技人国ビザで外国人材採用を成功へ!申請・要件の全知識【2025年】

技人国 要件

日本の少子高齢化と労働力不足が深刻化する現在、多くの企業にとって外国人材の採用は喫緊の課題であり、持続的な成長戦略の重要な柱となっています。

特に、専門的な知識や技術、国際的な感覚を持つ人材は、企業のグローバル競争力を強化し、新たな価値を創造するために不可欠な存在と言えるでしょう。このような背景から、外国人材の雇用を検討する企業採用担当者の間で、在留資格に関する正確な知識の必要性が高まっています。

本記事では、企業が外国人材を雇用する際に最も頻繁に利用する在留資格の一つである「技術・人文知識・国際業務」(通称:技人国ビザ)に焦点を当て、その要件、申請プロセス、そして注意点までを網羅的に解説します

ぜひ、参考になさってください。

目次

そもそも技人国ビザとは?

LAWの文字が書かれた本

技人国ビザは、日本の入管法(出入国管理及び難民認定法)に基づき定められた、特定の専門分野の業務に従事する外国人のための就労ビザです。

技人国ビザはその名の通り、「技術」「人文知識」「国際業務」という3つの柱で構成されています。

技術

この分野は、理学、工学、その他の自然科学の分野に属する技術または知識を必要とする業務を対象とします。ポイントは、大学などで修得した専門的な科学的知識を直接的に活用する業務であることです。例えば、システムエンジニアとして情報処理技術を駆使してシステムを設計・開発する活動がこれにあたります。

人文知識

こちらは、法律学、経済学、社会学、その他の人文科学の分野に属する知識を必要とする業務が対象です。いわゆる文系職の多くがこのカテゴリーに含まれます。大学の経済学部で学んだ知識を活かして、企業の財務分析や経営企画を行うケースなどが典型例でしょう。

国際業務

最後に、外国の文化に基盤を有する思考または感受性を必要とする業務を指します。これは、単に語学力が高いだけでは認められません。「外国人ならではの視点や感性」が業務に不可欠であることが求められます。例えば、海外の顧客向けに現地の文化や習慣を踏まえたマーケティング戦略を立案する業務は、この分野に該当する可能性が高いと言えます。

他の就労ビザとの違い

日本の就労ビザには様々な種類があります。技人国ビザの位置づけを明確にするために、他の代表的な就労ビザと比較してみましょう。

特定技能ビザとの違い

「特定技能」は、国内人材の確保が困難な特定の産業分野(介護、建設、外食業など)において、一定の専門性・技能を持つ外国人を受け入れるための在留資格です。技人国ビザが大学卒業レベルの専門知識を要する人材を主な対象としているのに対し、特定技能はより現場での実践的なスキルが求められる業務が中心となります。

高度専門職ビザとの違い

「高度専門職」ビザは、学歴、職歴、年収などの項目をポイント化し、合計が一定点数(70点以上)に達した高度な能力を持つ人材に対して付与される、優遇措置の多い在留資格です。技人国ビザの要件を満たす人材が、さらに高い能力を持つ場合に取得できる、いわば上位資格と考えられています。最長5年の在留期間が原則として付与されたり、永住許可要件が緩和されたりするメリットがあります。

参考:
特定技能制度 | 出入国在留管理庁
在留資格「高度専門職」(高度人材ポイント制) | 出入国在留管理庁

技人国ビザの「技」:技術分野の要件を徹底解説

プログラミングのコードが書かれたスクリーンとパソコンの前に置かれた眼鏡

「技術」分野の在留資格は、理学、工学、その他の自然科学分野の専門知識や技術を要する業務に従事する外国人材を対象とします。

技術分野で外国人を雇用する際に求められる学歴、実務経験、そして報酬に関する具体的な要件を詳しく解説します。

対象業務の範囲

技術分野の対象となるのは、自然科学分野(理学、工学など)に属する技術や知識を要する業務です。

重要なのは、業務内容が専門性を有し、かつ、その専門性が申請者の学歴や職歴と関連していることです。単純な作業や、専門知識を必要としないルーティンワークは、この在留資格の対象外となるでしょう。

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職種例システムエンジニア、プログラマー、機械設計技術者、化学研究職、土木設計技術者、情報セキュリティエンジニアなど
業務例システム開発、機械・電気設計、新製品の研究開発、品質管理など

