【外食業】特定技能2号外国人材の活用完全ガイド

外食産業は、長年にわたり深刻な人手不足という構造的な課題に直面しています。そうした状況の中で、特定技能1号による外国人材の受け入れが広がってきています。
しかし特定技能1号では在留期間や業務範囲に制限があり、店舗運営を担うような中核人材の確保には限界がありました。
こうした課題を受けて外食業分野にも2023年、特定技能2号の在留資格が追加されました。これにより、熟練した外国人材を長期的に雇用し、マネジメント層への登用も視野に入れた人材戦略を描くことが可能になったのです。
本記事では、幹部候補となることを見据えながら、特定技能2号での外国人材の採用を検討している企業担当者様向けに、制度の概要から外食業で外国人材を活用する方法、1号から2号への移行プロセス、担当者が押さえるべき実務ポイントまで、具体的な事例を挙げながら分かりやすく解説します。
特定技能制度|外食業における制度の概要

特定技能は、国内人材の確保が困難な状況にある産業分野において、一定の専門性・技能を有する外国人材を受け入れることを目的として創設された在留資格です。これまで就労目的での在留が認められにくかった分野においても、即戦力となる人材の受け入れを可能にすることで、日本の産業基盤を支えることを目指しています。
特定技能1号と2号の違い
特定技能には「特定技能1号」と「特定技能2号」の2つの区分があります。それぞれ対象となる分野ならびに要件が異なります。
項目 | 特定技能1号 | 特定技能2号 |
---|---|---|
対象業務 | 相当程度の知識・経験を要する業務 | 熟練した技能を要する業務 |
対象分野 | 16分野 | 11分野(外食業も対象) |
試験要件 | 技能評価試験+日本語試験(N4以上) ※実習2号修了者は試験免除 | 技能評価試験+日本語試験(外食分野の場合) |
実務経験 | 不要 | 2年以上(経過措置あり) |
更新要件 | 通算5年(1年・6ヶ月・4ヶ月更新) | 無制限(3年・1年・6ヶ月更新) |
家族帯同 | 原則不可 | 可能(配偶者・子) |
支援義務 | 支援計画の策定・実施が必須 | 支援計画義務なし(労務管理は必要) |
永住権取得 | 不可 | 要件を満たせば可能 |

外食業が2号対象に追加された背景と意義
令和5年(2023年)6月9日の閣議決定により、外食業を含む9分野が特定技能2号の対象に追加されました。これまで2号の対象は建設分野など限られていましたが、拡大により合計11分野となります。
その背景には、深刻化する人手不足を補うだけでなく、熟練人材による店舗管理・経営力向上を通じた産業の質的発展を図る政府の狙いがあります。多言語対応や異文化理解力を持つ2号人材は、インバウンド対応力の強化にも寄与します。
在留期間、家族帯同、永住権への道筋
特定技能2号は更新回数に制限がなく、長期就労が可能です。また家族帯同が認められているため、安定的な生活環境が築かれ、離職リスクの低減にもつながります。
さらに、一定要件を満たせば永住権申請が可能です。永住権取得後は在留制限がなくなり、キャリア形成の自由度が格段に上がります。
企業にとっての特定技能2号の意義
特定技能2号の外国人材を受け入れることで、企業は将来の店長候補やエリアマネージャー候補を育成することができます。
これらの人材は、単なる現場作業者ではなく、店舗全体をマネジメントできる能力を持つため、企業の成長に貢献する重要な役割を果たします。

