特定技能「外食業」採用ガイド|人手不足を解消する外国人材活用術

外食業界は、新型コロナ収束後も深刻な人手不足に直面しており、経営上の喫緊の課題となっています。人手不足は、満席時の対応困難や料理提供の遅れ、営業時間の短縮などを引き起こし、売上の損失や顧客満足度の低下、従業員の過重労働による離職など、深刻な経営リスクを伴います。
その解決策として注目されているのが「特定技能」制度です。これは、一定の専門性と技能を持つ外国人を国内に受け入れるための制度で、外食業は制度開始当初から対象分野に含まれています。単なる労働力の補填ではなく、即戦力となる人材の確保によって、サービスの質を維持・向上することも目的とされています。これは特に飲食物を扱う外食業界において重要な点です。
本記事では、採用担当者の方々が外食業の分野で特定技能の外国人を採用するために不可欠な情報を提供します。基礎となる制度の概要や導入メリット、課題と対策、手続きの流れまで、2025年時点の最新情報を網羅的に解説していきます。ぜひ参考にしてください。
特定技能「外食業」制度の全体像

日本政府が設けた特定技能制度は、産業分野ごとに深刻な人手不足を補うために在留資格を付与し、外国人材の受入れることを方針としています。外食業分野は、特定技能1号の16分野のひとつとして位置づけられており、2023年6月9日の閣議決定により特定技能2号の対象分野にも追加されました。
特定技能1号と2号の主な違い
特定技能1号は、特定産業分野において相当程度の知識または経験を要する業務に従事する外国人向けの在留資格です。
一方、特定技能2号は、特定産業分野において熟練した技能を要する業務に従事する外国人向けの在留資格であり、外食業分野は2023年に特定技能2号の対象に追加されました。
この1号と2号には、在留できる期間や条件などに様々な違いがあります。
項目 | 特定技能1号 | 特定技能2号 |
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在留期間 | 通算で最長5年(更新間隔:1年、6ヶ月、4ヶ月) | 上限なし(更新間隔:3年、1年、6ヶ月) |
家族帯同 | 原則として認められない | 配偶者および子の帯同が可能 |
技能水準 | 外食業特定技能1号試験の合格 ※技能実習2号修了者は試験免除 | 外食業特定技能2号試験の合格+2年以上の指導・店舗管理補助の実務経験 |
日本語能力要件 | JFT-Basic(A2相当)またはJLPT N4以上 ※実習2号修了者は免除 | JLPT N3以上 |
支援計画実施義務 | 受入れ機関または登録支援機関による支援計画の実施が義務 | 支援計画の実施義務はない |
取得ルート | 試験合格または技能実習2号修了 | 特定技能1号修了後、試験合格+実務経験 |
- 長期定着へのモチベーション
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1号は最大5年での在留期限がある一方、2号には在留期間の上限がありません。家族帯同が可能になることで、単身赴任による孤立感やストレスが軽減され、長期的な定着促進につながります。
- 企業にとっての戦略的メリット
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2号は「無期限」で熟練外国人材を基幹労働力として確保できるため、人材育成計画に組み込みやすく、採用から定着まで一貫したキャリアパスを提供しやすくなります。特に、2号要件の「2年以上の実務経験と指導能力」を満たすには計画的な研修やOJTが不可欠です。
外食業分野で従事できる具体的な業務内容
特定技能「外食業」の外国人材は、以下の3分野にわたる幅広い業務を担います。
- 1. 調理業務
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- 食材の仕込み、切り分け、洗浄
- 火を用いた加熱調理、盛り付け
- 非加熱調理、調味、飲食料品の調製
- 2. 接客業務
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- 席への案内、メニュー提案、注文受付
- 配膳・下膳、会計業務、予約管理
- お客様対応全般、苦情対応
- 3. 店舗管理業務
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- 衛生管理(清掃、温度管理)
- シフト管理、従業員研修・指導
- 食材・備品の発注・検品・在庫管理
- レジ・券売機管理、会計事務
- メニュー企画、宣伝・広告運営
- 店内オペレーション改善、作業マニュアル作成
特定技能2号資格を取得すると、上記1号業務に加えて、より高度・専門的な経営管理業務が行えます。主な業務内容は以下のとおりです。
- 1. 経営分析・業績管理
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- 売上・原価・利益の分析、数値管理
- 経営改善計画の立案・実行支援
- 2. 契約・事務管理
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- 取引先との契約書作成・交渉
- 仕入先管理、品質保証業務
- 3. 人材管理・研修
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- 新規採用計画の立案・実行
- 従業員研修カリキュラムの作成・実施
- 4. マニュアル・業務プロセス策定
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- 店舗運営マニュアルの作成・改訂
- 標準作業手順書(SOP)の整備
- 5. 店舗開発・新規出店支援
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新規店立ち上げの店舗企画・運営サポート
これらの業務は、店舗運営全体に関わる管理・企画業務であり、経営層や本部との連携、戦略的視点での改善提案など、高い専門性と責任が求められます。特定技能2号は、外食業における「現場リーダー」としての役割を果たし、組織の成長と事業の安定化に大きく貢献します。
参考:
特定技能1号の各分野の仕事内容(Job Description) | 出入国在留管理庁
特定技能2号の各分野の仕事内容(Job Description) | 出入国在留管理庁
外食業で外国人材を受け入れる企業側のメリット