学歴・実務経験要件

技術分野のビザ取得には、以下のいずれかの要件を満たす必要があります。

学歴要件
  • 当該業務に関連する科目を専攻して日本の大学、短期大学、高等専門学校、大学院、または外国のこれらに相当する教育機関を卒業し学位を取得していること。
  • または、日本の専修学校専門課程を修了し、「専門士」または「高度専門士」の称号を付与された者であること(専攻内容が従事予定業務と関連していることの証明が求められます)
実務経験要件
  • 学歴要件を満たさない場合、該当業務に関連する実務経験が10年以上あれば代替可能です。
  • 実務経験証明書や職務内容証明書で、具体的な業務内容を明示してください。
情報処理技術者の特例
  • 情報処理技術に関する国が定める試験合格者や資格保有者は、学歴・実務経験要件のいずれも免除されます。
  • 該当する告示番号や試験名を雇用契約書類に明記すると審査がスムーズです。

専門性の関連性が審査の鍵を握ります。単に大学卒業や実務経験10年を満たすだけでは不十分で、これまでの教育で学んだ内容や従事した業務が、日本で予定するポストと直接結びついているかどうかが厳しく確認されるのです

たとえば、経済学部を卒業した方がシステムエンジニアとして働く場合、IT関連の実務経験が豊富でなければ、学歴と業務の関連性が認められにくい傾向にあります。採用担当者は、履歴書や職務経歴書を精査する際、「どの科目を学び、どのような業務にどれだけ従事し、それが応募ポストとどう結びつくか」を具体的に言語化し、成績証明書・卒業証明書・職務内容証明書などの資料で裏付ける必要があります。

これは、入管での審査をスムーズに進めるだけでなく、採用後のミスマッチを防ぐ上でも極めて重要なポイントです。

報酬要件
  • 外国人材には、日本人と同等以上の報酬を支払う必要があります。
  • 賃金規定や日本人社員の給与台帳を提出し、給与体系全体で不当な低賃金とならないことを示してください。
  • 自社の給与水準が市場平均と乖離している場合、外国人受け入れを機に給与体系の見直しが必要となるケースがあります。

技術分野に限らず、技人国ビザで外国人材を雇用する場合、日本人が従事する場合と同等以上の報酬を受けることが必要です。これは、外国人材の不当な低賃金雇用を防ぐための重要な要件です。企業には、日本人社員の給与体系と比較し、外国人材の報酬が適正であることを証明する資料(賃金規定、日本人社員の給与台帳など)の提出が求められます。

技人国ビザの「人」:人文知識分野の要件とポイント

グラフを見ながらマーケティングの分析している担当者

人文知識分野の在留資格は、法律学・経済学・社会学などの人文科学に基づく専門的知識を要する業務に従事する外国人材向けです。

対象業務の範囲

人文知識分野においても、業務内容が専門性を有し、申請者の学歴や職歴と関連していることが重要です。単なるデータ入力や受付業務などの単純作業・ルーティンワークは対象外となります。

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職種例企画・営業・経理・人事・マーケティング・広報・コンサルタント、財務分析、契約管理など
業務例市場調査、会計処理、業務改善提案、顧客アドバイスなど

学歴・実務経験要件

人文知識分野のビザ取得には、以下のいずれかの要件を満たす必要があります。

学歴要件
  • 当該業務に関連する科目を専攻して日本の大学、短期大学、高等専門学校、大学院、または外国のこれらに相当する教育機関を卒業し学位を取得していること。
  • または、日本の専修学校専門課程を修了し、「専門士」または「高度専門士」の称号を付与された者であること(専攻内容が従事予定業務と関連していることの証明が求められます)
実務経験要件
  • 学歴要件を満たさない場合、該当業務に関連する実務経験が10年以上あれば代替可能です。
  • 履歴書・職務経歴書をはじめ、実務内容証明書などで具体的に裏付けを行ってください。
専門性・関連性の立証
  • 「学んだ科目」「従事した業務」「それが応募ポストとどう結びつくか」を具体的に示す必要があります。
  • たとえば「海外市場開拓」や「特定製品の販売戦略立案」といった業務内容と、学位や研修履歴の関連性を明示してください。
  • 職務記述書(Job Description)をきめ細かく作成し、入管審査でのスムーズな理解を促しましょう。
雇用契約・企業要件
  • 日本の企業等との雇用契約が成立していることが前提です。
  • 雇用契約書には、職務内容、雇用期間、報酬条件などを具体的に記載してください。
  • 受入れ企業の経営状態も審査対象です。財務諸表や事業実績を提示できるよう準備しましょう。