企業採用担当者から見た特定技能2号のメリット

特定技能2号で外国人材を採用することによって、企業は様々なメリットを享受できます。
長期的な人材確保と定着率向上
特定技能2号は在留期間に上限がなく、3年・1年・6か月ごとの更新を回数制限なしで行えます。このため、企業は熟練外国人材を長期的に雇用でき、育成投資の回収期間を気にせず研修やマネジメント教育に注力できます。さらに、「家族滞在」資格で配偶者・子の帯同が認められるため、生活基盤の安定が定着率向上につながります。
店舗運営の安定化
特定技能2号人材は、飲食物調理・接客に加え、衛生管理やシフト管理、従業員指導などの店舗管理補助業務を担えます。これにより、副店長やサブマネージャーなど管理職レベルの負担を分散し、店舗運営が安定します。
なお、要領上は「経営判断業務」まで明示されていないため、経営分析や契約事務などについては補助的に携わる可能性がある旨を社内で取り決めるとよいでしょう。
多文化共生による組織活性化
文化や言語の異なる人材を受け入れることで、多様で国際的な視点が職場に生まれます。異文化理解を促す研修や交流の場を設けることで、従業員同士のコミュニケーションが活性化し、創造性や問題解決力が向上します。
特にインバウンド対応力や新メニュー開発など、外食業の競争力強化につながる効果が期待できます。
このように特定技能2号は単なる人手不足の解消にとどまらず、企業の中長期的戦略として大きなメリットをもたらします。

外食業特定技能2号の取得要件と試験

特定技能2号では、長年の実務経験を通じて身につけた「熟達した技能」が求められます。
具体的には、食品衛生法に基づく営業許可を受けた飲食店で、複数のスタッフを指導・監督しながら調理や接客、衛生管理などを自律的に遂行できる能力が該当します。
外食業分野における特定技能2号の業務内容
外食業分野の特定技能2号の外国人は、以下の業務に従事することができます。
- 飲食物調理
- 接客
- 店舗管理
- 店舗経営
これらの業務は、店舗の運営全般に関わるものであり、単なる現場作業者ではなく、店舗全体をマネジメントできる能力が求められます。
実務経験要件と証明方法
特定技能2号の在留資格を取得するには、食品衛生法の営業許可を受けた飲食店で、複数のアルバイトや特定技能外国人を指導・監督しながら、接客や店舗管理の補助業務に2年以上従事した経験が必要です。
この経験を証明するためには、以下の書類が求められます。
- 辞令や職務命令書
- シフト表
- 役職と業務内容が明記された書類
なお、経験は日本国内の飲食店でのものに限られ、技能実習、家族滞在、留学などの在留資格での経験は含まれません。
日本語能力要件
特定技能2号の在留資格は一般的に日本語能力試験の受験が不要ですが、外食業分野においては特例として日本語能力試験(JLPT)N3レベル以上の取得が必須となっています。
これは、外食業での高度な接客や店舗管理、従業員指導といった業務において、日常会話以上の日本語運用能力が求められるためです。
技能測定試験の概要
外食業特定技能2号技能測定試験は、学術試験と実技試験の2科目で構成されます。
学術試験 | 飲食物調理、衛生管理、接客全般、店舗運営に関する知識が測定されます。 |
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実技試験 | 判断試験と計画試験を通じて、現場での実践的な業務計画能力や問題解決能力が評価されます。 |
試験の合格率は一般的に30%~50%と、特定技能1号試験よりも低い傾向にあります。
外食業分野の特定技能1号・2号技能測定試験は、一般社団法人外国人食品産業技能評価機構(OTAFF)が実施していますが、学習用テキストは、一般社団法人日本フードサービス協会が作成・公開しており、接客全般、飲食物調理、衛生管理、店舗運営の4科目を日本語で提供しています。
参考:外食業と飲食料品製造業の国内・国外試験情報|OTAFF

