外国人材採用を成功させる!「技人国」在留資格(ビザ)の全知識

技人国

日本社会は現在、少子高齢化の進行とともに多くの産業分野で深刻な人手不足に直面しています。その問題に対応するために、あらゆる業種や業界で外国人材の活用が進んでいます。

厚生労働省が公表した外国人雇用状況の届出状況によると、外国人労働者数は過去最高を更新し続け、2024年10月末時点で2,302,587人に達しました。

日本の労働力不足は、単に人数が足りないという量的な問題に留まらず、特定の専門分野における「質的な不足」が顕著になっています。そうした状況への対応策が、「技術・人文知識・国際業務ビザ(技人国ビザ)」です。

しかし初めて外国人材の採用に取り組む企業にとっては、どのように手続を進めていいか分からないことも多いでしょう。

そこで本記事では、技人国ビザの制度概要や特徴、要件、申請手続き、雇用後の注意点や事例まで、企業の採用担当者が知っておくべき情報を網羅的に取り上げます。複雑なビザ制度を分かりやすく説明しつつ、貴社の採用成功につながるための実践的な知見をお届けします。

目次

「技人国」ビザとは?対象業務と要件

世界各国の旗

外国人が日本で仕事に就くには、それに応じた在留資格(ビザ)を取得しなければなりません。

その在留資格の一つである「技術・人文知識・国際業務」は、企業や研究機関などと契約したうえで、①理学・工学などの専門技術、②法律・経済などの人文知識、③外国文化に基づく国際業務──これら三分野の職種・業務に従事することを認める就労ビザです。法律上は出入国在留管理法別表第一の二に定められ、その活動範囲は以下のとおり多岐にわたります。

スクロールできます
技術分野機械工学技術者、システムエンジニア、プログラマー、ゲーム開発など
人文知識分野企画・営業・経理といった事務職、弁護士補助、建築積算など
国際業務分野通訳・翻訳業務、語学教師、デザイナー、ホテルマン、広報・宣伝、マーケティング、海外取引(貿易)など

一定の業務経歴や学歴を要する業務が対象です。そのため、専門業務の「本質」に沿わない単純作業(小売のレジ・陳列など)は原則として認められません。研修目的で現場体験を一定期間行う例外や、母国語を用いた接客を通訳業務と判断されるケースなど、運用には柔軟性もあります。例えば販売業務であっても、接客ではなくマーケティングや企画業務であればビザ対象となることがあります。

学歴・実務経験の要件

学歴要件日本の大学・短大(準学士)以上、または専門学校卒業者
海外の学歴は、日本の学位に相当することが条件
職歴要件学歴を満たさない場合は、10年以上の関連分野での実務経験で代替可能
翻訳・通訳など語学を主とする業務は、大学卒業で職歴要件を免除。デザイナー、広報・宣伝、海外取引などの場合は、関連業務について3年以上の実務経験が必要

学歴・職歴と予定業務の関連性が重要視されます。

  • ITエンジニアなら情報工学系専攻、翻訳者なら語学系専攻・実績が求められます。
  • 人文科学系の学位を持つ人は人文知識分野での業務に従事できる可能性があります。
  • 社会学を専攻した場合、国際業務や調査分析業務に従事することでビザ要件を満たす可能性があります。
  • 経済学専攻の人材は、調査・分析・経営企画などの業務で技人国ビザの対象となりえます。

在留期間

技人国ビザの在留期間は「5年・3年・1年・3カ月」で、就労実績や報酬に問題がなければ、更新手続きによって継続可能です

初回の新規申請では1年の在留期間が認められることが多かったのですが、最近は高度専門人材などの優遇措置などで制度運用が変化してきているため、初回でも3年または5年が許可される事例も増えてきました。

企業側の要件

要件
  • 雇用主である企業が安定的に経営されていること
  • 財務書類や登記情報などで証明できること(直近の決算報告書など)

報酬に関する要件

外国人材に支払う報酬・労働条件が「同機関の日本人社員と同等以上」であることが必須です

要件
  • 報酬額だけでなく所定労働時間・福利厚生も含めた実質的な同等性
  • 同種日本人労働者が不在の場合は、社内規定や同業他社の賃金と比較
  • 条件に不足があると許可が下りないケースあり