人文知識分野の対象業務は多岐にわたるため、その「専門性」と学歴・職歴との「関連性」をいかに具体的に立証するかが、審査の成否を分けることになります

例えば、単に「営業」という職種名だけでは専門性が不明確であり、具体的な業務内容(例:海外市場開拓、特定製品の専門的販売戦略立案)と、それに対する申請者の専門知識(例:国際経済学、マーケティング理論)の関連性を詳細に説明する必要があります。

採用担当者は、職務記述書(Job Description)を非常に具体的に作成し、その業務がなぜ「人文知識」を要する専門的なものであるのか、そして採用候補者の学歴や職歴がその専門知識とどのように結びつくのかを、説得力のある形で説明する準備が求めれます。これは、単なる書類作成作業ではなく、企業の採用戦略における職務定義の精緻化を促す重要なプロセスです。

報酬要件
  • 技術分野と同様。

技人国ビザの「国」:国際業務分野の要件と注意点

服飾のデザイン画が貼られたホワイトボード

国際業務分野の在留資格は、外国の文化や思考様式に基づく感受性を活かす業務に従事する外国人材を対象としています。単に言語能力を超えた文化的な専門性が求められる業務が該当します。

対象業務の範囲

国際業務分野の対象となるのは、外国の文化に基盤を有する思考若しくは感受性を必要とする業務です。

重要なのは、単純な日本語能力だけでは代替できない業務であることです。例えば、単に英語が話せるというだけでは不十分であり、その言語や文化圏特有のニュアンス、商習慣、思考様式などを理解し、それを業務に活かす必要がある場合が該当するでしょう。

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職種例通訳・翻訳、私企業の語学教師、海外取引担当、デザイナー(服飾・室内装飾)、海外駐在員など
業務例会議通訳、契約書翻訳、多言語サポート、輸出入業務、海外SNS運用など

学歴・実務経験要件

国際業務分野のビザ取得には、以下のいずれかの要件を満たす必要があります。

学歴要件
  • 当該業務に関連する科目を専攻して日本の大学、短期大学、高等専門学校、大学院、または外国のこれらに相当する教育機関を卒業し学位を取得していること。
  • または、日本の専修学校専門課程を修了し、「専門士」または「高度専門士」の称号を付与された者であること(専攻内容が従事予定業務と関連していることの証明が求められます)
実務経験要件
  • 国際業務に関連する実務経験が原則3年以上必要です。
  • 実務経験証明書や業務委託契約書などの書類を用意し、経験の具体的内容を証明してください。
学歴による例外
  • 大学卒業後に翻訳・通訳・語学指導の業務に従事する場合、3年以上の実務経験は不要となります。
  • 卒業証明書や職務経歴書で学位と業務内容の関連性を示してください。
文化的特殊性の立証
  • 単なる日本語または英語能力ではなく、商習慣や文化的ニュアンスを理解し、実務に活かす能力が求められます。
  • 採用担当者は職務記述書や採用理由書に、「なぜ日本人では代替できないか」「どのように文化的背景を応用するか」を具体的に記載し、関連書類で裏付けましょう。


国際業務の「特殊性」の証明が最も重要となるでしょう。この要件は、単に外国語が話せるというだけでは不十分であり、その言語や文化圏特有のニュアンス、商習慣、思考様式などを理解し、それを業務に活かす必要があることを意味しています

例えば、海外営業であっても、単に英語で交渉するだけでなく、特定の国の文化背景を理解した上でのマーケティング戦略立案や顧客対応が求められる場合に該当すると判断されやすいでしょう。

逆に例えばホテルなどの宿泊業で外国人材を雇う場合、外国人宿泊客がいないホテルや、ほぼ英語圏からの外国人宿泊客なのに英語が話せない外国人労働者を採用するなど、外国人対応の重要性が低い場合は、技人国ビザの申請要件に合致せず、許可されない可能性が高まります。