特定技能2号外国人材受け入れにおける課題と対策

出入国在留管理庁の調査によると、特定技能外国人全体の離職率は導入初期から徐々に落ち着きを見せていますが、外食業分野では依然として高い水準が続いています。
その原因として、長時間労働や不規則シフト、職場での日本語コミュニケーションの壁、キャリアパスの不透明さ、給与水準への不満、住環境の不安定さなどが挙げられます。
他にも、以下のような課題を企業・外国人材ともに抱えています。
- 指示の取り違えや「空気を読む」習慣への不慣れ
- 朝礼・清掃など日本独自の職場文化への適応課題
- 住環境や生活支援の不足
- 登録支援機関との情報共有不足
- 技能評価試験での認識ズレ
- 突然の失踪や離職
これらの課題を放置すると、採用コストの増大だけでなく、企業ブランドにも悪影響を及ぼしかねません。
よくあるトラブル事例とその予防・解決策
実際に、外食業界の現場で起きているトラブルから、その予防・解決策を探っていきましょう。
事例①:注文ミスや接客ミスの多発
日本語での意思疎通が十分でないため、注文を誤るケース、顧客の質問に正しく対応できないケースが報告されています。
原因分析 | 日本語能力不足で注文内容や説明が理解できない 接客時の表現や言い回しの正確性が問われる業務環境 |
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解決策 | 日本語教育を強化(e-ラーニングなど) 接客フレーズの定期研修と実践練習を実施 日本人スタッフから積極的に話しかけるなど、社内コミュニケーションの活性化 |
外食業における特定技能2号では、例外的に日本語能力が要件となっているのはまさにこのためです。企業は単なる試験合格をゴールとせず、実務で通用する「現場の日本語力」を養うための継続的な支援体制を整えるべきです。
事例②:文化理解不足による職場適応の課題
日本独特の職場文化(朝礼や掃除など)への不適応や、上司・部下間のコミュニケーション習慣の違いによって、意図せぬ摩擦や誤解が生じるケースが報告されています。
原因分析 | 日本の礼儀や接客マナー、職場の雰囲気への理解が不十分 指示受けや価値観の違いによる連携不良 |
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解決策 | 日本の職場文化・接客マナーに関する文化研修を定期実施 経験豊富な日本人スタッフによるメンタリング制度を導入 定期的な面談やフィードバックを設けて相互理解を促進 |
「文化の壁」の放置は、人間関係や業務効率に直結します。異文化理解の場を設け、現場全体で受け入れ体制を育てていくことが、離職率の低下やチームワーク向上につながります。
事例③:労働条件や住環境に関する不満の発生
契約内容や給与条件と現実が異なる、不適切な住環境が提供されるなどして、不安や不満が蓄積するケースが報告されています。
原因分析 | 労働条件や社宅などの契約内容が曖昧または非透明 住環境(騒音、清潔さなど)が生活面でのストレスに直結 |
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解決策 | 労働条件を母語併記で明確に文書化し、面接・契約時に説明 社宅提供時に環境チェックを行い、定期的な居住ヒアリングを実施 必要に応じて生活支援機関や相談窓口を設置し、迅速対応体制を整備 |
労働条件や生活環境に関する不透明さは、信頼関係を著しく損ないます。契約内容の説明責任を果たすとともに、住環境も「職場の延長」と捉えた整備が重要です。トラブルを未然に防ぐためにも、第三者的なチェック体制の導入を検討しましょう。
これらの実例は、特に言語の壁や文化の違い、労働・生活環境の整備不足が原因で生じていることが明らかです。適切な対策によってトラブルの未然防止だけでなく、特定技能外国人材の安心定着、職場の信頼関係形成にも繋がります。
参考:
特定技能外国人の受け入れにおけるトラブル例とその対策|R-support
【2025】特定技能外国人によくあるトラブル事例|外国人採用ラボ
定着率向上のための7つの施策
特定技能2号の外国人材には、長期にわたって自社で活躍してもらわなくては困ります。そのために企業は、彼らに定着してもらえるよう、次の様な施策を「人事投資」として捉え、積極的に取り組んでいくべきです。
求人票や雇用契約書に、勤務時間、残業の有無、休憩時間などを具体的に盛り込みます。一方で、入社前に通訳を交えた面談で相互理解を深めることが重要です。
多言語のスキルマップや昇進基準を社内イントラで公開し、店長・料理長などへのステップを明示します。某ラーメンチェーンでは、多言語スキルマップを用意し、昇給条件を明確化したことで離職率が大幅に低下しました。
マニュアルは多言語化し、翻訳アプリの導入や定期的な個別面談・通訳手配を実施します。福岡の焼肉店では、週1回の言語交換会を開き、職場全体の意思疎通を改善しました。
社宅の手配や家賃補助、銀行口座開設支援、医療受診サポートなどをワンストップで提供し、安心できる住環境を整備します。
日本人スタッフ向けに異文化研修を行い、互いの価値観や習慣を尊重する風土を醸成します。毎朝の多言語朝礼や社内イベントでの文化紹介など、小さな取り組みの積み重ねが相互理解を深めます。
定期的な調理技術研修や接客ロールプレイ、他店舗視察などを計画的に実施し、業務スキルとともにマネジメント力も養います。
技人国ビザなど在留資格変更の支援、永住権取得に向けたアドバイス、母国での支店展開計画など、長期的なキャリアパスを示すことで、高いモチベーションとエンゲージメントを維持できます。
これらの施策を組み合わせ、異文化マネジメント力を高めることで、離職抑制だけでなく組織全体の活性化につながります。外国人材を「長期的な幹部候補」として育成する視点を忘れず、自社の人事戦略に組み込んでください。
外食業特定技能2号の最新動向と政府の見通し