特定技能「外食業」の外国人材を採用することで、企業は以下の多角的なメリットを享受できます。
- 特定技能1号外国人は原則として「週30時間以上」のフルタイム雇用となります。留学生アルバイト(週28時間以内)に比べてシフト調整の自由度が高く、安定的な人員確保につながります。
- 安定したシフト配置により、急な欠員による営業時間短縮や臨時休業リスクを低減し、計画的な店舗運営が実現します。
- 外食業特定技能1号技能測定試験合格者およびJLPT N4以上(またはJFT-Basic合格者)を採用するため、入社時点で一定の技能・日本語能力が担保されています。
- 未経験者採用と比較し、OJTに要する時間と指導コストを大幅に削減可能です。
- 調理、接客、店舗管理など多岐にわたる業務を担えることから、店舗の状況に応じた柔軟な配置が可能です。
- ピーク時や急な欠員時における対応力が高まり、日本人従業員は専門性の高い業務に専念でき、生産性向上につながります。
- 異文化背景を持つ人材の参画により、新メニュー開発や接客サービスの改善につながる多様な視点が生まれます。
- 多言語対応が可能な人材の配置は、インバウンド顧客の満足度向上と新規顧客獲得に直結します。
- 特定技能2号への移行により在留上限が撤廃され、家族帯同も可能となります。
- 長期的な雇用が見込まれることで、人材育成への投資効果を十分に回収でき、組織の安定性向上に寄与します。
外食業の分野で特定技能外国人材を受け入れることは、単なる人手不足の解消にとどまらず、企業の持続的な成長と競争力強化に多角的に貢献します。
参考: 外食業分野における 特定技能外国人制度について|農林水産省