国際業務として認められるためには、海外の旅行会社との交渉(通訳・翻訳)、外国人旅行者への宣伝活動、従業員への外国語指導、外国語版ウェブサイトの作成や館内の多言語化表示への対応など、外国人であることが求められる具体的な業務内容を示す必要があります。具体的な業務例を示せない場合は、不許可になる可能性があるため注意が必要です。

また単純な事務作業や、日本人でも代替可能な業務は認められない傾向にあります。採用担当者は、国際業務分野で外国人を採用する際、その職務が「なぜ日本人では代替できないのか」「なぜ外国人の文化的な背景や感受性が必要なのか」を具体的に、かつ説得力のある形で説明できる職務記述書と採用理由書を作成する必要があるでしょう。

曖昧な職務内容では不許可のリスクが高まるため、採用前に業務内容を徹底的に精査し、その特殊性を明確化するプロセスが不可欠となるでしょう。

報酬要件
  • 他分野と同様。

参考:在留資格「技術・人文知識・国際業務」 | 出入国在留管理庁

在留資格取得への道:申請手続きと必要書類概要

申請書類を準備している受け入れ企業の社員

技人国ビザの取得には、複数の申請パターンと多岐にわたる書類提出が伴います。企業担当者は全体像を把握し、書類の整合性と網羅性を担保することで、スムーズな手続きを実現できます。

申請の流れ

技人国ビザ取得には、対象人材のステータスによって、以下の3つの申請パターンがあります。

1.在留資格認定証明書交付申請

  • 海外在住の外国人材を雇用する場合に実施します。
  • 企業が「在留資格認定証明書交付申請書」を出入国在留管理庁に提出。
  • 交付後、証明書を本人に送付し、在外公館で査証申請を行います。
  • 査証取得後に来日し、空港で在留カードを受け取ります。

2.在留資格変更許可申請

  • 国内在留中の留学生やワーキングホリデー、転職を希望する外国人材等を採用する際に必要です。
  • 本人が申請人となり、企業は多様な書類でサポート。
  • 手続きは国内で完結し、比較的短期間で審査されます。

3.在留期間更新許可申請

  • 既に技人国ビザを保有する人材の在留期間が近づいた際に行います。
  • 継続して同業務に従事し、要件を満たしていることが前提です。

必要書類一覧

企業または本人が用意すべき書類の例をまとめました。以下はあくまでも代表的なものであり、個別にさらなる資料の提出が求められることもあります。

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書類名取得先・備考
企業側在留資格認定証明書交付申請書/変更・更新申請書出入国在留管理庁サイトから無料でダウンロード可能
登記事項証明書法務局(発行から3ヶ月以内のもの)
会社案内パンフレット自社作成
直近決算報告書税理士・会計士に依頼
雇用契約書(労働条件通知書)写し職務内容・報酬・期間を詳細に記載
事業計画書等新設企業は特に具体的な資金計画を準備
日本人社員の源泉徴収票等写し税務署提出控え
採用理由書・職務内容説明書専門性と業務の関連性を明確化
本人側パスポート写し(顔写真・サイン頁)本人から提供
在留カード写し両面
卒業証明書・成績証明書最終学歴校から取得。翻訳が必要な場合も
職務経歴書・在職証明書実務経験を証明する書類(業務内容を明記)
履歴書学歴・職歴・語学力等を網羅

審査期間と注意点

審査にかかる期間の目安と、申請時の注意点をまとめました。

目安期間
  • 認定証明書交付:1~3ヶ月程度
  • 変更許可:2週間~1ヶ月程度
    ※申請時期や混雑状況で前後します。
書類の整合性
  • 雇用契約書と職務経歴書の内容が一致しているか。
  • 専門性・関連性を示す書類に矛盾がないか。
網羅性の確保
  • 必要書類が漏れなく揃っているか。
  • 書類間で矛盾や不足があると、不許可や長期化のリスクが高まります。
専門家活用の勧め

行政書士などに書類チェックを依頼し、説明責任を果たすことで安心感が得られます。

雇用契約書の作成ポイント

雇用契約書は、技人国ビザ申請における中心的な審査書類のひとつです。雇用契約書の不備は、不許可の大きな要因の一つです

雇用契約書の不備・曖昧さを避けるため、以下の点を確認してください。

業務内容の明記

申請職務が「技術・人文知識・国際業務」のいずれかのカテゴリーに該当し、かつ申請者の学歴・職歴と結びついていることを明確に記載する必要があります。抽象的な表現ではなく、具体的な業務内容とその専門性を説明できる記述が求められます。