企業は賃金規定や比較資料を整備し、説明可能な状態にしておくことが求められます。

要件の多角的な審査と企業側の準備

技人国ビザの審査は、外国人本人、企業、職務内容、報酬という複数の視点から総合的に行われます。例えば、申請人の学歴や職歴が予定業務と整合しているかどうか、企業の経営状態が安定し適切な報酬を支払えるかどうかなど。同じ業務であっても、専門性の有無によって在留資格の可否が分かれることもあります。したがって、企業は採用計画の初期段階から、必要書類や説明資料をもれなく整備しておくことが不可欠でしょう。ふと思い立って書類を揃えるのではなく、チーム内で役割を分担し、いつ・誰が・何を準備するのかを明確にしておくと安心です。

報酬要件の法的背景と企業責任

技人国ビザでは、外国人労働者に支払う報酬が「同種業務に従事する日本人と同等以上」であることが求められます。これは単に額面だけでなく、労働時間や福利厚生を含めた実質的な同等性を担保するというものです。とはいえ、同一労働同一賃金の原則は労働契約法など別法令に基づくため、ビザ審査の要件と混同しないよう注意が必要です。仮にこの報酬要件を満たせなければ、不許可になるだけでなく、不法就労助長罪のリスクもあります。企業は、雇用契約書や給与明細、納税証明書など、客観的な根拠を持って説明できるよう備えておきましょう。

家族帯同の重要性と企業サポート

技人国ビザ保持者は配偶者と子を「家族滞在」ビザで日本に呼び寄せることができます。家族と暮らせる環境は、働くうえでの安心感や定着率向上につながるため、企業側からの情報提供や手続き支援が望ましいでしょう。とはいえ、家族滞在ビザの対象は配偶者と未成年の子に限られ、両親・兄弟姉妹は含まれません。扶養能力や家族関係証明書類の準備など、具体的な要件についても事前にしっかり説明し、申請をサポートしてください。

参考:在留資格「技術・人文知識・国際業務」 | 出入国在留管理庁

ビザ申請手続きのステップと必要書類

ビザの承認印が押された書類

技人国ビザの申請手続きは、外国人材の状況(海外在住か日本滞在中か)や目的に応じて以下の3種類に分かれます。各申請ごとに必要書類と流れを整理しました。

1. 在留資格認定証明書交付申請(海外からの新規招へい)

企業が海外在住の外国人材を日本に招へいする際に行います。

主な必要書類
  • 在留資格認定証明書交付申請書(出入国在留管理庁様式)
  • 写真(4cm×3cm、申請前6ヶ月以内撮影、無帽・無背景)
  • 返信用封筒(簡易書留用切手貼付、宛先明記)
  • 大学の卒業証明書または卒業証書の写し
  • 履歴書
  • 在職証明書等(関連業務の就労期間を証明)
  • 雇用契約書の写し(職務内容・報酬を明示)
  • 登記事項証明書、会社案内等(企業の事業内容を説明)
  • 損益計算書の写し等(企業の安定性を示す資料)

注意点

上記はあくまでも主だった書類です。提出書類は企業の「カテゴリー」によっても異なり、追加の書類提出が求められることもあります。出入国在留管理庁は企業の規模や過去の在留資格申請実績などに基づき、企業を「カテゴリー1」から「カテゴリー4」に分類しています。カテゴリーが上位であるほど、提出書類が簡素化される傾向にあります。

証明書交付後、外国人材は自国でビザ申請を行い、日本に入国します(証明書とビザは3ヶ月以内に使用)。

2. 在留資格変更許可申請(国内からの変更)

日本に滞在中の外国人材が他の在留資格(例:留学)から技人国ビザに変更する際に必要です。留学生からの変更が最も多いケースです。

主な必要書類
  • 在留資格変更許可申請書
  • 写真(4cm×3cm、申請前6ヶ月以内)
  • パスポートおよび在留カード(提示用)
  • 雇用契約書および雇用理由書
  • 源泉徴収票等の給与証明(前年分)
  • 在職証明書、卒業証明書等(学歴・職歴証明)
  • 登記事項証明書、会社案内等(企業情報)
  • 損益計算書の写し等(企業の安定性資料)

注意点

留学生の場合は、学校の成績証明書や資格外活動の記録も審査対象になります。こちらについても、企業のカテゴリーによって追加の書類が必要になることがあります。

3. 在留期間更新許可申請(現行ビザの更新)

