【高度人材】フィリピン人採用を成功へ導く!在留資格一覧とポイント制度徹底解説

グローバル化が加速する現代において、企業の持続的な成長と国際競争力の強化には、多様なバックグラウンドを持つ優秀な人材の確保が不可欠です。
特に、専門的な知識や技術、豊富な経験を備えた「高度人材」の獲得は、イノベーションの創出や新規事業の展開において極めて重要であり、その成否を左右すると言っても過言ではありません。
日本政府も、こうした高度外国人材の受け入れを積極的に推進しており、さまざまな優遇措置を設けています。
本記事では、今後ますます重要性が高まるフィリピン人をはじめとする外国人高度人材の採用を検討されている企業のご担当者様に向けて、高度人材制度の基本知識、関連する在留資格の種類と詳細、具体的な申請手続き、さらには採用成功のための重要なポイントまで、網羅的かつ分かりやすく解説いたします。
ぜひ、参考にしてください。
「高度人材」とは?日本が求める外国人材の定義とメリット

日本が積極的に受け入れを進めている高度人材とは、国内の資本や労働力と補完関係にあり、代替が難しい優秀な人材を指します。
これらの人材は、日本の産業にイノベーションをもたらすだけでなく、日本人と切磋琢磨することで専門的・技術的な労働市場の発展を促し、日本経済の成長に大きく貢献することが期待されています。
少子高齢化が進む日本において、持続的な経済成長を実現するためには、高度な専門知識や技術を持つ人材の存在が不可欠です。
企業が高度人材を採用するメリット
企業が高度人材を雇用することには、以下のような多くのメリットがあります。
- イノベーションの促進
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多様な価値観や専門的知識を持つ人材が加わることで、新しいアイデアやビジネスモデルが生まれやすくなります。
特に、高度な専門知識や技術を持つ人材は、研究開発や新規事業の推進において重要な役割を果たします。
- 生産性の向上
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専門性の高い人材は、特定の業務において高いパフォーマンスを発揮し、企業全体の生産性向上に寄与します。
特にITや先端技術分野では、その効果が顕著に現れています。
- グローバル市場への展開力強化
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海外市場や異文化に精通した人材は、企業の国際展開を支援します。
とくに英語が公用語の一つであるフィリピン出身の人材は、グローバルコミュニケーションの円滑化に大きく貢献します。
- 社内活性化とダイバーシティ推進
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外国人材の外国人材の受け入れは社内に多様な価値観をもたらし、社員の意識改革や多文化共生の理解を促進します。
これにより組織の活性化やイノベーション創出が期待されます。
- 人手不足の解消
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少子高齢化により専門職を中心とした人材不足が深刻化する中で、高度人材の受け入れは有効な解決策となっています。
日本政府が高度人材受け入れを促進する背景
経済のグローバル化が進展する中で、日本政府は国際的な人材獲得競争に対応し、国の成長戦略を推進するために「高度外国人材等受入れ強化戦略」などを策定しました。
それによって高度人材の受け入れを積極的に進めています。
特に、科学技術分野、IT分野、医療分野、経営管理分野など、専門性が高く日本の産業構造の高度化に寄与できる人材の獲得に注力しています。
これにより、新技術の開発や生産性の向上、さらには国際的なビジネスネットワークの拡大を目指しています。

高度人材・在留資格

企業が高度人材を受け入れるには、適切な在留資格(ビザ)を取得しなければなりません。
高度人材ビザには「高度専門職1号」と「高度専門職2号」の2種類のビザが存在します。
高度専門職1号・2号の違いと特徴
後で詳しく説明しますが、高度人材ポイント制度で70点以上を獲得した外国人は、在留資格「高度専門職1号」の対象となります。
そして「高度専門職1号」で3年以上活動を継続した場合、さらなる優遇措置を受けられる「高度専門職2号」への変更申請が可能です。
高度専門職1号 | 活動内容に応じて「イ」「ロ」「ハ」の3つの類型に分類されます。 一律5年の在留期間が付与されます。 永住許可の申請に必要な在留期間が短縮されるなどの優遇措置があります。 複合的な活動が認められます(例:大学での研究活動と関連する事業の経営)。 |
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高度専門職2号 | 「高度専門職1号」で認められた活動に加えて、ほぼ全ての就労資格の活動を行うことができます。 在留期間が無期限(永住)となります(ただし、在留カードの更新は必要)。 より安定した日本での滞在が可能になります。 |
【在留資格】高度専門職1号の対象者
高度専門職1号(イ)「高度学術研究活動」
対象となる活動内容 | 日本の公私の機関との契約に基づいて行う研究、研究の指導、または教育をする活動(例:大学教授、研究者)。 |
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必要となる学歴・職歴・年収の目安 | ポイント計算において、高い学歴(博士号など)、豊富な研究実績、一定以上の年収が評価されます。 |
高度専門職1号(ロ)「高度専門・技術活動」
対象となる活動内容 | 日本の公私の機関との契約に基づいて行う、自然科学または人文科学の分野に属する知識または技術を要する業務に従事する活動(例:IT技術者、エンジニア、金融アナリスト、国際弁護士、デザイナー、語学教師(大学等)など)。 いわゆる「技人国(技術・人文知識・国際業務)」の専門性をさらに高めたイメージです。 |
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必要となる学歴・職歴・年収の目安 | 関連する分野での大学卒業以上の学歴、実務経験、そして高い年収が求められます。 特にIT分野などの先端技術分野では需要が高いです。 |
高度専門職1号(ハ)「高度経営・管理活動」
対象となる活動内容 | 日本の公私の機関において事業の経営を行いまたは管理に従事する活動(例:企業経営者、役員、管理職)。 |
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必要となる学歴・職歴・年収の目安 | 事業の規模や役職に応じた経営・管理経験、そして高い年収が評価されます。 |
高度人材ポイント制度の仕組みと評価項目