報酬の適正性

基本給・手当・賞与などの総支給額を明示し、同様の業務に従事する日本人と同等以上であることが分かるようにします。企業の給与規定や就業規則とも整合性を持たせることが重要です。

雇用条件の明確化

雇用期間(できれば期間の定めなし)、勤務地、勤務時間、休日などを明示し、日本の労働基準法に準拠していることを示す必要があります。有期契約の場合は、更新の可能性や将来的な正社員登用の道筋を補足すると信頼性が高まります。

参考:在留手続 | 出入国在留管理庁

知識を深める:技人国ビザ申請で企業が陥りやすい落とし穴

ビザ申請のチェックポイント

技人国ビザ申請では、要件の理解不足や書類準備の不備が原因で不許可となるケースがあります。以下の表に、代表的な不許可理由と具体的な対策をまとめました。事前に自社の申請フローや職務設計を見直し、未然にリスクを回避しましょう。

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不許可理由の類型具体的事例企業が取るべき対策
業務内容と学歴・職歴の不一致経済学部卒が会計事務所で会計業務
工学部卒が低賃金(13.5万円)でエンジニア業務
職務内容を詳細に記載し、学位やシラバス、過去プロジェクト実績を補足資料として提出
職務記述書で専門性と関連性を明確化
報酬要件の不適合日本人と同等以上の報酬が支払われていない賃金規定や日本人社員の給与台帳を根拠に、総支給額(手当含む)で報酬の適正性を証明
企業の安定性・継続性の欠如設立後間もない企業の事業継続性が疑われる直近決算報告書や事業計画書で財務状況、資金計画、将来性を具体的に示す
職務内容の不明確さ・単純労働と判断される場合企画や営業を謳いつつ、実態はデータ入力や接客など単純作業職務記述書で「なぜ専門性が必要か」「日本人で代替できない理由」を具体的に説明
過去の不法滞在・犯罪歴資格外活動超過による在留状況不良申請者本人の素行に問題がある場合、不許可となる可能性有。採用前に本人から詳細な経歴ヒアリングを行い、必要に応じて専門家へ相談
不適切な実務研修計画文系卒が製造未経験で長期(2年10ヶ月)の実務研修を計画研修計画は即戦力としての専門性を損なわない範囲に限定し、研修内容と学歴・職歴の関連性を保つ
不確定なキャリアプラン管理者候補だが初動は長期の非専門業務を予定採用段階で専門業務に従事する時期と範囲を明示し、キャリアパスを具体的に提示

落とし穴を回避するポイント

職務分析の徹底

入管審査で求められる専門性・関連性の要件を洗い出し、業務内容と学歴・職歴の結びつきを示す。

書類の整合性チェック

職務記述書、採用理由書、実務経験証明書など、提出書類間で矛盾がないかを確認。

報酬設計の事前検証

日本人社員の給与体系をベンチマークし、総支給額で同等以上となるよう調整。

専門家活用

行政書士などに書類チェックを依頼し、リスク項目(犯罪歴・不法滞在、企業の安定性など)について助言を得る。

職務定義とキャリアパスの明示

入社時点から専門業務への参画スケジュールや将来的なキャリアプランを文書化し、入管へ説明責任を果たす。

以上の対策を講じることで、申請手続きの透明性と信頼性が向上し、不許可リスクの低減につながります。

参考:Work or Long-term stay | Ministry of Foreign Affairs of Japan

現場の声:外国人材が日本で感じる「職場」の課題

ノートに書かれた文字

優秀な外国人材を採用し、定着させるためには企業の側の努力も欠かせません。

技人国ビザで実際に働く外国人材の声に耳を傾けて、企業側の課題とその解決方法を探っていきましょう。

現場からの不満

  • 出社時間の厳格さ
  • 「決まりから」とルールを優先させるあまりの作業効率の低下
  • 言語と文化の違いによるギャップ
  • 生活面におけるサポート不足