技人国ビザを保持している外国人材が、現在の在留期間が満了する前(概ね3か月以内)に、引き続き日本に在留して活動を継続するために行う申請です

主な必要書類
  • 在留期間更新許可申請書
  • 写真(4cm×3cm、申請前6ヶ月以内)
  • パスポートおよび在留カード(提示用)
  • 就労証明書(雇用主作成)
  • 給与明細、納税証明書(直近分)
  • 登記事項証明書、会社案内等(企業情報)
  • 損益計算書の写し等(企業安定性資料)

注意点

転職等で所属や勤務先が変わった場合は、新旧の雇用契約書や職務内容明細も届出が必要です。標準的な処理期間は2週間から1か月程度とされていますが、繁忙期や書類不備により半年近くかかる場合もあるため、余裕を持った申請が推奨されます。

共通の注意事項

  • 申請書・写真・返信用封筒(交付申請)または返信用はがき(変更・更新申請)は必ず最新様式を使用
  • 日本語以外の書類には日本語訳(訳者名・訳年月日を記載)を添付
  • 各種証明書は発行日から3か月以内のものを提出
  • オンライン申請制度を利用すると窓口手続きの時間短縮が可能です。

参考:在留資格「技術・人文知識・国際業務」 | 出入国在留管理庁

オンライン申請の利便性と留意点

出入国在留管理庁は、在留資格変更・更新いずれも申請の一部をオンラインサービスで受け付けています。これにより、官署への持参が不要となり、24時間いつでも申請可能になります。一方で、事前のアカウント登録や本人確認が必要です。また、アップロード資料の形式・サイズ制限があるため、システムガイドを事前に確認し、必要書類の不備がないか慎重にチェックしましょう 。申請書類の最新版も、出入国在留管理庁の公式サイトから無料でダウンロード可能です。

参考:在留申請のオンライン手続 | 出入国在留管理庁

審査期間の変動要因と計画的な申請

審査期間は申請種別や時期、書類の正確性によって大きく変動します。認定証明書交付申請や変更申請の標準的な処理期間は1~3か月、更新申請は2週間~1か月程度です。しかし、書類不備や繁忙期の混雑状況によっては、半年近くかかる場合もあります。したがって、外国人材の入社予定や在留期限から逆算し、3か月以上の余裕を持って申請準備を始めることが肝要です

参考:在留資格認定証明書交付申請 | 出入国在留管理庁

申請プロセスの複雑性と専門家活用のメリット

技人国ビザの手続きは、認定証明書交付申請、在留資格変更申請、在留期間更新申請といった複数の申請種別があり、それぞれに専用の様式や添付資料が求められます。不備があると追加資料提出を求められ、審査期間が延びるだけでなく、不許可となるリスクも高まります。再申請時にはさらに厳格な審査が行われる傾向があるため、初回申請で確実に許可を得ることが重要です。

多くの企業が行政書士などのビザ申請専門家に依頼するのは、これらのリスクを最小化するためです。専門家は最新の法令運用に精通しており、書類の不備を未然に防げるため、申請の一発許可率向上や審査期間の短縮が期待できます。また、企業担当者はビザ手続きに割く時間を削減し、採用・育成業務に集中できるメリットがあります。

外国人材の受け入れと定着を成功させるポイント

雇用契約が成立して握手をしている場面

技人国ビザで採用する外国人材が現場で活躍してもらうために必要な、いくつかのポイントについて解説します。

採用メリットと留意すべき課題

外国人材の受け入れは、人手不足の解消に加え、多様な視点や高度な専門スキルをもつ人材の導入によるイノベーション創出が期待できます。たとえばジェトロの調査では、国内企業の51.4%が既に外国人材を常時雇用し、その多くが生産性向上や新規事業開拓に寄与していると報告されています。

一方で、在留資格申請の手続き負担、文化・言語のギャップ、現場研修の必要性など、導入初期にはサポート工数が増える点に注意が必要です。これらを見越し、社内体制や予算をあらかじめ確保しておくことが成功のカギとなります。

参考:拡大する外国人材雇用、その背景と今後の期待とは | 高度外国人材と創出する日本企業のイノベーティブな未来 – 特集 – 地域・分析レポート – 海外ビジネス情報 – ジェトロ

