外国人雇用における必要書類と手続きを徹底解説【採用担当者必見】

日本社会の構造的課題である人口減少と労働力不足は、多くの企業にとって喫緊の経営課題となっています。そうした背景から、外国人材の雇用はもはや特定の業種や大企業だけではなく、企業の持続的な成長を実現するための重要な戦略となりつつあるでしょう。
外国人雇用は単なる人手不足の解消にとどまらず、優秀な人材を確保し、社内の多様性を高め、グローバルな事業展開を視野に入れるための積極的手段ともなっています。
実際、ある調査データによれば、2024年度に外国人留学生を採用した企業の主な目的は「優秀な人材の確保」が圧倒的に多く、次いで「日本人社員への影響を含めた社内活性化」や「語学力が必要な業務」が挙げられています。
当記事は、外国人材の採用を検討している企業・採用担当者に向けて、入社前の在留資格確認から、複雑な雇用契約、そして雇用後の各種届出に至るまで、必要となる書類と手続きの全体像を網羅的に解説します。
外国人材を企業の貴重な人的資本として迎え入れ、長期的に活躍してもらうための基盤づくりに役立たせてください。
採用前の最重要チェックポイント:在留資格と必要書類の確認

外国人を採用する最初のステップは、不法就労を防ぐための事前確認です。
安易な雇用や確認の怠りは、企業に重大な法的リスクをもたらします。事業主が不法就労助長罪に問われた場合、懲役や罰金などの責任が生じ得ます。
社内で在留資格や在留カードの確認手順を明文化し、確実に運用する体制を整えてください。
外国人雇用の基礎知識:在留資格の種類と就労の可否
日本に在留する外国人には、入国目的や活動内容に応じた在留資格(ビザ)が付与されています。
採用担当者は、在留資格名だけで判断せず、記載された活動範囲と予定業務が一致しているかを必ず確認してください。業務内容が在留資格の範囲を超えていると、本人と企業の双方に法的リスクが生じます。
在留資格 | 該当例 | 就労の可否 |
---|---|---|
就労目的の活動資格 | 技術・人文知識・国際業務(技人国)、特定技能、高度専門職、介護など | 原則として就労可。ただし「活動範囲内」であることを確認する。 |
身分・地位に基づく在留資格 | 永住者、日本人の配偶者等、永住者の配偶者等、定住者 | 就労制限なし。原則どの職種でも就労可能と扱われる。 |
原則就労不可の在留資格 | 留学、家族滞在、短期滞在、研修、文化活動など | 原則不可。資格外活動許可があれば一定範囲で就労可能(留学生は週28時間などの制限が典型)。 |
在留カードの確認方法と注意点
在留カードは在留資格や在留期間を示す重要な証明書です。採用現場では原本確認を基本とし、次の手順を社内の標準フローに組み込みましょう。
申請時および雇入れ時に、本人の顔写真と券面写真を照合する。
在留資格名、在留期間、有効期限、資格外活動の有無(留学生の労働時間上限など)を確認する。
査証や入国スタンプと整合するかを確認し、入国履歴や査証の種類もチェックする。
在留カードのICチップ情報と券面情報が一致するか、専用アプリ等で確認する。偽造の発見に有効です。
在留カード番号や有効期間が失効していないか、出入国在留管理庁の照会システム等で確認する。
原本確認後、必要に応じて本人同意を得て最小限の写しを保管する。保存・廃棄は個人情報保護規程に従うこと。
在留カードには偽造防止の仕組みが施されています。採用担当者は目視チェックとアプリ等によるIC確認を組み合わせ、真贋を多角的に判断してください。
留学生・家族滞在者等の取扱い
留学や家族滞在などの在留資格は原則として就労が認められません。ただし、資格外活動許可がある場合は包括的な範囲内で就労可能です。
留学生の一般的な包括許可では、週28時間以内などの労働時間の制限が設けられていることが多い点に注意してください。超過して就労させた場合は企業側にも責任が及ぶ可能性があります。
補足(現場でよくある見落としと対策)
- 在留期間の満了管理が不十分で、更新が間に合わないケースが発生します。更新は満了日のおおむね3か月前から申請可能なことが多いため、社内でリマインダー運用を導入してください。
- 在留カードのコピーを無断で長期間保管すると個人情報保護上の問題に発展します。保管目的と保存期間、アクセス権限を明確にし、適切に管理しましょう。
- 在留資格と実務内容が齟齬をきたすケースがあるため、職務内容を具体化した職務記述書(JD)と照合する運用が有効です。
これらの多角的な確認を行うことで、企業は不法就労のリスクを大幅に低減し、健全な外国人雇用を推進することができます。
外国人材のタイプ別:入社までの手続きと必要書類

