にせず、社内で共有しておくことで、採用要件とビザ申請要件の齟齬を防げます。
また、フィリピン国内の上位大学(フィリピン大学、デラサール大学、アテネオ大学、マプア大学など)や研究機関と連携し、インターン・学生向け説明会を行うことで、優秀人材の母集団を確保しやすくなります。
実際、多くの日本企業が現地大学とのパイプを築き、新卒採用やインターン採用を通じて「将来的に高度専門職を目指す候補者」を育成する事例が増えています。
2. 魅力的な労働条件・キャリアパスの提示
高度人材は世界中の企業からオファーを受ける可能性があります。
そのため、単に「日本の給与水準を提示する」だけではなく、キャリアプランや企業文化の魅力を具体的にアピールすることが重要です。
特にポイント計算上、年収は大きなウェイトを占めるため、以下を目安に社内予算を策定しましょう。
- 30~34歳の場合(必要年収:500万円以上)
- 35~39歳の場合(必要年収:600万円以上
- 40歳以上の場合(必要年収:800万円以上)
提示する年収がこれらの基準を下回ると「年収ポイントが0点」になるため、ビザ申請時に合計70点に到達できないリスクがあります。
加えて、フィリピンの優秀人材は欧米企業やASEAN諸国の企業からも高水準のオファーを受けるケースがあるため、昇進・昇給スピード、研究開発プロジェクトへの参画機会、リーダーシップ研修など「キャリアパスの明示」が求められます。
経済産業省の報告によると、「キャリアパスが不透明なまま入社した外国人材の離職率は高い」というデータもあり、早期定着のためには研修・評価制度の充実が不可欠です。
3. 多言語対応の採用プロセス整備
フィリピンでは小学校から英語教育が行われ、大学では多くの授業が英語で実施されています。
さらに英語を使用する業務経験も豊富なため、多くの人材がビジネス英語での実務に対応できるレベルにあります。
一方で、日本国内のプロジェクトや社内コミュニケーションで円滑に業務を行うためには、JLPT N2レベル程度の日本語力が求められる場合が多く、特に顧客折衝や日本人メンバーとの会議では日本語でのやり取りとなることも多いでしょう。
したがって、採用面接や内定後のコミュニケーションは「英語 ⇔ 日本語両対応」が理想的です。
具体的には、
- 書類選考・一次面接:英語+日本語両方で実施可能な担当者を配置
- 最終面接~オファー面談:要件に応じて日本語がある程度話せる面接官と実施
- 内定後のビザ説明会・就業前オリエンテーション:日本語学習支援や社内日本語メンターをアサイン
といったプロセスをあらかじめ設計しておくと、候補者の安心感が高まり、採用後のミスマッチを防ぎやすくなります。