コミュニケーションと異文化理解の促進

言語の壁による誤解や孤立を防ぐため、やさしい日本語や多言語マニュアル、映像教材を活用しましょう。また、社内メンター制度を設置し、OJTに加えて定期的なフォローアップ面談を行って、業務理解と心理的安全性の向上に努めてください。

文化習慣の違いに対応するため、名刺交換や会議の進行方法など日本的ビジネスマナーを体験できる研修を実施すると効果的です。これにより、外国人材が職場に馴染みやすくなり、チームとしての一体感が醸成されます。

参考:多様な人材の活躍が解決する 人手不足と経営課題|経済産業省

公正な労働条件とキャリアパスの明示

報酬や待遇は「同一労働同一賃金」の原則に基づき、国籍を問わず同種業務従事者と同等以上を担保すべきです。具体的には、雇用契約書で給与水準や手当、休暇規定を明文化し、納税証明書や賃金台帳と合わせて常に説明可能な状態にします。

併せて、昇格・昇給の基準や評価スキームを共有し、キャリアパスを可視化することで、外国人材のモチベーションと定着率が高まります。

参考:同一労働同一賃金特集ページ |厚生労働省

生活支援と職場環境の整備

住居・生活インフラの手続き、銀行口座開設支援、保険加入手続きなど、生活立ち上げ期のハードルは高いため、専任担当者や外部支援機関と連携してワンストップサポートを提供しましょう。社宅の一括手配や、社内に多言語対応の掲示板を設置することも有効です。

職場では、安全衛生情報や業務手順を多言語化し、宗教・慣習に配慮した休憩施設を整備すると、安心感が向上します。また、定期的な交流会や相談窓口を設け、孤立感を軽減する仕組みを社内に定着させてください。

参考:外国人材と働く | 特集 – 地域・分析レポート – 海外ビジネス情報 – ジェトロ

現場の声から学ぶ!外国人材活用のための鍵

メンター制度を採用している受け入れ企業

外国人材の採用は、単に労働力不足を補うだけでなく、企業に新たな視点や活気をもたらす可能性を秘めています。しかし、その成功は、現場で働く外国人材が何を経験し、何を求めているかを深く理解することから始まるでしょう。ここでは、実際に日本で働く外国人材の生の声と、そこから企業が学ぶべき成功の鍵を考察します。

現場の声

初期の苦労とメンターの存在

「入社したばかりの時は使う環境と言語は大学時代に学んだこととは大きく差があり、環境構築や最初のタスクをこなすだけでも大変でした。ありがたくてメンターさんが優しく教えてくれてすぐ慣れてきました」。また異文化への包容力や多文化共生の職場環境、チームワークの重視が働く意欲を高めていると語っています。

参考:外国人が日本に来た3年間の生活×お仕事 – LIFULL Creators Blog

安定した生活とキャリア形成の機会

会社の独身寮に住み、母国よりも高い給与を得ているマレーシア人エンジニアの事例もあります。彼女は、日本の企業が残業対策に積極的であること、外国人に対して暗黙のルールを強制しない柔軟性があること、そしてトレーニングが重視され、1年間の研修で生産ラインの経験も積めたことに言及しています。また、日本語はビジネスレベルで十分だったものの、地方での方言には苦労したそうです。同郷の友人と繋がり、ホームシックを乗り越え、日本の治安の良さを高く評価しています。

参考:マレーシア人エンジニアの挑戦と成功 | ASIA to JAPAN  

海外事業を牽引する活躍

スリランカ人エンジニアは、スリランカとの取引をすべて担当し、顧客開拓から社長の日本への招へいまで手掛け、係長に昇進して部下の教育も担当するようになった事例があります。 彼は、この会社であれば自分自身が成長でき、将来の海外展開に貢献できると感じて入社を決めたと語っています。

参考:高度外国人材 活躍事例集|経済産業省 九州経済産業局

技術継承と品質向上への貢献

地方の機械製造会社では、国内の若者採用が難しい中で、東南アジア出身の高い技術力を持つ外国人技術者を採用し、技術の継承と品質向上を実現しました。日本語や英語でのマニュアル整備、技術研修の積極的な実施が成功要因です。