高度人材ビザを取得するには、「高度人材ポイント」で必要な要件を満たさなければなりません。
この制度では、対象者の学歴、職歴、年収、研究実績、保有資格、日本語能力などの要素をポイント化し、合計が一定基準に達した場合に、出入国在留管理上の優遇措置が適用される仕組みです。
現在、ビザ取得のためには合計70点以上を獲得することが基本要件となります。
ポイント制度は、申請者の能力や日本への貢献度を客観的に評価する制度であり、これにより審査の透明性と公正性が高まっています。
フィリピン人候補者を採用する際も、事前に以下のポイントを確認し、適合性を判断することが重要です。
区分 | 配点例(基本) |
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学歴 | 博士号(Ph.D.):30点 修士号(Master’s degreeを保有する場合):20点 学士号(Bachelor’s degree/いわゆる大学卒業):10点 ※「複数の学士号で20点」という制度はなく、学士はどれだけ多数取得していても10点が上限となります。 |
職歴 | 3年以上:5点 5年以上:10点 7年以上:15点 10年以上:20点 (要件該当で最大25点) 10年以上かつ管理職や特定の役職要件を満たす場合:25点 ※フィリピン人候補者がIT企業や研究機関で7年以上の経験があれば15点獲得でき、さらに管理職経験があれば最大25点を目指せます。 |
年齢 | ~29歳:15点 30~34歳:10点 35~39歳:5点 40歳以上:0点 ※若手エンジニアを採用したい場合は、30歳未満であるほど有利です。フィリピン人の場合、留学後すぐに応募するパターンでも十分点数を獲得しやすい傾向があります。 |
年収(年齢別要件) | 年収配点は、まず「年齢ごとに設定された必要年収」を満たすことが前提となります(例:30~34歳であれば年収500万円以上が必要)。そのうえで、以下のように配点がつきます。 600万以上:20点 800万以上:30点 1,000万以上:40点 ※300万円や400万円台の細かい区分は存在せず、最低でも600万円以上ないと0点扱いになります。フィリピン人候補者を採用するときは、年齢に見合った水準の提示年収を設定しましょう。 |
日本語能力 | N1合格または日本語専攻卒:15点 N2合格:10点 |
研究実績(特別加算) | 学術論文 ・論文50編以上:10点 ・論文30編以上:5点 特許取得実績 ・5件以上の特許:5点 外国資格・表彰(法務大臣が認めるもの):5点 成長分野プロジェクト従事(イノベーション関連など):中小企業所属なら5点、非中小企業でも10点 ※フィリピン人エンジニアが国際会議で発表した経験や特許を持っていれば、これら特別加算でさらに点数を伸ばせます。 |
高度人材につながる主要な在留資格一覧