特定技能外国人材受入れにおける課題と対応策

特定技能「外食業」の外国人材受入れは多くのメリットをもたらしますが、同時に企業側が認識し、適切に対応すべき注意点や課題も存在します。これらの課題を事前に理解し、解決策を講じることが、外国人材の円滑な受入れと定着に不可欠です。
支援制度の実施
特定技能1号の外国人材を受け入れる企業は、外国人材が安定して円滑に職業生活・日常生活・社会生活を送れるよう、法務省令で定められた10項目の「義務的支援」を実施する必要があります。この支援は、外国人材の「安定した就労」の確保とともに、日本社会に「円滑に適応し生活する」ことを目的としています。
義務的支援の主な内容は以下の通りです。
1. 事前ガイダンスの実施 | 労働条件、活動内容、入国手続き、保証金の有無などについて、雇用契約締結後かつ入国管理局への申請前に、外国人材が理解できる言語で対面またはビデオ通話により説明します(約3時間が推奨されます)。 |
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2. 出入国時の送迎 | 入国時は空港から事業所や住居まで、出国時は空港の保安検査場までの送迎が義務付けられています。 これらの費用は受け入れ機関が負担します。 |
3. 住居確保・生活に必要な契約支援 | 連帯保証人になることや社宅の提供、銀行口座の開設、携帯電話・公共料金契約の案内・補助などが含まれます。 居住スペースは一人当たり7.5平方メートル以上が目安とされています。 |
4. 生活オリエンテーション | 日本のルールやマナー、公共機関の利用方法、相談窓口、防災・防犯、法的保護などについて、入国後速やかに、理解できる言語で説明します(8時間以上が推奨されます)。 |
5. 公的手続き等への同行 | 住民登録、社会保険、税金などの各種手続きに同行し、必要に応じて書類作成の補助を行います。 |
6. 日本語学習の機会の提供 | 日本語学校の情報提供、教材の提供、オンライン講座の案内、日本語講師の手配などが含まれます。 |
7. 相談・苦情への対応 | 職業生活・日常生活・社会生活に関する相談や苦情に、理解できる言語で対応し、必要な助言や指導を行います。 労働基準監督署や入管への案内・同行も含まれます。 少なくとも週3日以上、かつ土日いずれか1日以上、勤務時間外にも相談対応が可能な体制が求められます。 |
8. 日本人との交流促進 | 地域行事や自治会活動の情報提供、参加支援、同行などを行います。 |
9. 転職支援(人員整理等の場合) | 企業都合による雇用契約の解除があった場合、次の就職先の情報提供、ハローワーク等への案内・同行、推薦状の作成、求職活動のための有給休暇の付与などを行います。 |
10.定期的な面談・行政機関への通報 | 支援責任者等が外国人材およびその上司と3カ月に1回以上面談を実施し、労働法令違反等があれば関係行政機関に通報します。 |
これらの支援を企業が自社で全て実施することは、特に中小企業にとって人的・時間的・金銭的に大きな負担となります。そのため、専門知識と多言語対応能力が求められるこれらの支援業務を「登録支援機関」に委託することが一般的です。登録支援機関に全て委託した場合、受け入れ企業は支援体制の基準を満たしているものとみなされます。
参考:1号特定技能外国人支援・登録支援機関について | 出入国在留管理庁
在留資格申請手続き
特定技能の在留資格の取得、更新、変更に関する手続きは非常に複雑であり、多岐にわたる書類の準備と提出が求められます。申請書類には、外国人材に関するもの(申請書、写真、技能試験・日本語試験の合格証明書、健康診断書など)と、受け入れ企業に関するもの(雇用契約書、支援計画書、登記事項証明書、決算書類、協議会構成員証明書、営業許可証など)があります。特に、海外から外国人材を招へいする場合には、在留資格認定証明書の交付申請からビザ取得、入国までの一連の流れに多くの時間と手間がかかります。
こうした複雑な申請手続きは、担当者の時間的コストに加え、書類不備や誤記による申請の遅延・不許可、さらには不法就労助長罪に問われるリスクにも直結します。これらを企業が自社のみで対応することは、大きな負担となるのが実情です。
そのため、行政書士や登録支援機関など、在留資格申請に精通した専門家の活用が、手続きの確実性と効率性を高める上で非常に有効です。専門家は最新の法令に基づいて適切な書類作成と申請をサポートし、ミスのない申請プロセスを支援します。
言語・文化の違い
特定技能外国人には、JLPT N4以上の日本語能力が求められていますが、ネイティブレベルではないため、複雑な指示や微妙なニュアンスの伝達、詳細な質疑応答が難しい場合があります。また、日本特有の「空気を読む」文化や時間感覚、上下関係、宗教上の配慮など、文化や習慣、価値観の違いにより、予期せぬ摩擦が生じることもあります。さらに、クレーム対応によるストレスや、教育・研修の不足が、外国人材の早期離職につながる可能性もあります。
こうしたコミュニケーション上の課題を放置すると、業務上の誤解やトラブル、外国人材の孤立、さらには離職の原因となり、モチベーションの低下やストレスの増大、定着率の悪化を引き起こします。これは、企業が採用や教育にかけたコストの損失にもつながります。
したがって、積極的なコミュニケーション支援は、外国人材の職場適応を促し、安心感や帰属意識を高めることで、定着率の向上と長期的な労働力確保に寄与します。さらに、円滑なコミュニケーションは業務効率の向上やミスの削減、生産性向上にもつながるでしょう。
具体的な対策として、以下のような取り組みが挙げられます。
- 「やさしい日本語」の活用
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短く、わかりやすい言葉で話すことを心がけましょう。専門用語や業界用語を避け、ゆっくり明確に伝えることが大切です。必要に応じてジェスチャーやボディランゲージも効果的です。
- 視覚ツールの導入
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マニュアルに写真やイラストを多用したり、動画マニュアルを活用するなど、視覚的な情報により言語の壁を越えた理解を促進します。
- 日本語教育機会の充実
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社内での日本語研修、eラーニング、国際交流基金による日本語教育プログラムの活用など、外国人材が希望する学習環境の整備が重要です。
- 異文化理解研修の実施
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日本人スタッフに対し、外国人材の出身国の文化・習慣・価値観について学ぶ機会を提供し、相互理解を深めます。
- 母国語でのサポート体制
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重要な業務内容や指示は、翻訳ツールや通訳を活用して母国語で伝えられるようにします。AI文化翻訳アプリ「ChatBridge」などを活用することで、文化的なニュアンスにも配慮した翻訳が可能です。
- メンター制度の導入
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日本人スタッフが外国人材の相談役として、仕事や生活面でサポートする体制を整えることで、心理的な安心感を提供します。
- 定期的な面談とフィードバック
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定期的に面談を実施し、外国人材の懸念や不満を早期に把握・対応する体制を整えます。
コミュニケーション課題への対応は、単なる「問題解決」にとどまらず、外国人材の「定着率向上」や「生産性向上」といった、企業経営に直結する重要な「投資」であると言えるでしょう。
転籍リスク
特定技能外国人は、技能実習生とは異なり、同一産業分野内での転職(転籍)が認められています。これは外国人材の権利保護の観点から重要な制度上の変更ですが、企業にとっては、より良い条件や環境を求めて人材が流出するリスクを意味します。特に地方の中小企業においては、都市部や好条件の企業へ人材が流れる可能性が高いと指摘されています。
今後、育成就労制度の導入により、外国人材の転籍がさらに柔軟になることが予想され、特定技能制度にも影響を与えると考えられます。これにより、企業には外国人材の「定着」に向けた取り組みがより一層求められることになります。単に雇用するだけでなく、「選ばれ続ける職場」であるための努力が不可欠です。
企業が外国人材の採用・教育に投じる初期コスト(約50万円〜100万円)を回収するためには、長期的な定着が前提となります。したがって、転籍リスクを低減する取り組みは、この投資を守るための「予防策」として極めて重要です。
対応策としては、以下のような点が挙げられます。
- 魅力的な労働条件の提示
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労働基準法の遵守はもちろん、日本人と同等以上の給与水準、適切な休日、充実した福利厚生、明確なキャリアパスを提示することが求められます。
- 良好な人間関係の構築
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国籍にかかわらず、誰もが快適に働ける職場環境づくりが重要です。異文化理解やコミュニケーションに関する研修の導入も有効です。
- 公正な評価制度の整備
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努力や成果が正当に評価され、昇給・昇進につながる制度を構築することが、外国人材のモチベーション維持に直結します。特定技能2号への移行支援もその一環となります。
- 定期的な面談・相談体制の整備
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外国人材の悩みや不安に耳を傾け、問題を早期に発見・解決できる体制を整えることが不可欠です。必要に応じて、母国語での相談対応も有効です。
転籍の自由化は、企業にとって「人材育成と定着への投資」の重要性を一層高める要因となります。魅力的な労働環境と明確なキャリアパスの提供は、単なる福利厚生ではなく、企業の経営戦略における必須要素として位置づけるべきでしょう。
法令遵守の徹底
特定技能外国人を受け入れる企業は、日本の労働関係法令、社会保険制度、税法などを厳格に遵守・監督する必要があります。これらの義務を怠ると、罰則や事業停止、外国人材の受け入れ停止といった重大な法的リスクを負うことになります。
以下に、主な遵守事項を示します。
項目 | 概要 |
---|---|
報酬 | 日本人が従事する場合と同等以上の報酬を支払うことが義務付けられています。 |
社会保険 | 健康保険、厚生年金、雇用保険、労災保険への加入が必要です。 |
協議会加入義務 | 外食業分野の受け入れ機関は、農林水産省などが設置する「食品産業特定技能協議会」の構成員になることが義務付けられており、協議会への協力も求められます。 |
不法就労助長罪の厳罰化 | 育成就労制度の創設に伴い、不法就労助長罪の罰則が強化される予定です(懲役5年以下または罰金500万円以下)。 企業は、外国人材に在留資格で認められていない業務を行わせないよう、業務範囲の確認と社内での情報共有を徹底する必要があります。 |
コンプライアンスは、単なる「守るべきルール」ではなく、企業の「事業継続性」に直結する極めて重要な要素です。特に外国人材の雇用においては、日本人雇用以上に複雑な法規制が関係するため、専門的な知識と継続的な情報収集が不可欠となります。
法令遵守を徹底することで、企業は法的リスクを回避するとともに、外国人材が安心して働ける職場環境を提供することができます。
特定技能外国人材の採用から就労までの流れ