参考:中小企業が成功するための外国人採用の秘訣と重要ポイント|行政書士DNR事務所

受け入れ体制整備と法的支援の重要性

茨城県の企業事例では、外国人材の受け入れ準備において、在留資格の確認、社内規定の見直し、英語への翻訳、人事担当者への研修など、多岐にわたる支援が不可欠であったと報告されています。行政書士や社会保険労務士といった専門家のサポートが、適正な雇用体制の構築に大きく貢献したとのことです。

参考:外国人材の優良受け入れ事例集|茨城県

外国人労働者が直面する共通の課題

ポジティブな声がある一方で、多くの外国人労働者が共通して直面する課題も浮き彫りになっています。

課題
言語とコミュニケーションの壁

仕事の指示が誤解されたり、質問や相談がしにくくなったりすることは、職場での誤解や対立を引き起こす原因となりかねません。厚生労働省の調査でも、企業の44.8%が「日本語能力等のためにコミュニケーションが取りにくい」ことを課題として挙げています。

文化・生活習慣の違いと孤立感

お辞儀や名刺交換、集団の和を重んじる文化など、日本の社会習慣に慣れない外国人材も少なくありません。また、地域の行事や活動への参加が難しく、私生活で孤独を感じたり、友人作りに苦労したりすることが、働く意欲を低下させる原因となることもあります。

差別的な経験

外見や国籍で採用を断られたり、宗教的配慮が得られなかったりといった差別的な経験も報告されており、外国人材が日本で仕事を探す際の大きな障壁となっています。

参考:
令和5年外国人雇用実態調査の結果を公表します|厚生労働省
外国人雇用、7つの落とし穴|知らないと損する課題と解決策|ガイダブルジョブス
日本の労働環境に関して日本に住む外国人へ意見調査 | 株式会社YOLO JAPANのプレスリリース

現場の声から学べる成功の鍵

これらの現場の声は、外国人材採用が単なる「人手不足対策」に留まらず、企業の成長戦略の一環として、いかに「人」に投資し、多様性を活かすかが重要であるかを教えてくれます

手厚い初期サポートとメンター制度の導入

新しい環境に慣れるまでの期間は、外国人材にとって特に重要です。メンター制度や丁寧なOJT(On-the-Job Training)を通じて、業務だけでなく生活面での不安も解消できる体制を整えることが、早期の適応と定着に繋がります。 

多角的なコミュニケーション支援の強化

「やさしい日本語」の使用、視覚的なマニュアル(動画など)、必要に応じた通訳サービスの導入は、言語の壁を低減する上で効果的です。 また、多言語対応の安全掲示なども職場環境の改善に寄与するでしょう。 

公正な労働条件と明確なキャリアパスの提示

「同一労働同一賃金」の原則を徹底し、日本人社員と同等以上の賃金・待遇を保証することは、外国人材のモチベーション維持に不可欠です。また、具体的なキャリアプランを一緒に作成し、昇給・評価制度を明確にすることで、彼らのキャリアアップへの意欲に応え、離職を防ぐことができます。

生活面での包括的サポートの充実

住居の確保支援、医療機関の紹介、行政手続きのサポートなど、生活全般にわたるきめ細やかな支援は、外国人材が日本で安心して働き続けるための基盤となります。社宅の提供や、地域の国際交流協会、NPO法人との連携も有効な手段です。

日本人社員の意識改革と多文化共生文化の醸成

 外国人材の受け入れは、日本人社員側の意識改革も促します。異文化理解を深めるための社内研修や、外国人社員と日本人社員が仕事以外で交流する機会を設けることで、相互理解を促進し、孤立感を解消できるでしょう。 外国人材の活躍が、日本人社員の競争心を刺激し、組織全体の活性化に繋がる事例も報告されています。

実際の成功事例を参考に、採用から定着までの道筋をしっかりと定めてください。

ビザに関する最新情報

各種届け出書を準備している企業担当者

企業採用担当者の方々からよく寄せられる疑問や、ビザ制度に関する最新の動向について解説します。制度は常に変化しているため、最新の詳細情報を把握しておくことが重要です。

資格外活動許可について

技人国ビザで在留する外国人が、副業やアルバイトなど在留資格外の活動を行う場合は、あらかじめ「資格外活動許可」を取得する必要があります。許可なく従事すると不法就労となり、在留資格取消や強制送還の対象になるほか、企業側も不法就労助長罪のリスクを負います。

