フィリピン人OFWとは?OFW採用のために知っておくべき情報を徹底解説

フィリピンの経済を語る上で欠かせない存在が、OFW(Overseas Filipino Workers:海外フィリピン人労働者)です。
彼らはフィリピン国外で働き、フィリピン国内へ送金することで、国の経済に大きく貢献しています。
当記事ではOFWの概要と、なぜ彼らがフィリピン経済にとってこれほど重要な存在なのかを解説します。
日本を含め、世界中で活躍するフィリピン人の労働者たちが直面する現実の一覧、そして彼らを支えるサービスや組織についても触れていきます。
彼らを雇い入れる企業にとってもOFWについて正しく理解することが、彼らを自社で活躍させるためにも不可欠です。
ぜひ、参考にして下さい。
フィリピン経済を支えるOFWとは?

OFW(Overseas Filipino Worker)とは、フィリピン政府の監督のもとで海外での労働に従事することを許可されたフィリピン人労働者を指します。
彼らの存在は、フィリピン経済の安定と発展において非常に重要な役割を果たしています。
特に、彼らが世界中から本国に送金する金額は国内消費を下支えし、貧困削減にも貢献しています。
このような背景から、フィリピン政府はOFWを「現代のヒーロー(Modern-day Heroes)」と称え、様々な政策支援を行っています。
OFW(海外フィリピン人労働者)の全体数は、年間で約216万人(2023年時点)に達しており、近年も増加傾向にあります。
主な派遣先としては、中東のサウジアラビア、アラブ首長国連邦(UAE)、カタール、クウェートのほか、アジアでは香港、シンガポール、台湾、そして日本等が挙げられます。
これらの国々では、看護師や介護士、家事労働者、エンジニア、船員など、幅広い職種でフィリピン人労働者が活躍しており、国際労働市場におけるフィリピン人の需要の高さを物語っています。

OFWの海外送金:フィリピン経済の生命線

OFWは、今やフィリピン経済の重要な柱となっています。
特に彼らが本国へ送る海外送金(remittances)は、経済活動を支える上で欠かせない資金源です。
フィリピン中央銀行(BSP)のデータによると、2024年の海外送金総額は383.4億米ドルに達し、これはGDPの約10%近くを占めています。
この金額は、外貨収入源として輸出や観光を上回る規模であり、国家経済の安定を下支えする“見えない輸出”とも言われています。
消費と投資を刺激するOFW送金
OFWから送られてくるお金は、多くの家庭にとって家計の柱であり、住宅建設、教育、医療、起業など、生活の質を向上させるための重要な資金として活用されています。
地方都市や農村部でも、この送金がもたらす恩恵は大きく、個人消費の活発化によって地域経済が潤い、雇用も生まれます。
また、送金があることで貧困から抜け出す家庭も多く、社会的格差の緩和や中間層の拡大にも寄与しているのです。
グローバルな労働力が生む国内成長
現在、世界各地に約180〜200万人以上のOFWが存在し、彼らは看護師や介護士、エンジニア、船員、建設労働者、家事労働者など、多様な職種で活躍しています。
国際的な労働力としてのフィリピン人の信頼性と柔軟性が、世界で高く評価されていることも、送金の安定的な流入につながっています。
こうした背景から、OFWは単なる「出稼ぎ労働者」ではなく、国家の経済構造を支える重要なファクターとして位置づけられているのです。