高度専門職(1号・2号)以外にも、専門的な知識や技術を有する外国人向けの在留資格が存在します。
これらの在留資格で実務経験を積み、ポイント制で一定基準(70点以上)を満たすことで、高度専門職1号への変更が可能になる場合があります。
技術・人文知識・国際業務(通称:技人国)ビザ
対象 | 自然科学・人文科学の知識を用いた業務、または外国文化に基づく業務に従事する外国人。 |
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主な業務例 | エンジニア、プログラマー、通訳・翻訳、デザイナー、企業の語学教師、マーケター等。 |
備考 | 日本の専門学校卒業者も、「専門士」や「高度専門士」の称号を持ち、業務との関連性が認められれば対象となり得ます。 |
経営・管理ビザ
対象 | 日本国内で事業を経営・管理する活動を行う外国人。 |
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主な業務例 | 企業の代表取締役、役員、監査役、支店長、工場長など。 |
高度専門職を目指す際のポイント
上記の在留資格で日本で就労している外国人がポイント計算で70点以上を満たせば、「高度専門職1号」への在留資格変更許可申請が可能です。
そのためには、実務経験を積み、年収を上げ、日本語能力を向上させるなどの努力が必要となります。
企業側も、人材育成の観点から資格取得支援や昇進・昇給などを検討することで、高度人材への移行をサポートできます。
フィリピン人高度人材の採用:企業が押さえておくべきポイントと注意点

フィリピンは教育への関心が高く、大学や専門機関が数多く存在します。
特に看護、介護、情報技術(IT)、工学、会計などの分野では、国際水準に対応できる人材が多数育成されています。
授業は多くの場合英語で行われるため、英語力の高い人材が多いことも大きな特長です。
日本企業が国際的なコミュニケーション能力を持つ即戦力人材として、フィリピン人を採用することには大きなメリットがあります。
しかしそれと同時に、採用する企業は以下の点に注意を払う必要があるでしょう。
フィリピン人を採用する際のコミュニケーション
フィリピン人の多くは高い英語力を有していますが、日本の職場や日常生活では日本語が必要とされる場面も多く、一定の日本語能力が求められることもあります。
採用時に日本語能力の有無を評価するかどうか、また入社後にどのような日本語教育サポートを提供するかは、企業にとって重要な検討事項です。
業務によっては、初期段階では英語で業務を行い、段階的に日本語力を伸ばしていく体制を取ることも有効です。
採用手続きと必要書類(日本とフィリピン双方の手続き)
フィリピンから人材を採用する場合、日本とフィリピンの双方で独自の手続きが求められます。
- 日本側:MWO申請ならびに在留資格認定証明書(COE)の交付申請手続き等
- フィリピン側:送出機関を介したDMWへのOECの申請等
これらは、フィリピン政府による海外労働者の保護制度の一環であり、企業側にはそれに応じる義務があります。
MWO・DMWへの申請は必要書類が多岐にわたり非常に複雑であるため、専門の代行業者等のサポートを得ることが重要です。
受け入れ後のサポート体制の重要性
海外での新しい生活には、誰でも不安が伴います。
企業は、住居の確保支援、銀行口座開設や各種行政手続きのサポート、日本の生活習慣に関する情報提供など、スムーズな生活立ち上げを支援することが大切です。
配偶者や家族を帯同する場合、彼らが日本で安心して暮らせるようなサポートも必要になるでしょう。
また、社内での孤立を防ぎ、円滑なコミュニケーションを促進するための取り組み(メンター制度、交流イベントの開催など)も、人材の定着と活躍には不可欠です。

高度人材の申請・認定手続きの流れと必要書類

在留資格認定証明書交付申請(海外から呼び寄せる場合)
海外に在住している外国人を高度専門職として日本に呼び寄せる場合、日本の出入国在留管理庁へ「在留資格認定証明書」の交付申請を行います。
このとき、高度人材ポイント制度で70点以上を獲得していることを証明するポイント計算表および証拠書類(学歴証明、職歴書、年収証明、日本語試験合格証、日本語能力証明など)も同時に提出する必要があります。
審査を通過すると認定証明書が発行され、申請者は日本大使館・領事館でビザ申請を行い、日本へ入国できるようになります。
在留資格変更許可申請(国内にいる外国人を雇用する場合)
すでに日本国内に在留している外国人(例:留学生、技術・人文知識・国際業務ビザ保持者など)を高度専門職として雇用する場合は、「在留資格変更許可申請」を出入国在留管理庁に提出します。
この際も、ポイント計算表とその証明資料を添付する必要があります 。
許可がおりれば在留資格は「高度専門職1号」となり、指定された高度専門職活動を日本国内で行うことが可能になります。
主な書類一覧
申請の種類(認定または変更)や高度専門職の区分(イ・ロ・ハ)によって必要書類は異なりますが、一般的に以下のような書類が必要となります。
- 在留資格認定証明書交付申請書(海外から呼び寄せる場合)
- 在留資格変更許可申請書(国内での変更の場合)
- ポイント計算表および各項目のポイントを明らかにする資料(学歴証明書、在職証明書、年収を証明する書類、研究実績を証明する資料、日本語能力を証明する書類など)
- 申請人の写真
- 受入れ機関(会社)の概要を明らかにする資料(登記事項証明書、決算報告書など)
- 雇用契約書の写しまたは労働条件通知書の写し
- その他、個別の状況に応じて法務大臣が定める資料
書類は多岐にわたり、正確な準備が求められるため、専門家への相談も有効です。
申請から許可までの期間の目安と注意点
高度人材に関する申請は、他の在留資格に比べて優先的に処理される傾向にあります。
実際に、高度専門職に関する在留資格認定証明書や在留資格変更許可の審査は、出入国在留管理庁において優先審査の対象とされ、標準処理期間が短縮されることがあります。
ただし、状況により申請から許可まで通常は1ヶ月から3ヶ月程度を要する場合もあります。
また、提出書類に不備や不正確な記載があると、審査が長引く、または不許可となる可能性もあります。
そのため、ポイント計算表に基づく学歴、職歴、年収、日本語能力、研究実績などの根拠資料は、客観的かつ正確なものを用意する必要があります。
審査の円滑な進行のためにも、書類の整備と正確な内容確認が極めて重要です。
MWO申請:フィリピン人採用のための必須要項