参考:資格外活動許可申請 | 出入国在留管理庁

転職時の手続きと注意点

技人国ビザ保持者が転職する場合、転職先の業務が現行の在留資格の活動範囲内であれば「在留資格変更許可申請」は原則不要ですが、退職・就職の事実は14日以内に出入国在留管理庁へ「所属機関等の変更届出」を行う義務があります

一方で、転職後の業務内容が現行のビザ活動範囲と大きく異なる場合や、業務の専門性に疑義が生じる場合には、「在留資格変更許可申請」が必要になる可能性があります。新たな雇用契約書や事業内容説明書により、引き続き技人国ビザの要件を満たしていることを証明しましょう。

参考: 在留資格変更許可申請 | 出入国在留管理庁

専門学校卒の柔軟な扱い

令和6年2月29日付の告示改正により、文部科学大臣の認定を受けた専門学校卒業者も大学卒と同等に学歴要件を満たすことが可能となりました。専門的な技能を持つ人材の受け入れが一層促進されます。

参考:技人国の在留資格 専門学校卒も柔軟な扱いへ|入管庁

育成就労在留資格の創設

2024年6月の入管法改正により、従来の技能実習制度を廃止し、新たに「育成就労」という在留資格が創設されることが決定しました。修了後は特定技能1号への移行が可能となり、人手不足解消を後押しします。

参考:育成就労制度 | JITCO

MWO申請|フィリピン人の受け入れのために

フィリピンの国旗

技人国ビザでフィリピン人人材を採用するには日本国内の手続きとは別に、MWOへの申請も必須となります

以前はPOLOという名称で知られていたMWOは、フィリピンのDMW(移住労働者省)の海外出先機関であり、日本では東京と大阪にMWOが設置されています(駐日フィリピン共和国大使館・総領事館内)。 

DMWとMWOはフィリピン人労働者の権利保護、福祉の向上、海外雇用の促進と管理を一元的に行うことを目的としています。そのため、技人国ビザでフィリピン人を採用する際にも、MWOへの申請が義務付けられています。

MWOへの申請手続きは、一般的に以下の流れで進みます。

STEP
申請書類の提出

まず必要な申請書類や資料を準備し、MWO(東京または大阪の事務所)に送付(郵送)します。

STEP
MWOによる審査と承認

次に、MWOによって提出された書類に基づいて審査が行われ、雇用契約の内容などが適切であると判断されれば、フィリピン政府から正式な承認の印とも言える認証が得られます。この承認によって、フィリピン人人材の募集活動が行えるようになります。

STEP
フィリピン人人材の採用

フィリピン人人材の募集を行い、採用・雇用契約を結びます。現地の送り出し機関を通じた人材の紹介も行われています。

フィリピン本国のDMWへのOEC申請などは、契約した現地の送り出し機関を介して行いますが、日本のMWO事務所への申請や申し込みは受入れ先が行わなければなりません。

このMWOへの申請は非常に複雑であり、書類に不備がある場合には差し戻しなどのトラブルも散見します。そのため時間と手間を省きながら採用を確実なものにするためにも、専門の代行業者を利用することが一般的です。

参考:フィリピン国籍の方々を特定技能外国人として受け入れるまでの手続の流れ|法務省 

まとめ:外国人材採用で未来を拓く企業へ

ピンが刺さった地球儀

外国人材の採用は、日本の労働力不足を補うだけでなく、企業の国際競争力を高め、新たな価値を創造するための重要な戦略です。特に「技術・人文知識・国際業務」ビザは、専門職のスキルを持つ外国人材を日本に招き入れるための主要な在留資格であり、その要件や手続きを深く理解することが成功の鍵となります

しかしながら、その受入れプロセスは、遵守すべき法令や基準が多く、手続きも複雑であるため、企業や本人が独自で在留資格の許可を受けるには相当な時間と専門知識が必要となります。そのため専門の代行業者に委託することが、外国人材採用への一番の近道と言えるでしょう。

特にフィリピン人人材を受け入れる際には、国内への手続き以外に、会社がMWOへの申請手続きを行う必要があります。MWO申請サポートではフィリピン人採用を検討している企業に向けた、様々なサポートプログラムを提供しています。

まずは一度、お気軽にご相談ください。

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