4. ビザ申請サポート体制の構築
高度専門職ビザの申請には、学歴・職歴・年齢・年収・日本語能力・研究実績など、多岐にわたる証明書類と「ポイント計算表」を提出する必要があります。
社内でこれらを一括管理し、かつ候補者に代わって手続きをサポートできる体制を整備しましょう。
サポート体制 | 概要 |
---|---|
専用窓口の設置 | 人事部門内に「ビザ申請担当者」を明確に配置し、候補者との連絡窓口を一本化 ビザ準備チェックリスト(学歴証明、職務経歴証明、年収証明、JLPT合格証、論文リストなど)を用意 |
専門家(行政書士・弁護士等)の活用 | ポイント計算や書類要件は頻繁に更新されるため、専門家と契約し、最新版ガイドラインに沿ったアドバイスを受ける トラブルリスクを減らすために事前に書類のドラフトやポイントシミュレーションをチェックしてもらう |
進捗管理と候補者フォロー | ビザ申請状況を社内で「ステータストラッカー(一覧管理)」し、推移・提出漏れを可視化 候補者に対しては「次に何が必要か」「いつまでに何を提出すればよいか」を明確に共有し、不安を解消する |
これらを整えることで、候補者は「自分が大切にされている」と感じやすくなり、結果として内定辞退率を下げ、信頼関係を構築できます。
5. 入社後のオンボーディング・定着支援
ビザが取得できた段階が「スタートライン」であり、入社後のきめ細かいサポートが人材の定着・活躍に直結します。
以下のような支援施策を検討しましょう。
- 生活基盤の整備サポート
- 住居探しの手配:現地不動産会社の紹介、敷金礼金を含む初期費用の補助、家具・家電レンタルの手配
- 銀行口座開設サポート:必要書類準備の案内、金融機関との同行サポート
- スマートフォン契約・公共交通ICカード取得支援:各種契約手続きをわかりやすくガイド
- 文化・日本語学習支援
- 社内日本語レッスンプログラム:マンツーマンまたはオンライン講師と契約し、N2→N1取得を目指す
- メンター制度:社内で日本人メンターを割り当て、定期的に生活・業務キャッチアップの相談を実施
- 社内勉強会・懇親会:文化理解を深める交流イベントや、日本企業文化の背景を学ぶセミナーを定期開催
- キャリアパス設計とフォローアップ
- 中期・長期キャリアプラン面談:入社3カ月後、半年後、1年後に人事面談を実施し、キャリア目標やスキルアップ計画をブラッシュアップ
- 評価・昇給制度の透明化:評価基準や昇給のポイント、昇格要件をあらかじめ提示、合否の理由をフィードバック
- 海外出張・産学連携プロジェクト参画機会の提供:フィリピン人高度人材が母国や近隣ASEAN諸国での研究開発・技術支援プロジェクトに参加できる機会を設ける
これらの施策を段階的に実行することで、フィリピン人高度人材が「日本で安心して成長できる環境」を実感しやすくなり、早期離職リスクを大きく抑制できます。
フィリピン人高度人材採用のメリット

高度専門職ビザには、企業が優秀な外国人材を雇用するだけでなく、さまざまな優遇措置を受けられるメリットがあります。
これらの優遇措置を最大限に活用することで、貴社の事業を一層発展させることが可能です。
在留期間の緩和:長期的な雇用と事業計画の安定化
高度専門職1号は、在留期間が一律「5年」として付与されます。
一般的な就労ビザでは、在留期間が1年あるいは3年ということもありますが、高度専門職1号では更新も可能な「5年」を一律で得られるため、長期的な採用において計画が立てやすくなります。
高度専門職2号に移行すると、在留期間は「無期限」となります。
これにより、更新手続きにかかる手間やコストを削減でき、企業としてはフィリピン人高度人材を長期にわたり安定的に雇用することが可能です。
- 事業計画を中長期で策定できるため、人材育成やプロジェクトの継続性が担保される。
- フィリピン人エンジニアや研究者が定着しやすく、ナレッジの蓄積やノウハウ伝承が進む。
永住許可要件の緩和:優秀な人材の日本への定着促進
通常、日本で永住許可を得るには「原則10年以上の継続在留」が必要ですが、高度専門職1号で「3年間」就業していれば永住申請が可能です。
さらに、特に高度ポイントが「80点以上」の場合には、1年間の就業実績のみで永住申請ができるルートもあります。
- フィリピン人高度人材自身のモチベーションが向上し、長期的に日本企業でキャリアを築こうとする意欲が高まる。
- 将来的な優秀人材の離職リスクが低減し、採用コストの回収や社内プロジェクトの継続性が確保されやすくなる。
配偶者・親・家事使用人の帯同:家族全体での移住支援
- 配偶者の就労
-
高度専門職1号・2号の配偶者は、一般的な就労ビザ取得要件(学歴・職歴など)が不要です。
配偶者として来日後、学歴・職歴要件なしで週28時間を超える就労が認められます。
- 親の帯同
-
高度専門職ポイント制において一定の条件を満たせば、高度専門職1号・2号の親を帯同者として呼び寄せることが可能です。
特にフィリピンでは家族と同居する文化が重視されるため、この帯同枠は大きな安心材料となります。
- 家事使用人の雇用
-
高度専門職1号では、所定の年収要件(世帯年収およそ3,000万円以上)等の条件を全て満たした場合に、外国人家事使用人を最大2名まで雇用できます。
- フィリピン人高度人材が家族と共に来日できることで、精神的にも安心して業務に集中できる環境を提供できる。
- 家族帯同のサポートをアピールポイントにして採用活動を行うことで、競合他社との差別化につながる。
入国・在留手続の優先処理:迅速な人材確保
高度専門職ビザでは、在留資格審査が優先的に行われるため、一般的な就労ビザよりも短期間で許可が下りやすくなっています。
特に緊急性の高いプロジェクトや、専門知識を早急に必要とする場合に有効です。
- プロジェクト開始を迅速にできるため、ビジネススピードを維持・向上できる。
- 採用決定から来日までのリードタイムが短くなるため、他社に先んじて優秀なフィリピン人高度人材を確保できる。
その他の優遇措置
複合的な在留活動の許容
高度専門職1号・2号の場合、従来は別々の在留資格が必要だった「大学での研究」と「企業での技術指導」を同時に行うなど、複数の活動を同時に認められます。
これにより、大学・研究機関と企業をまたいだプロジェクトへの参画が可能です。
- 大学と連携した共同研究プロジェクトや、産学連携での新規事業開発など、活動領域を自由に広げられる。
高度人材ビザの申請手続き:企業が押さえるべきポイント