特定技能の在留資格を申請する際、外国人材が「国外にいる場合」と「日本国内に在留している場合」とで、手続きや必要書類が異なります。以下、それぞれの流れを解説します。
技能測定試験、および日本語能力試験(JFT-BasicまたはJLPT N4)に合格する必要があります。なお、外食分野の技能実習2号を「良好に修了」した場合、これらの試験は免除されます。
対象者と雇用契約を結び、特定技能1号の場合には支援計画を策定・実施します。
受入れ企業が、外国人材の代理人として地方出入国在留管理局に申請を行います。
要件を満たしていると判断されれば、出入国在留管理庁から在留資格認定証明書が交付されます。証明書の有効期間は発行日から3か月以内で、この期間内に入国しなければなりません。
外国人材は証明書を持参し、本国の日本大使館または領事館で就労ビザを申請します。発給には数営業日を要するのが一般的です。ビザが発給された後、入国時に空港で在留カードが交付され、正式に就労を開始できます。
すでに日本に在留している外国人(例:留学生、技能実習生など)でも、特定技能へ在留資格を変更する場合には原則として技能試験および日本語試験の合格が必要です。技能実習2号修了者はこれらの試験が免除されます。
海外から招聘する場合の手順と同様。
受入れ企業が、外国人材の代理で地方出入国在留管理局へ申請を行います。標準的な処理期間は2週間〜1ヶ月程度とされています。
審査が完了し、許可が下りれば、新しい在留カードが交付され、特定技能外国人としての就労が正式に開始されます。
在留資格の申請手続きは、多くの書類や細かい規定が関わるため、書類不備や記載ミスが申請不許可の原因となることがあります。特に初めて外国人材を受け入れる企業にとっては、手続きの煩雑さが大きな負担となる可能性があります。このようなリスクを避けるためにも、専門の代行業者等に手続きを委託することが推奨されます。適切な支援を受けることで、スムーズな人材受け入れと安定した雇用環境の構築が可能になります。