高度専門職でフィリピン人を雇用する場合には、在留資格認定証明書とは別にMWOへの申請が必要です。
MWO(Migrant Workers Office:移住労働者事務所)は、過去にはPOLO(Philippine Overseas Labor Office:フィリピン海外労働事務所)という名称で知られていました。
MWOはフィリピンのDMW(Department of Migrant Workers:移住労働者省)の海外出先機関であり、各国に設置されています。

日本では東京と大阪にMWOが設置されています(駐日フィリピン共和国大使館・総領事館内)。
DMWとMWOは高度専門職を含めたフィリピン人労働者の権利保護、福祉の向上、海外雇用の促進と管理を一元的に行うことを目的としています。
そのため、高度専門職や特定活動などの様々な職種でフィリピン人を採用する際に、MWOへの申請が義務付けられています。


申請手続の全体の流れ
MWOへの申請手続きは、一般的に以下の流れで進みます。
- 申請書類の提出
- まず必要な申請書類を準備し、MWO(東京または大阪の事務所)に提出(送付)します。
- MWOによる審査と承認
- 次に、MWOによって提出された書類に基づいて審査が行われ、雇用契約の内容などが適切であると認められれば、認証が得られます。
- この承認によって、フィリピン人人材の募集活動が行えるようになります。
- フィリピン人人材の採用
- フィリピン人人材の募集を行い、採用・雇用契約を結びます。
送出機関の必要性
フィリピン人を海外で雇用する場合、原則としてフィリピン政府が公認して登録された送り出し機関を介することが求められます。
これは、フィリピン人労働者を悪質なブローカーから保護し、適切な労働条件を確保するための重要な措置です。
DMWによって登録された送り出し機関の一覧は、次のページで確認できます。
信頼性のある送出機関を選ぶ際には、その実績や評判、フィリピン政府からの認定を受けているかなどを確認することが重要です。また、送出機関との間で締結する契約内容を十分に確認し、手数料やサポート内容等を明確にしておく必要があります。
MWOへの申請はフィリピン人労働者の権利を守るためにも大切ですが、手続きが非常に複雑で面倒であることも事実です。
そのため、高度専門職でフィリピン人を採用する企業は、サポートをしてくれる専門家の助けを借りながら申請を行うのが成功の鍵となります。
無料の相談窓口などを利用してみるのもいいでしょう。

【まとめ】企業の未来を切り拓くフィリピン人高度人材の獲得

本記事では、企業が高度人材を雇用するために知っておくべき様々な情報や事例を紹介しました。
高度人材の受け入れは、単なる人手不足の解消に留まらず、企業に新たな視点や専門知識・技術をもたらし、イノベーションを促進する大きな可能性を秘めています。
特に、英語能力が高く、専門分野で優秀な人材が多いフィリピンは、高度人材の採用ターゲットとして非常に魅力的です。
高度人材ポイント制は複雑に感じるかもしれませんが、その仕組みを理解し、適切な準備を行えば、優秀な人材獲得の強力な武器となります。
採用から受け入れ、そして定着までの一貫したサポート体制を構築し、高度外国人材がその能力を最大限に発揮できる環境を整えることが、これからの企業成長の鍵となるでしょう。
高度人材としてフィリピン人を雇用する場合は、MWOへの申請も必須となります。この手続きをスムーズに進めるためには、専門業者のサポートを得ることが一番の近道です。
MWO申請サポートでは、フィリピン人人材雇用のための様々なサポートプログラムを提供しています。
まずは一度、お気軽にご相談ください。