高度人材ビザの申請手続きは、一般的な就労ビザに比べて書類の準備項目や審査のポイントが多いため、様々なポイントに注意しながら手続きを進める必要があります。
ここではその手続きの大まかな流れや、押さえるべき注意点などをまとめました。
申請の基本的な流れ(おおよその所要期間/主要ステップ)
企業(受入れ機関)は会社概要や決算書、事業計画書などを準備。
申請者本人は履歴書/職務経歴書、卒業証明書、在職証明書、年収証明、日本語能力証明などをそろえます。
企業が応募者の代理人として、管轄の出入国在留管理庁へ提出します。
提出後、優先的に審査されるため、一般的な就労ビザよりも比較的短期間で結果が得られやすい傾向にあります(ただし、年度末や繁忙期は通常より時間を要する場合もあります)。
学歴・職歴・年収・ポイント計算の根拠資料、企業計画の説得力などを総合的にチェック。
審査中に追加書類や説明を求められた場合は、迅速かつ誠実に対応しましょう。
要件を満たしていると認められれば、認定証明書が交付される(海外招聘の場合)。
国内在留者の変更申請であれば、その場で在留資格が変更されます。
認定証明書取得後、現地の日本大使館・領事館へ査証申請を行い、ビザ(査証)を取得します。
日本到着時に空港で在留カードを受け取り、そのまま就労が可能になります。
申請時の注意点・成功のポイント
申請書や各種証明書に誤りや虚偽があると、審査が長引くどころか不許可になるリスクがあります。
特に年収や職歴、研究実績などは「客観的に裏付けられる書類」を必ず添付しましょう。
「なぜこの人材が高度人材に該当するのか」「企業がなぜ該当者を採用する必要があるのか」を、具体的な業務内容や将来展望とともに明確に示すことが重要です。
単なるポジション名ではなく、「〇〇のプロジェクトで〇〇の成果を期待している」「本採用後に□□技術を開発し、市場競争力を向上させる」など、具体事例を交えると審査官にも伝わりやすくなります。
【必須項目】
- 学歴(卒業証明書)
- 職歴(在職証明書、職務経歴書)
- 年齢(戸籍謄本等)
- 年収(雇用契約書・源泉徴収票)
- 日本語能力(JLPT合格証)
- 研究実績(論文リスト、特許証明書など)
特に「年収」は、年齢別に定められた「必要年収」を満たしているかを確認したうえで、給与明細や源泉徴収票で金額を明示できるようにしましょう。
審査中に「追加資料提出」や「説明依頼」が来た際は、速やかに対応することで審査が長引くリスクを抑えられます。
必要に応じて、窓口で簡易チェックを受けられる場合もあるため、申請前に最寄りの入国管理局へ「事前相談」を申し込むのも有効です。
高度専門職ビザの審査基準や書類要件は頻繁に更新されます。
初めて申請を行う場合や、経営管理系(1号ハ)で複雑なケースになる場合は、最新情報に精通した専門家を活用すると安心です。
特に企業規模や業種によって、必要書類が細分化されるケースがあるため、事前のチェックを専門家に依頼するとスムーズです。
MWO申請:フィリピン人採用のための必須要項