OFW家庭の子育てと教育支援:離れていても育む家族の絆

OFWの多くは、母国に家族を残して働いています。
そのため子育て中のフィリピン人労働者は物理的な距離を超えて家庭を支える必要があり、就業継続のためにも彼らを雇い入れる企業からのサポートが不可欠です。
親が海外にいても大丈夫!OFW家庭における子育ての工夫
OFWとして海外で働く親が直面する大きな課題の一つに、フィリピンに残る子どもたちの子育てと教育があります。
物理的な距離がある中で、どのようにして子どもたちの成長を見守り、家族の絆を育むのかは、多くのOFWが抱える共通の悩みです。
このような状況下でも、フィリピンではテクノロジーと家族の協力を活用し、次のような形で家庭とのつながりを保っています。
- 定期的なビデオ通話
- ZoomやMessenger Video Callなどを使い、宿題の進捗確認や学校行事の共有を行い、心理的な距離を縮めています。
- 家族内の分担体制
- 祖父母や親戚が子どもの日常生活を支え、保護者と育児方針を共有することで、安定した家庭環境が維持されています。
フィリピン政府・民間団体による子育てと教育支援策
フィリピン政府は、OFW(海外フィリピン人労働者)とその家族を支援するため、さまざまな制度を整えています。
特にOWWA(Overseas Workers Welfare Administration)は、OFWの子どもたちへの奨学金プログラムや教育ローンを提供し、多くの家庭がこれらの支援を利用しています。
また、OFWが帰国した際に子どもが国内の学校へスムーズに編入できるよう、情報提供や手続きの支援も行っています。
一方、民間団体や国際NGOも、親が海外で働く子どもたちの心理的ケアや教育支援に取り組んでいます。
例えば、UNICEFやIOM(国際移住機関)などが支援活動を展開し、子どもたちが感じる寂しさや不安に寄り添いながら学業面のサポートを行うことで、健全な成長を促しています。
日本国内での教育サポート
近年では、日本で働くフィリピン人が子どもを日本に呼び寄せ、一緒に生活するケースも増えています。
この場合、以下のような行政・地域のサポートが活用されています。
- 外国人児童向けの日本語指導教室
- 自治体による生活・教育相談窓口
- 在日フィリピン人団体による文化・言語サポート
たとえば、フィリピン大使館主導の「Aikawa Project」では、日本の学校に通うフィリピン人生徒が日本語で学ぶのが難しい科目(数学や理科など)をオンラインで受けられる仕組みなどが整備されています。
民間でも在日フィリピン人コミュニティが中心となった、フィリピン語教室や文化交流イベントなどが開催されています。
これらの取り組みは、子どもたちが自身の文化的アイデンティティを維持しつつ、日本社会に適応していく上で重要な役割を果たしています。
日本企業がOFWを雇用する場合には、こうした官民をあげてのサポートについても積極的に周知・活用していくことが大切です。

OFWの権利保護と労働契約の最新ガイド:MWO申請とは

OFWが安全に就労し、彼らの権利を守るためには、労働契約の確認だけでなく、MWO(Migration Workers Online)への申請も不可欠です。
企業担当者としても、これらのポイントを理解し適切に対応なさってください。
労働契約のチェックポイント
OFWが直面しやすい問題には、契約条件と実際の労働内容の違い、賃金未払い、パスポートの不法没収、ハラスメント、不当解雇などがあります。
特に個別雇用が多い家事労働や建設労働では、トラブルが顕在化しやすい傾向です。
安全な労働環境のためには、以下の契約内容を必ず確認してください。
- 雇用主の情報(名称、所在地、連絡先)
- 職種・業務内容の詳細
- 給与金額・支払方法・支払日
- 労働時間・休日・有給休暇
- 契約期間・更新の有無
- 住居・食費の提供条件
- 医療保険・社会保障の加入状況
- 解雇条件
- トラブル時の相談窓口
契約書はOFWが理解しやすい英語もしくはタガログ語が望ましいでしょう。
MWO申請
日本企業がOFWを雇用する際には、MWOへの申請が必須となっています。
MWO(Migrant Workers Office:移住労働者事務所)は、以前はPOLO(Philippine Overseas Labor Office:フィリピン海外労働事務所)という名称で知られていました。
MWOはフィリピンのDMW(Department of Migrant Workers:移住労働者省)の海外出先機関であり、各国に設置されています。
日本では東京と大阪にMWOが設置されています(駐日フィリピン共和国大使館・総領事館内)。

