フィリピン人労働者の英語力は本物?その背景と特徴を解説

フィリピン人 英語

近年、国際ビジネスの現場において注目を集めているのが「フィリピン人人材」です。

英語を公用語とするフィリピンでは、多くの人が高い英語運用能力を身につけており、その言語力は多国籍企業や外資系企業にとって大きな魅力となっています。

実際、フィリピン人の優れた英語力は、BPO(ビジネス・プロセス・アウトソーシング)業界をはじめ、教育・観光・ITなど幅広い分野で活用されいます。

とはいえ、「なぜフィリピン人は英語が話せるのか?」「具体的にビジネスでどのように役立つのか?」といった疑問をお持ちの方も少なくないでしょう。

この記事では、そんなフィリピン人の驚くべき英語レベルの秘密を徹底的に解き明かします

歴史的背景から、独自の教育システム、さらには日常生活における英語環境まで、多角的な視点からその理由を深掘り。

また国際ビジネスの現場でフィリピン人の英語がどのように評価されているのかについても詳しく解説します。

フィリピン人人材の活用を検討している企業に向けて、フィリピン人労働者を採用する利点や事例を一覧で紹介しますので、ぜひ参考になさってください。

目次

フィリピン人はなぜ英語が堪能?歴史的背景と公用語としての英語

HELLOと書かれた文字

フィリピンは、アジアでも数少ない英語を公用語とする国の一つとして知られています。

フィリピンにおいて英語が広く普及している背景には、歴史的な要因が大きく関わっています。

アメリカ統治時代の影響と英語(English)教育の始まり

フィリピンにおける英語の普及の歴史は、アメリカによる植民地の時代にまで遡ります。

1898年の米西戦争の結果、フィリピンがスペインからアメリカ合衆国に割譲されたことに端を発します。

アメリカ統治は1898年から始まり、1946年の独立まで続きました。

この期間、アメリカはフィリピンの近代化政策の一環として公教育制度を整備し、主要な教授言語として英語を導入しました。

特に20世紀初頭から派遣されたアメリカ人教師「トーマサイトス(Thomasites)」の存在は象徴的です。

彼らは英語でレッスンを行い、現地の教員育成にも貢献しました。

このような施策によって英語学習が広まり、国民全体の英語力向上の基盤が築かれました。

その後の英語教育の普及は、現代のBPO産業の発展とも関連しており、ビジネス英語を自然に使える人材が豊富に育つ土台となっています

独立後も継続された英語の公用語化

1946年の独立後も、フィリピンでは英語がタガログ語と並ぶ公用語の一つとして維持されました。

まず第一に1935年の憲法で英語は正式な公用語とされ、その他に1987年に制定された現行憲法でも英語とタガログ語が公用語として規定されています。

そうした中でフィリピンでは政府の公文書、法律、裁判、ビジネス、大学などの高等教育等、社会の重要な場面では英語が広く使用されています。

このような環境の中で、英語が自然と身につく仕組みが整っていったのです。

日本では英語は国語ではなく外国語として教えられていますが、フィリピンでは日常生活に深く根ざした「使う言語」として位置づけられており、国民にとって重要なコミュニケーション手段となっています

英語に触れる機会の多さ(メディア、教育、日常生活)

フィリピンでは、テレビ、ラジオ、新聞、インターネットなどのメディアを通じて英語に日常的に触れることができます。

アメリカやイギリスの映画やドラマが字幕なし、あるいはタガログ語字幕付きで放映されることも一般的です。

音楽、映画、SNSを含め、英語圏のコンテンツが国民に非常に人気です。

また、日常会話では英単語とタガログ語を混ぜた「タグリッシュ(Taglish)」と呼ばれる言語使用が広く見られます。

これは都市部を中心とした現代的なコミュニケーションのスタイルとして定着しています。

新聞や書籍でも英語の出版物が多く出回っており、特に都市部の若者層を中心に英語の読み書き・話す能力が高まっています。

教育現場においては、多くの学校で理数系科目などの勉強では英語が用いられています。

ただし、公立学校では、母語を基盤とした多言語教育(MTB-MLE)が実施されており、小学校初等科では地域言語での授業が行われ、段階的にタガログ語や英語が導入されます。

一方、私立学校や都市部の教育機関では、幼少期から英語を使用する教育環境も多く見られます。

フィリピンでは初等教育から英語による授業が行われているために、英文法や語学に対する理解力が高く、ネイティブスピーカーに近い自然な英語力を持つ人材も少なくありません