高度専門職でフィリピン人を雇用する場合には、ビザとは別にMWOへの申請が必要です。
MWO(Migrant Workers Office:移住労働者事務所)は、過去にはPOLO(Philippine Overseas Labor Office:フィリピン海外労働事務所)という名称で知られていました。
MWOはフィリピンのDMW(Department of Migrant Workers:移住労働者省)の海外出先機関であり、各国に設置されています。
日本では東京と大阪にMWOが設置されています(駐日フィリピン共和国大使館・総領事館内)。
DMWとMWOは高度専門職を含めたフィリピン人労働者の権利保護、福祉の向上、海外雇用の促進と管理を一元的に行うことを目的としています。
そのため、高度専門職や特定活動などの様々な職種でフィリピン人を採用する際に、MWOへの申請が義務付けられています。


申請手続の全体の流れ
MWOへの申請手続きは、一般的に以下の流れで進みます。
- 申請書類の提出
- まず必要な申請書類を準備し、MWO(東京または大阪の事務所)に提出(送付)します。
- MWOによる審査と承認
- 次に、MWOによって提出された書類に基づいて審査が行われ、雇用契約の内容などが適切であると認められれば、認証が得られます。
- この承認によって、フィリピン人人材の募集活動が行えるようになります。
- フィリピン人人材の採用
- フィリピン人人材の募集を行い、採用・雇用契約を結びます。

送出機関の必要性
フィリピン人を海外で雇用する場合、原則としてフィリピン政府が公認して登録された送り出し機関を介することが求められます。
これは、フィリピン人労働者を悪質なブローカーから保護し、適切な労働条件を確保するための重要な措置です。
DMWによって登録された送り出し機関の一覧は、次のページで確認できます。
信頼性のある送出機関を選ぶ際には、その実績や評判、フィリピン政府からの認定を受けているかなどを確認することが重要です。
また、送出機関との間で締結する契約内容を十分に確認し、手数料やサポート内容等を明確にしておく必要があります。
MWOへの申請はフィリピン人労働者の権利を守るためにも大切ですが、手続きが非常に複雑で面倒であることも事実です。
そのため、高度専門職でフィリピン人を採用する企業は、サポートをしてくれる専門家の助けを借りながら申請を行なってください。

まとめ:高度人材のフィリピン人採用の未来
高度人材ビザは単なる在留資格ではなく、企業がこれから先もグローバル市場で競争優位性を確立し、持続的な成長を実現するための強力なツールです。
フィリピンには、優れた専門知識と高い学習意欲を持つ人材が豊富に存在します。
彼らを積極的に受け入れ、適切な支援を行うことで、貴社のイノベーションを加速させ、新たな価値を創造することが可能となるでしょう。
高度人材ビザでフィリピン人を採用する場合には、ビザとは別にMWOへの申請も必須です。
フィリピン人労働者の権利を守るために大切な制度ではありますが、その申請は複雑で面倒であることも事実です。
そのため高度専門職のフィリピン人材を採用する際には、MWOの申請を手助けしてくれる専門家の助けを借りること躊躇なさらないでください。
MWO申請サポートでは、企業のニーズに合わせて様々なサービスを提供しています。まずは一度、お気軽にご相談ください。
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