外国人材を採用する際、候補者が「海外在住」か「日本国内在住」かで必要な手続きが大きく異なります。
加えて日本国内在住でも、在留資格の変更が必要かどうかで、準備すべき書類や担当の動き方が変わります。
採用前にケース別の流れと提出書類を押さえておくことが、円滑な入社の鍵になります。
海外から呼び寄せる場合:在留資格認定証明書(COE)と手続きの流れ
海外から人材を呼び寄せるときは、一般に受入企業が在留資格認定証明書(Certificate of Eligibility: COE)の交付申請を行います。
COEは入国時に上陸許可を円滑にするための重要書類であり、取得から入国・就労開始までの主要工程は次のとおりです。
- 企業が必要書類を準備して地方出入国在留管理局へCOE交付申請を行う
- 審査(目安:おおむね1〜3か月。在留資格や時期により変動)
- COE交付(交付後は原則3か月以内に入国手続を行う必要あり)
- 本人が在外公館で査証(ビザ)を申請・取得する
- 日本へ入国し、入国手続で在留カードが交付される(手続に応じ就労開始)
申請書類(代表例) | |
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【申請人(外国人材本人)】 | 在留資格認定証明書交付申請書 証明写真(3か月以内) 最終学歴の卒業証明書または卒業証書の写し 職務経歴書(職歴要件が必要な場合) パスポートの写し(場合により) |
【雇用企業】 | 法人登記事項証明書 会社案内(事業内容を示す資料) 雇用契約書または労働条件通知書の写し 直近の決算書(貸借対照表・損益計算書)や法定調書の写し 賃金台帳・給与明細等(必要に応じて追加提出) |
- 実務上の留意点
- COEは交付後3か月で無効になるため、入国スケジュールを見越して申請・交付の時期を調整してください。
- 審査中に追加資料を求められることがあるため、賃金支払能力や雇用の実態を示す証拠を事前に整理しておくと安心です。
- COE交付後に内定取り消し等で来日が取りやめになる場合、交付済みのCOEは返納手続きが必要です。
日本国内在住(留学生の新卒採用など):在留資格変更の手続き
留学生を新卒採用する場合は、現在の在留資格「留学」から「技術・人文知識・国際業務」などへ在留資格変更を行います。実務上のポイントは下記のとおりです。
- 就職予定が確定したら、本人が在留資格変更許可申請を行います(企業は書類作成や説明でサポート)。
- 審査の目安はおおむね1〜2か月程度だが、申請先の地方局や時期によって変動するため早めの手続きが望ましい。
- 審査結果は通常郵送(ハガキ等)で通知され、許可後に在留カードの処理が行われ、就労開始が可能になります。
申請に必要な主な書類(代表例) | 在留資格変更許可申請書 証明写真(3か月以内) 在留カード・パスポート 最終学歴の卒業証明書または卒業見込み証明書 雇用契約書または採用内定通知書の写し 企業の登記事項証明書・会社案内・決算書等 |
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- 実務上の留意点
- 4月入社を想定する場合、前年12月〜翌年1月頃から準備を始める企業が多い点に留意してください。
- 在留資格の記載内容(活動範囲)と実際の職務内容が一致するよう、職務記述書(JD)を整備すると誤認を防げます。