外食業分野が特定技能2号の対象に加わったのは、令和5年(2023年)6月9日の閣議決定によるものです。この制度拡大後も、2024年6月末時点での外食業特定技能2号取得者は全国でわずか9名にとどまっています。
外食業分野の技能測定試験合格率
外食業特定技能2号の技能測定試験は、受験者の実務経験と日本語運用能力を厳格に評価します。
2024年度の結果を見ると、第1回(5~6月実施)は受験者112名・合格者53名で合格率47.3%、第2回(10月実施)は受験者612名・合格者369名で合格率60.3%でした。
合格率に回による差があるのは、出題範囲の運用調整や受験者の準備状況の違いが影響していると考えられます。
参考:2024年度外食業特定技能1・2号技能測定試験 第2回国内試験合格者発表|OTAFF
先行者利益と企業戦略
現在、外食業分野における特定技能2号人材は極めて少数です。そのため、早期に取得支援を行った企業は「先行者利益」を享受できる可能性があります。
とはいえ、試験難易度や情報不足がボトルネックとなり得るため、企業側は外国人材への受験サポートや学習環境の整備を通じて、他社との差別化を図る必要があります。
結果として、優秀な熟練人材を長期雇用しやすい体制を構築できるでしょう。
政府の政策動向と制度改正
日本政府は、外国人材を長期的なパートナーとして定着・育成する方針を示しています。まず、2023年6月9日の閣議決定により、外食業を含む9分野が特定技能2号の対象に追加されました。これにより、在留更新回数の上限が撤廃され、家族帯同要件も整備されています。
さらに、「育成就労制度」の創設など、技能実習制度と特定技能制度の連携強化が進行中です。育成就労制度では、一定期間の就労後に同一職種内で転職が可能となる見込みであり、キャリアパスの柔軟化に寄与するでしょう。
直近では、2025年3月11日の閣議決定により、風営法の許可を受けた旅館・ホテル内の飲食提供業務(接客・調理・店舗管理)への就労が認められるよう運用方針が改正されました。
この改正は外食業分野における業務範囲の拡大を示しており、インバウンド需要増加への対応や企業の人手不足解消に繋がることが期待されます。
現状における外食業分野での特定技能2号の低取得者数は一見マイナス要素に見えますが、むしろ巨大な成長余地があることを示しています。
企業は単なる短期的労働力確保に留まらず、長期的視点で人材育成・定着に向けた投資を行うことで、競争優位性を確立できると言えるでしょう。
参考:外食業分野における外国人材の受入れについて:農林水産省
成功事例に学ぶ!外食業特定技能2号の活用術

外食業における特定技能2号の活用はまだ始まったばかりですが、実際に採用を進めている企業から、その成果の報告が寄せられています。
そうした現場の声に耳を傾けて、企業が取るべき戦略について考えていきましょう。
磯部クオリティーサービスの事例
埼玉県鴻巣市の磯部クオリティーサービスでは、ベトナム人スタッフのフンさんが技能実習生→特定技能1号を経て、2024年11月に2号試験に合格し、店長へ昇格する成果を挙げています。
2号試験合格のために、同社では次のような取り組みを行いました。
フンさんが「2号を受験したい」と申し出た際、社長・店長は書類作成や試験勉強のフォローを惜しみませんでした。社長は「社員が資格取得を望むなら、企業の責任として支援すべき」と語り、フンさんの勤勉な学習姿勢がサポートの大きな原動力になったといいます。
同社は外国人スタッフも日本人と同等の労働条件・評価制度で扱うことを徹底。等級制度を用い、店長昇格や給与改定の基準を明確化した結果、フンさん自身も「自分ごととして業務に向き合える」と歓迎しています。
店長ポストや管理職業務(在庫発注・人件費管理・人材育成など)を最初から明示し、フンさんの成長意欲に応えました。これにより、「将来は経営陣として視点を持ちたい」という本人の夢が具体化し、モチベーションが一層高まっています。
フンさんの5言語対応力を活かし、インバウンド客への質の高い接客を実現。母国語での挨拶をマイルールに設定し、Google マップの高評価レビュー獲得にも貢献しています。
教訓
同社の取り組みから学べるのは、外食業分野での特定技能2号人材は単なる「労働力補充」ではなく、「経営幹部候補」として大きな可能性を秘めているということではないでしょうか。
この成功事例を参考に、御社でも特定技能2号外国人の採用と、戦略的な支援体制を検討してみてはいかがでしょうか。
特定技能1号から2号へのスムーズな移行プロセス