フィリピンに英語習得を目的に留学する日本人が少なくないのもそのためです。

このように、教育・メディア・日常生活のあらゆる場面で英語に触れる機会が非常に多く、フィリピン人の高い英語力を自然と育む環境が整っているのです。

タガログ語の影響による独自のアクセントとイントネーション

一方で、タガログ語や地方言語(例えばセブ島で話されるビサヤ語など)の影響を受けた独特のアクセントやイントネーションも見られます。

たとえば、音節ごとの抑揚のつけ方や、ストレス(強勢)の位置が標準的なアメリカ英語とは微妙に異なる場合があります。

また、単語や文末のイントネーションがややフラットに聞こえることもあります。

さらにフィリピンでは「フィリピン英語(Philippine English/PhilE)」とも呼ばれる、独特の言い回しも存在します。これはアメリカ英語を基盤としつつ、スペイン語や現地の地方言語の影響を受けた独自の語彙や表現のことで、例えば「aircon(エアコン)」や「CR(comfort room/トイレのこと)」などが挙げられます。

それでもその違いは大きなものではなく、むしろこれらの特徴は国際的な英語の多様性の一部として捉えることができ、意思疎通において大きな障壁となることはほとんどありません

むしろ、多くのネイティブスピーカーからは「発音が明瞭でわかりやすい」として高く評価されており、実際にオンライン英会話の講師としてフィリピン人が高い人気を誇っているのも、この点に起因しています。

フィリピン人の英語スキルが国際ビジネスで選ばれる理由

ワールドワイドと書かれた文字と世界地図

フィリピンは、その高い英語力と豊富な人材により、BPO産業の一大拠点として世界的に知られています。

世界的なBPO産業の国別ランキングでも上位に位置づけられており、特にコールセンター業務やITサポート、データ入力といった分野では、多くのグローバル企業がフィリピンに拠点を置き、英語を話せる顧客に対応しています。

その理由をいくつか取り上げてみましょう。

優れたコミュニケーション能力

フィリピン人の英語力において、最も注目すべきはその「伝えようとする力」、つまりコミュニケーション能力です

フィリピン人は一般的にフレンドリーで、物怖じせずに相手に積極的に話しができる特徴があります。

そのため、英語での会話に対する心理的なハードルが比較的低いといわれています。

多少の語彙不足や文法ミスがあっても、それを補って余りあるのが、豊かな表情やジェスチャーを用いた非言語的なコミュニケーションです。

このような「相手に伝える力」は、国際的なビジネス現場やホスピタリティ産業、BPO業界、海外就労の場面でも高く評価されています。

明瞭で聞き取りやすい発音

フィリピン人の英語は、一般的に「クリアで聞き取りが簡単」と評価されています。

これは主にアメリカ英語の影響を強く受けていることによります。

英語教育がアメリカ式で行われてきたため、現在でもアメリカ英語に近い発音が基本とされています。

母音や子音の区別が明確であり、単語の区切りを意識して発音する傾向が強いため、会話の内容を把握しやすいという特徴があります

文法と流暢さのバランス

フィリピン人の英語は、教育水準が高い層においては非常に正確で、文法的にも安定しています。

特に高等教育を受けた人々やビジネスパーソンは、専門的な英語表現も使いこなすことができ、国際的な場でも遜色のない英語力を持っています。

一方で、日常会話では流暢さを優先する傾向があり、細かな文法ミスが見られることもあります。

しかし、それは英語を「実用的なツール」として自然に使っている証でもあり、完璧さよりも伝達力を重視した言語運用能力の高さを示しているといえます

フィリピン人労働者が海外で活躍する理由

外国で働くフィリピン人

フィリピン人労働者が海外で多く活躍しているのは、英語スキルが高いという理由だけにとどまりません。

ここでは、その理由についてさらに深堀りしていきます。

人材の豊富さ

フィリピンは若年層の労働人口が多く、政府も海外での就労を積極的に支援する政策を取っています。

そのため、海外で働くことに意欲的な優秀な人材がたくさん存在します

そのことは、フィリピン国外で合法的に就労しているフィリピン国籍の労働者を指す政府公認の呼称、「OFW(Overseas Filipino Workers)/海外フィリピン人労働者」という言葉が存在していることからも明らかです。

実際、フィリピン人労働者は世界各国で活躍しており、国家経済の重要な支柱ともなっています。

異文化への適応能力の高さや、勤勉で協調性のある国民性も、国際的なビジネスパートナーとして信頼を得ている要因といえるでしょう。

コスト競争力

さらに現実的な強みとして、人件費のコストパフォーマンスの高さが挙げられます。

ネイティブスピーカーを雇用するよりも低いコストで、質の高い英語運用能力を持つ人材を確保できるため、特にコールセンター業務やバックオフィス業務のアウトソーシング先として非常に魅力的です