特定技能を雇用する場合:支援計画と必要書類
特定技能は、介護・外食・宿泊などの特定の分野で即戦力を受け入れるための在留資格です。特有の制度設計があり、受入れ側にも支援義務が課されています。
- 受入れにあたっては、技能試験や日本語要件を満たすことが求められます。
- 特定技能1号では「支援計画」の作成・実施が義務であり、受入れ機関が自ら支援を行うか、登録支援機関に委託して支援を実施します。
- 支援計画には入国時の生活支援や定着支援などの項目が含まれます。支援の実施状況等は所定の方法で報告が必要です。
- 一部の要件を満たす優良な機関では、届出書類の簡素化が認められる場合がありますが、要件は限定的であるため個別確認が必要です。
申請に必要な主な書類(代表例) | 在留資格認定証明書交付申請書(海外からの受入れの場合) 在留審査申請書、技能・日本語試験の合格証 職務経歴書 企業の登記事項証明書・会社概要・財務資料 支援計画書(1号) (外部委託する場合)登録支援機関との契約書等 |
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- 実務上の留意点
- 支援計画に変更があれば届出が必要です。支援体制に不備があると登録の取消等のリスクがあります。
- 支援の内製化と外部委託のどちらが適切かは、社内リソースとコストを踏まえて判断してください。
入社までの簡易工程図
- 海外在住者を呼び寄せる場合
-
企業の申請準備 → COE交付申請 → 審査(目安1〜3か月) → COE交付(有効3か月) → 本人が在外公館で査証申請 → 来日・在留カード交付 → 就労開始
- 日本国内在住の場合
-
企業が採用→本人が在留資格変更申請(企業が書類支援)→ 審査(目安1〜2か月)→ 許可通知(ハガキ)→ 在留カード等の処理→ 就労開始

採用担当者向けのチェックリスト
COEの有効期間(交付日から3か月)を把握しているか。 | |
申請書類に矛盾や記載漏れがないか(雇用契約書と会社資料の整合)。 | |
パスポートの有効期限・査証欄を確認したか。 | |
必要に応じて賃金台帳や決算書など支払能力を示す資料を準備しているか。 | |
特定技能を受け入れる場合、支援計画の作成・実施体制が整っているか。 | |
COE交付後のキャンセル時の返納フローを社内で確立しているか。 | |
在留資格変更を伴う場合、早めに本人と日程調整・申請準備をしているか。 |
手続きは制度の枠組みに沿って確実に進めることが重要です。想定外の追加資料要求や審査期間の延長に備え、余裕あるスケジュール設計と書類の一貫性を確保してください。
雇用後:企業に義務付けられた手続きと届出

外国人材を雇い入れた後も、企業には労働関係法規や入管法に基づく各種の届出義務が継続して課されます。これらを適切かつ速やかに処理することが、法令遵守と健全な労務管理につながります。
対応フローと期限、実務上のポイントを分かりやすくまとめました。
外国人雇用状況の届出(ハローワーク等への手続き)
全ての事業主は、在留資格「外交」「公用」および「特別永住者」を除く外国人の雇入れ・離職の際に、外国人雇用状況の届出を行う義務があります。届出を怠ったり虚偽の届出を行うと、30万円以下の罰金が科される可能性があります。
手続きは窓口持参、郵送、あるいはオンライン(e-Gov/外国人雇用状況届出システム)で行えます。電子申請は営業時間に左右されず便利です。
社会保険(健康保険・厚生年金)の加入手続き
外国人労働者も、日本人と同じ基準で健康保険・厚生年金の適用対象となります。
短時間労働者については、下記の4要件を満たす場合に加入対象となります。さらに、企業規模の適用拡大(例:2024年10月に従業員数51人以上が対象に拡大)にも留意してください。
- 週の所定労働時間が20時間以上か
- 所定内賃金が月額88,000円以上か(算定方法に注意)
- 継続雇用見込みが2か月を超えるか
- 学生でないか(学生は原則対象外)
2024年以降、社会保険の適用対象が段階的に拡大しています。採用時の条件だけでなく、会社全体の従業員数(厚生年金被保険者数)による影響も確認してください。
参考:社会保険適用拡大対象となる事業所・従業員について|厚生労働省