特定技能2号の外国人材を活用するのは、特定技能1号からの移行が現実的な方法です。特定技能1号の在留期間は通算最長5年と定められているため、企業としてはその期間内に対象者が2号にスムーズに移行できるよう、支援を行うことが求められています。
移行の主な要件と準備
- 1. 技能評価試験の合格
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まずは、特定技能2号評価試験に合格することが必須となります。外食分野の試験の出題範囲は飲食物調理・接客・衛生管理・店舗運営などに及び、日本語のみ(漢字にルビなし)で実施されます。
- 2. 実務経験の証明
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営業許可を受けた飲食店で、2年以上にわたり複数名のアルバイトや外国人を指導・監督しつつ、接客を含む作業および店舗管理補助業務に従事していることが求められます。この実務経験は、申請時点から遡っておおむね5年以内に積まれたものである必要があり、過去10年以内の経験が上限とされています。
- 3. 経過措置の適用可能性
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外食業分野が2号の対象に追加されたのは2023年6月です。これに伴い、1号在留期間が2年6ヶ月未満の移行希望者には、実務経験要件を6ヶ月短縮できる経過措置が適用される場合があります。
- 4. 日本語能力要件
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日本語能力試験(JLPT)N3レベル以上の合格が必要です。顧客対応や従業員指導を円滑に行うための基準とされています 。
移行手続きの具体的な流れと必要書類
- 1. 試験受験・合格取得
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特定技能2号試験およびJLPT N3以上の合格を目指します。合格証は有効期限なしですが、試験結果データは10年間保存されるため、大切に保管してください。
- 2. 必要書類の準備
- スクロールできます
申請人側 在留資格変更許可申請書、合格証明書、雇用契約書の写し、健康診断票など。 所属機関側 所属機関概要書、職務命令書・辞令書、社会保険・労働保険の納付証明書など。実務経験を証明するシフト表や役職辞令書は特に重要です。 - 3. 在留資格変更許可申請の提出
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最寄りの地方出入国在留管理局に必要書類を提出します。在留資格変更許可申請中でも、従来の1号資格で継続就労が可能です。
企業の支援ポイント
- キャリアアッププランの策定・交付
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2024年の告示により、外食業分野ではキャリアアッププランの作成・説明が義務化されました。移行開始時から将来像を示すことで、社員のモチベーションが高まります。
- 試験対策サポート
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社内勉強会や模擬問題、学習教材の提供など、多角的な支援が合格率向上に寄与します。
- 実務経験の計画的付与
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副店長やサブマネージャー役職を活用し、必要な経験と証明書類を整備しましょう。
- 支援義務の見直し
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2号では登録支援機関による支援計画の実施義務は原則不要です。しかし、自立済みとはいえ、長期定着のためにコミュニケーション環境や生活支援体制は継続的に整備すべきでしょう。
これらのプロセスを理解し、企業として積極的にサポート体制を構築することで、1号から2号へのスムーズな移行と、長期的な人材戦略の実現につなげられるでしょう。
参考:外食業分野における特定技能の在留資格に係る制度の運用に関する方針|出入国在留管理庁
専門家によるビザ申請代行