MWO申請|特定技能フィリピン人の受け入れのために

特定技能の分野でフィリピン人人材を雇用する場合、ここまで考慮した点とは別に、MWOへの申請も必須となります。
以前はPOLOという名称で知られていたMWOは、フィリピンのDMW(移住労働者省)の海外出先機関であり、日本では東京と大阪にMWOが設置されています(駐日フィリピン共和国大使館・総領事館内)。
DMWとMWOはフィリピン人労働者の権利保護、福祉の向上、海外雇用の促進と管理を一元的に行うことを目的としています。そのため、特定技能「外食業」でフィリピン人を採用する際にも、MWOへの申請が義務付けられています。
MWOへの申請手続きは、一般的に以下の流れで進みます。
まず必要な申請書類や資料を準備し、MWO(東京または大阪の事務所)に送付(郵送)します。
次に、MWOによって提出された書類に基づいて審査が行われ、雇用契約の内容などが適切であると判断されれば、フィリピン政府から正式な承認の印とも言える認証が得られます。この承認によって、フィリピン人人材の募集活動が行えるようになります。
フィリピン人人材の募集を行い、採用・雇用契約を結びます。
フィリピン本国のDMWへのOEC申請などは、契約した現地の送り出し機関を介して行いますが、日本のMWO事務所への申請や申し込みは受入れ先が行わなければなりません。
このMWOへの申請は非常に複雑であるため、時間と手間を省きながら採用を確実なものにするためにも、専門の代行業者を利用することが一般的です。
参考:フィリピン国籍の方々を特定技能外国人として受け入れるまでの手続の流れ|法務省

まとめ:特定技能「外食業」で持続可能な店舗運営を

外食業が直面する深刻な人手不足は、特定技能制度の活用によって大きく改善される可能性を秘めています。特定技能外国人材は即戦力として幅広い業務に対応し、教育コストを抑えながら、職場の活性化や顧客対応力の向上にも貢献します。特定技能2号への移行は、外国人材の長期雇用を可能にし、企業の持続可能な人材戦略の要となるでしょう。
特定技能制度は、外食業の喫緊の人手不足を解消するだけでなく、長期的な人材確保と店舗運営の安定化にも寄与します。これは単なる労働力確保にとどまらず、企業の生産性向上やサービス品質の維持・向上、さらには顧客満足度と売上増加にもつながります。したがって、特定技能制度の活用は、外食業の未来を見据えた「戦略的投資」であると言えるでしょう。
しかしその申請や手続きには多くの専門的知識が求められます。コンプライアンスと個人情報保護の観点からも、専門の業者の助けを借りることをためらわないでください。
特にフィリピン人人材を受け入れる際には、国内への手続き以外に、MWOへの申請も必須となります。MWO申請は複雑で手続きも面倒であるため、ぜひ専門の代行業者の利用を検討なさって下さい。
MWO申請サポートでは皆様のニーズに応じた、様々なサポートプログラムを提供しています。
まずは一度、お気軽にご相談ください。
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