年金・マイナンバー関連の追加手続き
新たに加入する外国人でマイナンバーが未登録の場合、日本年金機構への「被保険者資格取得届」提出の際に、旅券(パスポート)などの本人確認書類の写しや、ローマ字氏名届の提出が必要になるケースがあります。
実務では事前に本人に必要書類を案内し、手続きの遅延を防ぐ運用を整えてください。
離職時の手続き
離職時にも届出義務があります。雇用保険被保険者だった場合は「資格喪失届」を速やかに提出し、被保険者でなかった場合でも外国人雇用状況届出書に基づく届け出が必要です。
個人情報・保管管理の注意点
在留カードやパスポートの写しを保管する場合、個人情報保護の観点から以下を運用ルール化してください。
- 本人の同意を得たうえで最小限の写しを保管する
- 保存期間と廃棄手順を明確化する
- アクセス権限・保管場所の管理(パスワード付きフォルダや施錠キャビネット等)を徹底する
これにより、個人情報漏えいや不適切な長期保管によるトラブルを未然に防げます。
実務チェックリスト
雇用形態に応じた届出様式を把握しているか(様式第2号/第3号等) | |
提出期限を社内カレンダーに登録しているか(雇入れ→翌月10日/翌月末日等) | |
社会保険の加入判定を行い、必要書類を準備しているか(勤務時間・賃金・見込み期間) | |
マイナンバー未登録者のための本人確認書類リストを準備しているか | |
在留カード・パスポートの原本確認を行い、写しは同意のうえ保管しているか | |
離職時の届出フローを定め、担当者に周知しているか | |
届出忘れが判明した場合の対応フロー(速やかにハローワークへ連絡・遅延理由書等の準備)を用意しているか |
これらの社会保険手続きは、単なる事務処理ではありません。日本の保険制度に不慣れな外国人労働者に対し、企業側がその意義や手続きを丁寧に説明し、サポートすることは、彼らが安心して日本で生活し、働くための重要な要素です。
こうした企業の細やかな対応によって、外国人従業員との長期的な信頼関係を築き、結果として人材の定着率向上につながるでしょう。
制度改正や運用細目は変更されることがあるため、個別ケースでは必ず最新の省庁ページや管轄機関にて最終確認してください。
現場の声から学ぶ!外国人採用成功と失敗の注意点