特定技能1号の外国人材の採用や、1号から2号への移行に必要な在留資格変更許可申請など、ビザにまつわる手続きや書類の準備は複雑で、専門的な知識を要します。
そのため、多くの企業が行政書士を始めとする専門業者にビザ申請の代行業務を依頼しています。
専門家に依頼することによって企業が得られるメリットは、次の通りです。
- 許可の可能性が高まる
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専門家は最新の審査傾向や、個別のケースにおける許可のポイントを熟知しています。審査官が重視する点を的確にアピールする書類を作成することで、不許可のリスクを最小限に抑えます。
- 時間と労力の削減
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煩雑な書類作成や入管とのやり取りから解放され、本来の採用業務や受け入れ準備に集中できます。費用はかかったとしても、トータルとしてはコストダウンが図れるでしょう。
- コンプライアンスの遵守
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在留資格に関する法的なルールを遵守し、不法就労などのリスクを回避できます。
- 総合的なサポート
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申請だけでなく、配偶者・子どもなどの家族の呼び寄せや将来的な永住申請まで、長期的な視点でサポートを受けることが可能です。
ビザにまつわる申請は単なる事務手続きではなく、企業の重要な経営戦略の一環です。いずれにしても専門家の知識と経験を活用することが、確実かつ迅速に優秀な人材を確保するための賢明な投資と言えるでしょう。

MWO申請|フィリピン人人材の受け入れのために

特定技能などの在留資格でフィリピン人人材を国外から採用するには、日本国内の手続きとは別に、MWOへの申請も必須となります。
以前はPOLOという名称で知られていたMWOは、フィリピンのDMW(移住労働者省)の海外出先機関であり、日本では東京と大阪にMWOが設置されています(駐日フィリピン共和国大使館・総領事館内)。
DMWとMWOはフィリピン人労働者の権利保護、福祉の向上、海外雇用の促進と管理を一元的に行うことを目的としています。そのため、特定技能ビザでフィリピン人を国外から採用する際にも、MWOへの申請が義務付けられています(すでに日本国内で就労している1号ビザ所有者の2号への移行時には不要)。
MWOへの申請手続きは、一般的に以下の流れで進みます。
まず必要な申請書類や資料を準備し、MWO(東京または大阪の事務所)に送付(郵送)します。
次に、MWOによって提出された書類に基づいて審査が行われ、雇用契約の内容などが適切であると判断されれば、フィリピン政府から正式な承認の印とも言える認証が得られます。この承認によって、フィリピン人人材の募集活動が行えるようになります。
フィリピン人人材の募集を行い、採用・雇用契約を結びます。現地の送り出し機関を通じた人材の紹介も行われています。
フィリピン本国のDMWへのOEC申請などは、契約した現地の送り出し機関を介して行いますが、日本のMWO事務所への申請や申し込みその他は受入れ先が行わなければなりません。
このMWOへの申請は非常に複雑であり、書類に不備がある場合には差し戻しなどのトラブルも散見します。そのため時間と手間を省きながら採用を確実なものにするためにも、専門の代行業者を利用することが一般的です。
参考:フィリピン国籍の方々を特定技能外国人として受け入れるまでの手続の流れ|法務省

まとめ:外食業の持続的成長のための特定技能2号の活用

特定技能2号は熟練した外国人材を長期的に確保し、店舗運営・経営管理を強化するための極めて有効な手段です。在留期間の上限なし、配偶者や子どもの家族帯同が可能、そして永住権への道筋が拓かれているといった特定技能2号のメリットは、外国人材の日本への定着とキャリア形成を強力に後押しします。
外食業における特定技能2号の活用は、単なる人手不足対策に留まらず、企業の持続的な成長、サービスの質の向上、そして新たな事業機会の創出や国際的な企業への成長にも繋がる、極めて戦略的な選択となるでしょう。
しかし1号から2号への移行手続き、または1号外国人材を新たに採用するために必要な申請は複雑であるため、専門の代行業者に委託することが一番の近道です。
特にフィリピン人人材を受け入れる際には、国内への手続き以外に、MWOへの申請手続きも行わなければなりません。MWO申請サポートでは特定技能のフィリピン人採用を検討している企業に向けた、様々なサポートプログラムを提供しています。
まずは一度、お気軽にご相談ください。
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