これにより、企業はコスト削減を実現しつつ、顧客サービスの質を維持・向上させることが可能となります。

高いホスピタリティ精神

フィリピン文化に深く根付いている「おもてなしの心(ホスピタリティ)」は、ビジネス、特に顧客対応業務において大きな強みとなります。

彼らは顧客に対して非常に親切で、忍耐強く、丁寧に対応する傾向があります

この顧客中心の姿勢は、顧客満足度の向上に直結し、企業のブランドイメージを高める上で重要な要素となります。

多言語への高い適応力

フィリピンでは幼い頃から複数の言語を用いることが一般的です。

例えばマニラ近郊であればタガログ語と英語、地方ならばそれに加えて現地の地方言語が加わります。

そのため、日本語をすぐに習得するフィリピン人は珍しくありません。

特にこの点は、英語を苦手とする従業員が多い職場でもフィリピン人が活躍できる大きな要因となっています

勤勉さと学習意欲

フィリピン人は一般的に勤勉で、新しいスキルや知識を学ぶことに対する意欲が高いと言われています

これは、変化の速いビジネス環境において、新しい業務プロセスや技術を迅速に習得し、対応して行く上で非常に重要な資質です。

以上のような特徴から、フィリピン人労働者は国際ビジネスの現場で高く評価されています。

フィリピン人と効果的にビジネスコミュニケーションを取るためのヒント

ミーティングでのコミュニケーション

フィリピン人と円滑なビジネスコミュニケーションを図るためには、彼らの文化的な背景やコミュニケーションスタイルを理解し、それに配慮した接し方を心がけることが重要です。

以下に、そのためのヒントをいくつか挙げます。

間接的な表現を好む傾向を理解する(HiyaとPakikisama)

フィリピン文化には、「Hiya(ヒヤ:羞恥心、面子を重んじる心)」や「Pakikisama(パキキサマ:集団との調和を保とうとする姿勢)」といった重要な価値観があります。

そのため、直接的な否定や批判は相手の面子を傷つけ、関係を損なう可能性があると捉えられがちです。

そのため何かを依頼する際や、改善を求める際には、できるだけ丁寧で婉曲的な表現を用いるようにしましょう

例えば、「これはダメだ」と直接的に言う代わりに、「こうすればもっと良くなるかもしれませんね」といった提案型の言い方が好まれます。

「Yes」の解釈に注意する

フィリピン人は、相手に同意したり、相手を不快にさせたりしないように、「Yes」と答えることがあります。

しかし、この「Yes」が必ずしも完全な同意や確約を意味するとは限りません

時には「あなたの言っていることは理解しました」あるいは「検討します」といったニュアンスで使われることもあります。

そのため重要な合意事項については、後で再度確認したり、具体的なアクションプランを共有したりするなど、誤解が生じないように丁寧なフォローアップを心がけましょう。

人間関係を重視する

フィリピンでは、ビジネスにおいても個人的な信頼関係(リレーションシップ)が非常に重視されます

仕事の話に入る前に、軽い雑談(スモールトーク)を交わしたり、相手の家族や趣味について尋ねたりすることで、親近感を育むことが良好な関係構築に繋がります。

食事に誘ったり、ちょっとした手土産を渡したりすることも、関係性を深める上で効果的です。

階層意識と敬意の表現

フィリピン社会には、年長者や役職が上の人に対する敬意を重んじる文化があります

ビジネスシーンにおいても、相手の役職や年齢に応じて丁寧な言葉遣いを心がけ、「Sir(サー)」や「Ma’am(マム)」といった敬称を名前の前に付けて呼ぶのが一般的です。

時間にルーズな側面も

「Filipino Time(フィリピーノ・タイム)」という言葉があるように、時間にややルーズな傾向が見られることがあります

もちろん日本のビジネスシーンに時間厳守が基本ですが、会議の開始が少し遅れたり、納期が多少ずれ込んだりすることに対して、ある程度の寛容さを持つことも時には必要かもしれません。

とはいえ重要な納期については、事前に余裕を持ったスケジュールを設定し、こまめに進捗を確認するといった対策が有効です。

ポジティブなフィードバックを心がける

フィリピン人は褒められるとモチベーションが上がる傾向があります。

小さなことでも良い点を見つけて具体的に褒めることで、相手のやる気を引き出し、より良い成果に繋げることができます

こうしたフィリピン人の特性や文化的な特徴は、私たち日本人にとっても理解しやすいものではないでしょうか。

あなたの職場でも、きっとフィリピン人は受け入れられることでしょう。

フィリピン人労働者の英語力まとめ

英語でのコミュニケーション

本記事を通じて、フィリピン人がなぜこれほどまでに高い英語力を有しているのか、そして世界の労働現場で活躍する理由について理解できたことでしょう。

フィリピンでは教育でも日常生活でも英語が当たり前の存在であり、彼らの肌感覚として英語でのミュニケーションが染み付いています。

その上で彼らのコミュニケーションの高さや勤勉さ、積極的に他文化に溶け込もうという姿勢が、世界中で貴重な労働人材として受け入れられている要因となっています

御社でも外国人労働者の採用を検討しているなら、当記事を参考にしてぜひ積極的にフィリピン人人材の登用をおすすめします。

フィリピン人労働者の採用についてお悩みの点があれば、まず専門サポート機関による無料の相談サービスを利用しみましょう。

MWO申請サポートでも、フィリピン人人材の雇用をサポートする様々なプランを用意しております。

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