書類手続きは、外国人材を雇用するための第一歩に過ぎません。実際に現場で発生する様々な課題や、それを乗り越えた企業の成功事例から学ぶことは、採用後の人材育成と定着において非常に役立ちます。
外国人雇用でありがちな失敗と教訓
外国人材の雇用において、企業の多くが直面する失敗の典型例として、以下のような事例が挙げられます。
在留期間の更新忘れによる突然の退職
「在留期間の満了日を誰も把握していなかった」という単純な見落としが、外国人材の在留資格切れを引き起こし、不法滞在となり、結果として有能な人材が退職せざるを得なくなるケースがあります。在留資格の更新は有効期限の3ヶ月前から申請可能であり、企業側が本人と連携して早めに手続きを促すことが重要です。
契約書の翻訳ミスによる労使トラブル
労働条件、特に賃金や労働時間に関する認識のズレがトラブルに発展するケースは少なくありません。例えば、企業が「給料にみなし残業代が含まれている」と思っていたのに対し、翻訳された契約書の一文を外国人が「残業代は全額支給」と解釈したことで、紛争が生じた事例が報告されています。
文化ギャップによる生活トラブル
「ゴミ出しの分別」「自転車の交通マナー」など、日本人にとっては当たり前と考えられている生活ルールが、母国で同様の習慣がない外国人には理解されず、近隣住民とのトラブルに発展する事例も少なくないようです。
成功事例から学べる教訓
これらの失敗を回避し、外国人材の定着率を高めている企業には、共通した取り組みが見られます。
多言語対応の徹底
コミュニケーションの壁を低くするため、多言語対応のマニュアルや、AI翻訳ツールの活用が有効です。また、日本語能力向上を支援する社内研修の実施も、円滑な業務遂行につながります。
例えば、プラスチック製品を製造しているフルヤ工場株式会社では、金型技術者確保のために、ベトナムから技術者を採用しました。日本語研修やOJTを導入し、技術習得と日本語学習を組み合わせる人材育成に力を入れています。結果、現在では企画や設計にも携わるようになり、企業の貴重な人材となっています。
- 多言語対応の徹底
- 日本語研修やOJTを組み合わせることで、外国人材のスムーズな業務習得が可能となります。
参考:第1部 平成30年度(2018年度)の中小企業の動向|中小企業庁
キャリアパスの提供
能力や経験に応じてキャリアアップの機会を提供することは、外国人材のモチベーション維持と長期的な戦力化に不可欠です。
例えば、積極的に外国人材を採用している田中製作所(金属加工業)では、曲げ・溶接・塗装・組立など全工程に外国人を配置する「工程分散」型の運用を行うとともに、人事評価制度を見直し、技能検定・溶接・QC・英検・MOS・日本語検定などの取得を昇給・手当と連動させることで、資格取得を明確な「昇進ルート」と設定しています。結果、作業品質と生産性が安定したと報告されています。能力に応じた明確な昇進・評価制度を設けることで、外国人材の向上心を刺激し、長期的な定着に繋げた好例でしょう。
- 評価基準の可視化とキャリアアップ支援による外国人材の長期定着
- 能力や経験に応じてキャリアアップの機会を提供することで、外国人材のモチベーション維持と長期的な戦力化が図れます。
参考:モノづくり企業の挑戦 外国人雇用による社内活性化事例|AMADA
文化交流と生活サポート
企業が主導して、定期的な意見交換会や交流イベント、交換日記などを通じて外国人材とコミュニケーションを取り、文化的な相互理解を深めることは、彼らの生活や心情に寄り添い、信頼関係を築く上で非常に有効です。
例えば、地方で介護施設を運営する企業では、技能実習生向けに地域のイベントで異文化交流の機会を設けることで、文化的な違いを理解し、コミュニケーションの円滑化に成功しました。またベトナム人エンジニアを採用した企業では、日本語教育の支援に加え、メンター制度を導入し、職場での技術指導や生活サポートを行うことで、外国人材が短期間で職場に適応できる体制を構築しています。
- 生活支援の充実
- 日本語教育や生活支援を手厚く行うことで、外国人材の職場適応がスムーズになります。
参考:中小企業の外国人採用成功事例を紹介 | 行政書士DNR事務所
これらの事例は、外国人雇用における課題が、書類や法律といった「ハード面」だけでなく、コミュニケーションや文化理解といった「ソフト面」の不足に起因していることを物語っています。
成功している企業に共通しているのは、採用した人材を単なる労働力ではなく、企業の成長を担う重要な人的資本として捉えていることでしょう。
外国人材採用を成功に導くためのポイント

外国人材の雇用には、入社前の厳格な確認から雇用後の継続的な支援まで、多岐にわたる専門的な知識とサポートが不可欠です。
採用担当者が特に覚えておくべきポイントをまとめました。
雇用契約書作成と文化への配慮
外国人雇用においても、労働条件の書面での明示は不可欠です。それに加え、言語や文化の壁を考慮した特別な配慮が求められます。
最も重要なのは、日本語で作成した雇用契約書に加え、外国人が十分に理解できる母国語や英語の翻訳文を用意し、契約内容を丁寧に説明することです。このプロセスを怠ると、契約内容の認識のズレから労使トラブルに発展する可能性が高まります。
また、外国人が就労ビザを取得できなければ雇用契約が成立しないよう、「ビザの許可がおりたら契約が有効となる旨(停止条件)」を契約書に明記することは、企業側のリスクを回避する上で非常に有効な手段です。
外国人雇用をサポートする各種制度と相談窓口
外国人雇用は、在留資格や労働法規、社会保険制度など多岐にわたる専門知識を要するため、担当者がすべての情報を正確に把握し、手続きを完遂するのは容易なことではありません。このような状況で、企業が頼りになるのが、信頼できる外部の専門機関です。
行政書士や登録支援機関といった専門家と連携することで、複雑なビザ申請や各種届出を円滑に進めることができます。これは、単なる手続きの代行に留まらず、法務リスクの回避や、外国人材の定着支援といった戦略的なメリットをもたらすでしょう。
特に「安さだけ」で仲介業者を選んだ結果、不当な契約や信頼失墜のトラブルに繋がる事例が報告されています。信頼できるパートナー選びが重要です。