調査によると、特に朝の厳格な出社時間や「決まりだから」と優先されるルール対応に不満が集まっています。こうした声は、日本の職場文化が非効率に映る一因とも言えます。

また、言語と文化の壁は雇用効率や安全性に直結する大きな課題です。外国人材が業務上の指示を正確に理解できず、結果として作業効率が低下するケースが少なくありません。

生活面でもトラブルが散見されます。ゴミ出しルールや騒音規制など、日本独自の生活マナーを知らずに近隣住民との摩擦が生じる場合があります。さらに都市部の満員電車での通勤は、肉体的・精神的な負担を大きくし、定着率にも影響を及ぼしかねません。

企業が取るべき対策

これらの課題に対応するため、企業は次のような施策を検討できるでしょう。

ルール説明会の開催

職場の就業ルールや生活マナーをまとめたハンドブックを配布し、定期的に説明会を実施。

メンター制度の導入

日本人社員をメンターに任命し、業務上・生活上の質問や相談に応えるための窓口を設置。

フレキシブルな働き方の検討

出社時間をコアタイム制にするなど、柔軟な勤務形態を試行。

通勤環境の配慮

通勤ルートや時間帯に応じた時差出勤や交通費支給の拡充。

これらを通じて、外国人材が「共に働く仲間」として安心して能力を発揮し、日本での仕事にスムーズに慣れることができる環境を整えましょう。

参考:
外国人ITエンジニアに調査、来日して働く理由、日本の好きなところ・嫌いなところ―プレイネクストラボ|HRzine
実際どうなの!?中小企業における外国人雇用の現状とその展望|BIG COMPASS
外国人雇用における課題|誰もが働きやすい社会を実現するための「D&I」推進ポータル

企業の実際の取組み

実際に企業が行っている取り組みからも、多くの学びが得られます。

外国人材の定着支援と活躍促進のための株式会社ディ・エー・アイの取り組み

愛知県で「豚旨うま屋ラーメン」を展開する株式会社ディ・エー・アイは、外国人材の採用と定着に先進的な取り組みを行っています。

同社は、かつて年間30名以上の離職者が出る課題を抱えていましたが、現在では外国人社員比率が60%に達しながらも離職者数を大幅に減少させています。担当者の山田武永氏は、未経験から3ヶ月で50名の留学生アルバイト採用を実現しました。

同社の主な取り組みは以下の通りです。

入社後のサポート体制

銀行口座開設、住居探し、行政手続きや各種届出など、来日後の生活立ち上げ支援は、外国人材が日本での生活に慣れる上で非常に重要です。必要に応じて、日本語学習の機会提供や生活相談窓口の設置も検討すべきでしょう。

異文化理解の促進

社内での異文化理解研修やセミナー等、多文化共生を促す社内イベントの実施などを通じて、日本人社員と外国人社員が互いに理解し、協力し合える環境を醸成します。異文化理解の促進は、日本人社員の意識改革を促し、企業全体のダイバーシティ&インクルージョンを推進するきっかけともなり得ます。

キャリアパスの提示

外国人材にも日本人社員と同様に、明確なキャリアパスや昇進の機会を示すことで、モチベーションを維持し、長期的な定着を促します。彼らの専門性や国際的な視点を活かせるような職務配置やプロジェクトへの参加を積極的に促すことも重要です。

適正な評価と報酬

成果に基づいた公平な評価制度と、日本人社員と同等以上の報酬を継続的に提供することは、外国人材のモチベーション維持と企業への信頼構築に不可欠です。

ビザ取得後の定着支援は、採用に投じたコストを回収し、外国人材の生産性を最大化するための「投資」と捉えることができます

なお、同社で採用しているのは特定技能ビザの外国人材であり、技人国ビザとは異なる在留資格です。しかし、採用後の生活支援やキャリアパスの提示、異文化理解の促進といった取り組みは、ビザ種別を問わず外国人材の定着と活躍に欠かせない要素です。技人国ビザ人材の採用を検討している企業にとっても、多くの点を学べるはずです。

参考:成功事例から学ぶ外国人材定着の秘訣~外国人社員比率60%で回す社内ルールとは〜【7/23開催決定】|PR TIMES

専門家を頼る!技人国ビザ申請代行

専門家とのコンサルティングの様子

ここまで見てきたように、技人国ビザの取得や更新にまつわる手続きは複雑で、専門的な知識が必要です。そのため、特に初めての申請など、自社のみで行うのは難しいという判断のもと、多くの企業が行政書士を始めとする専門業者にビザ申請の代行サービスを依頼しています。