DMWとMWOはOFWの権利保護、福祉の向上、海外雇用の促進と管理を一元的に行うことを目的としています。
MWOの主な役割と機能は以下の通りです。
主な役割 | 機能 |
---|---|
求人情報の審査・認定 (Job Order Accreditation) | フィリピンからOFWを雇用しようとする場合、まずMWOに求人情報(ジョブオーダー)を提出し、審査・認定を受ける必要があります。 この審査では、企業の信頼性、労働条件の妥当性、OFWの権利が保護されるかなどが確認されます。 |
雇用契約の認証 (Contract Verification) | 雇用主とOFWとの間で締結される雇用契約書の内容が、フィリピンの労働法規やMWOの基準に適合しているかを確認し、認証する手続きです。 この認証がなければ、OFWは適法に日本で就労するためのフィリピン側の手続きを進めることができません。 |
OFWの権利保護と福祉支援 | 管轄地域で働くOFWが直面する労働問題や生活上の困難について相談を受け付け、必要な支援や介入を行います。 不当な扱いや契約違反があった場合には、雇用主に対して是正を求めることもあります。 また、OFW向けのセミナーや情報提供なども行っています。 |
その他関連業務 | OFWの登録管理、帰国支援、各種証明書の発行など、OFWに関連する多岐にわたる支援を行っています。 |
MWOでは企業とフィリピン人労働者との間で締結された雇用契約が労働法規に適合しているかどうかを厳格に確認し、審査が行われます。
そのため日本企業がフィリピン人労働者の採用・就労を検討する際には、MWOの機能を十分に理解し、その手続きに真摯に対応することが求められます。

OFW採用を円滑に進めるためのサポート機関活用のススメ

日本企業がOFWを雇用する際には、MWOへの申請が必須となっています。
OFWの権利を守るために大切なこととはいえ、MWOへの申請は複雑で企業担当者にとっても難しいハードルであることも事実です。
そのため、OFW採用のために必要なMWO申請をスムーズに進めるためには、その点で実績のあるサポート機関を活用することがおすすめです。
MWO申請サポート機関(申請代行業者)を活用するメリットは、以下の通りです。
時間と労力の大幅な削減
MWO申請は非常に複雑で面倒であるため、担当者が通常業務と並行して対応するのは大きな負担となります。
代行サービスを利用すれば、資料や書類作成のサポート、MWO事務所とのコミュニケーション、進捗管理などを専門家が代行してくれるため、企業は煩雑な事務作業が不要となり、本業に集中できます。
専門知識による確実な申請
フィリピンの労働法や関連規則は頻繁に更新されるため、常に最新の情報を把握するのは容易ではありません。
代行会社は専門の知識を持ち、申請書類の不備や手続きの遅延といったリスクを最小限に抑え、スムーズな認可取得をサポートします。
最新情報へのアクセスと的確なアドバイス
フィリピン政府の方針変更やMWOの運用ルールの更新をいち早くキャッチし、それに基づいた的確なアドバイスを受けられるのも代行サービスのメリットです。
これにより、予期せぬトラブルを回避し、計画通りにフィリピン人採用を進められます。
ワンストップサービスの可能性
一部の代行業者は、MWO申請だけでなく、求人から面接設定、ビザ取得サポート、来日後のフォローアップまで一連のプロセスをワンストップで提供しています。
これにより、企業の負担はさらに軽減されます。
例えば、提携している現地の送り出し機関と連携し、質の高い人材紹介から定着支援までトータルでサポートするケースもあります。

まとめ:フィリピン人OFWが未来を拓く

フィリピン人OFWはフィリピン経済を支える重要な存在であるのと同時に、日本企業にとってもこれからの労働力を支える貴重な戦力です。
自社でOFWを採用し、活躍させるためには、企業自らが彼らのバックグランドや考え方を理解することが不可欠です。
またそれと同時に、OFWを雇用するために必須要件であるMWO申請についても正しく理解なさってください。
MWO申請サポートではOFWの採用を検討している企業の皆様に、様々なサポートを行っています。
まずは一度、お気軽にご相談下さい。