フィリピン人採用に必須のMWO申請と代行サービス

日本人企業が雇用する外国人で、特に人気があるのがフィリピン人材です。彼らは高いコミュニケーション能力やホスピタリティ精神、明るい国民性などから、サービス業や介護分野、建設業界にIT業界など、幅広い分野で活躍しています。
しかしフィリピン人を雇用するには、日本側の手続きに加えて、MWOへの申請も行わなければなりません。
以前はPOLOという名称で知られていたMWOは、フィリピンのDMW(移住労働者省)の海外出先機関であり、日本では東京と大阪にMWO事務所が設置されています(駐日フィリピン共和国大使館・総領事館内)。
DMWとMWOはフィリピン人労働者の権利保護、福祉の向上、海外雇用の促進と管理を一元的に行うことを目的としています。そのため、国外からフィリピン人を採用する際には、MWOへの申請が義務付けられています。すでに日本国内に在留しているフィリピン人の場合には、MWO申請は必要ありません。
MWOへの申請手続きは、一般的に以下の流れで進みます。
まず必要な申請書類や資料を準備し、MWO(東京または大阪の事務所)に届出(郵送)します。
次に、MWOによって提出された書類に基づいて審査が行われ、雇用契約の内容などが適切であると判断されれば、フィリピン政府から正式な認証が得られます。この承認によって、フィリピン人人材の募集活動が行えるようになります。
フィリピン人人材の募集を行い、採用・雇用契約を結びます。
このMWOへの申請は非常に複雑であるため、時間と手間を省きながら採用を確実なものにするためにも、専門の代行業者を利用することが一般的です。

MWO申請サポートへの手数料(一覧)
MWO申請サポートでは、企業のニーズに応じて様々なサポートプランを提供しています。
プラン名 | 主な内容 | 税抜料金 |
---|---|---|
フルサービスパック | 書類作成・翻訳・提出代行・面接通訳・送り出し機関紹介など、すべて含まれる | 98,000円 |
書類パックのみ | 英文申請書類作成+日本語翻訳+記入サンプルなどの一式 | 45,000円 |
日本語サポートのみ | メール・電話での日本語サポート(記入確認や質疑応答など) | 45,000円 |
翻訳のみ | 日本語記入済内容を英語申請書へ翻訳記入 | 45,000円 |
面接時通訳 | MWO面接時に立ち会う通訳者の手配 | 45,000円 |
フィリピン独自の複雑な手続きは、専門家のサポートを得ることで、企業側の労力を削減できます。
自社がどんな申請代行サービスを必要としているかを良く見極めて、依頼なさって下さい。
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まとめ:外国人採用を「企業の成長戦略」へと昇華させるために

外国人材の採用は、単なる労働力不足の解消にとどまらず、企業のグローバル化と多様性向上に貢献する重要な経営課題であります。本記事で解説した複雑な書類手続きは、外国人材が日本で安心して働くための基盤であり、その正確な遂行が企業の信頼性を高めることにつながります。
外国人材の雇用を成功に導くためには、在留資格や届出といった「ハード面」の確実な対応に加え、コミュニケーション、文化的な理解、そして専門家との連携という「ソフト面」への投資が不可欠です。これらの取り組みを通じて、採用した人材は単なる「労働力」から「企業の成長を担う重要な人的資本」へと昇華していくでしょう。
またフィリピン人を雇用する場合には、MWOへの申請も必須となります。MWO申請サポートでは企業のニーズに合わせて、フィリピン人雇用を成功させる様々サービスを提供しています。
まずは一度、お気軽にご相談ください。
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