専門家は出入国在留管理局への登録や最新の法令運用に精通しているため、技人国ビザ申請手続きにも大きな助けとなります

専門家に依頼することによって企業が得られるメリットは、次の通りです。

許可の可能性が高まる

専門家は最新の審査傾向や、個別のケースにおける許可のポイントを熟知しています。学歴と職務内容の関連性など、審査官が重視する点を的確にアピールする書類を作成することで、不許可のリスクを最小限に抑えます。

時間と労力の削減

煩雑な書類作成や入管とのやり取りから解放され、本来の採用業務や受け入れ準備に集中できます。費用はかかったとしても、トータルとしてはコストダウンが図れるでしょう。

コンプライアンスの遵守

在留資格に関する法的なルールを遵守し、不法就労などのリスクを回避できます。

総合的なサポート

申請だけでなく、配偶者・子どもなどの家族の呼び寄せや将来的な永住申請まで、長期的な視点でサポートを受けることが可能です。

技人国ビザ更新申請は、単なる事務手続きではなく、企業の重要な経営戦略の一環です。いずれにしても専門家の知識と経験を活用することが、確実かつ迅速に優秀な人材を確保するための賢明な投資と言えるでしょう。

MWO申請|技人国ビザでフィリピン人を受け入れるために

フィリピンの国旗

技人国ビザでフィリピン人人材を採用するには日本国内の手続きとは別に、MWOへの申請も必須となります

以前はPOLOという名称で知られていたMWOは、フィリピンのDMW(移住労働者省)の海外出先機関であり、日本では東京と大阪にMWOが設置されています(駐日フィリピン共和国大使館・総領事館内)。 

DMWとMWOはフィリピン人労働者の権利保護、福祉の向上、海外雇用の促進と管理を一元的に行うことを目的としています。そのため、技人国ビザでフィリピン人を採用する際にも、MWOへの申請が義務付けられています。

MWOへの申請手続きは、一般的に以下の流れで進みます。

STEP
申請書類の提出

まず必要な申請書類や資料を準備し、MWO(東京または大阪の事務所)に送付(郵送)します。

STEP
MWOによる審査と承認

次に、MWOによって提出された書類に基づいて審査が行われ、雇用契約の内容などが適切であると判断されれば、フィリピン政府から正式な承認の印とも言える認証が得られます。この承認によって、フィリピン人人材の募集活動が行えるようになります。

STEP
フィリピン人人材の採用

フィリピン人人材の募集を行い、採用・雇用契約を結びます。現地の送り出し機関を通じた人材の紹介も行われています。

フィリピン本国のDMWへのOEC申請などは、契約した現地の送り出し機関を介して行いますが、日本のMWO事務所への申請や申し込みは受入れ先が行わなければなりません。

このMWOへの申請は非常に複雑であり、書類に不備がある場合には差し戻しなどのトラブルも散見します。そのため時間と手間を省きながら採用を確実なものにするためにも、専門の代行業者を利用することが一般的です。

参考:フィリピン国籍の方々を特定技能外国人として受け入れるまでの手続の流れ|法務省 

まとめ:外国人材と共に企業の未来を拓く

日本企業でプレゼンテーションを行っている男性社員

外国人材の採用は、単なる労働力確保に留まらず、企業の多様性を高め、新たな価値創造を促す重要な経営戦略です。その点において技人国ビザは、専門知識や技術、国際的な感覚を持つ外国人材を日本に迎え入れるための主要な在留資格と言えます。適切な理解と準備を行うのと同時に、彼らが活躍できる適切な環境を整えることで、企業は優秀なグローバル人材を安定的に確保・定着させ、国際競争力を高めることができるでしょう。

在留資格に関する制度は、社会情勢や政策によって変更される可能性があります。常に最新の情報を確認し、疑問や必要に応じて行政書士などの専門家と連携することで、複雑な申請手続きをスムーズに進め、不許可リスクを最小限に抑えることが可能です。

特にフィリピン人人材を受け入れる際には、国内への手続き以外に、MWOへの申請手続きが必要です。MWO申請サポートではフィリピン人採用を検討している企業に向けた、様々なサポートプログラムを提供しています。

まずは一度、お気軽にご相談ください。

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