「飲食料品製造業」の人材不足を解決!特定技能外国人の採用ガイド完全ガイド

日本は現在、急速な少子高齢化と労働人口の減少という構造的な課題に直面しており、その影響で多くの産業分野で人手不足が深刻化しています。とりわけ国民の「食」を支える飲食料品製造業では、労働力の確保が喫緊の課題です。
そうした中で人材確保の新たな手段として注目されるのが、特定技能制度です。
本記事では、「飲食料品製造業」分野にスポットをあて、特定技能制度の概要から採用の具体的な流れ、受け入れに必要な要件などの必要な情報・方法を網羅的に解説します。
ぜひ参考になさってください。
飲食料品製造業を支える特定技能制度とは?

2019年4月1日に創設された在留資格「特定技能」は、深刻な人手不足に直面する産業分野で、生産性向上や国内人材確保策を講じてもなお労働力が不足する場合に、即戦力となる一定の専門性・技能を有する外国人を受け入れる制度です。この制度は単なる臨時補充に留まらず、長期的に産業を支える恒久的な労働力として外国人材を位置づける国家戦略の転換を意味します。
特定技能1号・2号の違い
特定技能制度には、技能水準や在留期間、家族帯同の可否などが異なる「特定技能1号」と「特定技能2号」の二つの区分があります。
区分 | 技能水準 | 在留期間 | 家族帯同 |
---|---|---|---|
1号 | 相当程度の知識・経験が必要 | 通算最長5年(更新・再取得不可) | 原則不可 |
2号 | 熟練した技能が必要 | 上限なし・更新可能 | 可能(家族滞在) |
飲食料品製造業分野の2号追加の2号追加
令和5年6月9日の閣議決定により、同年8月31日から「飲食料品製造業分野」も特定技能2号の対象に追加されました。これにより、熟練度の高い人材を長期的に受け入れやすくなり、現場管理や指導役としての活躍が期待されます。
企業としてはまず1号対象者の外国人材を受け入れ、必要に応じて2号への以降を支援すると良いでしょう。
飲食料品製造業分野の業務内容と対象範囲

特定技能「飲食料品製造業」の在留資格で従事できる業務内容は、法令によって明確に定められています。飲食料品製造業では、酒類を除く食品の加工や安全衛生管理などを主な業務として務めることができます。
特定技能1号で従事できる業務内容
特定技能1号では、飲食料品の製造・加工に必要な基本的な技能を有する人材を受け入れます。長期在留ではないものの、現場の主力として生産ラインを支える役割を担います。
- 食品の下ごしらえ(洗浄、カットなど)
- 原料の調合・成形
- 加熱・殺菌
- 包装・梱包
- 衛生管理(作業者の手洗い指導、消毒作業)
- 機械点検・安全確認
特定技能1号の外国人は、原材料の下ごしらえから包装まで、生産工程全般に従事します。
- 原料の受入検査(異物混入チェック)
- 製品の出荷準備(ラベル貼付、集荷業務)
- 作業場の清掃・整理整頓
- 廃棄物処理・リサイクル対応
現場業務を円滑に進めるためのサポート業務です。
特定技能2号で従事できる業務内容
特定技能2号は、より高い熟練度を求められる技能を持つ人材を対象にしています。管理業務の補助など、現場全体の品質向上や安全確保に関与し得る業務にも対応します。
- 食品の下ごしらえ、調合、成形から包装まで
- 加熱・殺菌
- 衛生管理全般
- 機械点検・安全確認
- 品質管理・安全管理の補助(記録管理、チェックリスト作成など)
1号の業務に加え、品質管理や安全管理の補助業務を行います。
- 原料の受入検査、出荷準備
- 作業場の清掃・整理整頓
- 廃棄物処理・リサイクル対応
- 生産進捗管理、指導補助
業務改善や指導補助にも携わります。
対象事業所
この制度の対象となる事業所は、日本標準産業分類に基づき以下の通りです。
分類・細分類 | 説明 |
---|---|
中分類09「食料品製造業」 | 総合的な食品加工を行う工場 |
中分類101「清涼飲料製造業」(酒類を除く) | 飲料製造ラインを持つ企業 |
中分類103「茶・コーヒー製造業」 | 加工・焙煎を行う企業 |
中分類104「製氷業」 | 氷製造設備を保有する事業所 |
細分類5861「菓子小売業」、5863「パン小売業」、5897「豆腐・かまぼこ等加工食品小売業」 | 製造から販売までを一貫して行う店舗・施設 |
対象外業務
以下の業務は特定技能「飲食料品製造業」の範囲外です。法律で明確に除外されています。
- 酒類製造業
- 飲食料品小売・卸売業(酒類含む)
- 塩製造業
- 医薬品・香料製造業
- ペットフード製造業
これらの取り決めは、制度の目的外利用や不適切な労働慣行を防ぐための重要な規制です。企業がこれらの規定を遵守しない場合、不法就労助長罪などの罰則の対象となる可能性があり、外国人材の在留資格の取り消しに繋がることもあります。受け入れ企業は採用前に業務内容を厳密に確認し、法令違反のリスクを回避なさってください。
参考:
特定技能1号の各分野の仕事内容(Job Description) | 出入国在留管理庁
特定技能2号の各分野の仕事内容(Job Description) | 出入国在留管理庁
飲食料品製造業分野における特定技能外国人の現状と動向

飲食料品製造業は、特定技能制度における最大の受け入れ分野のひとつです。2023年12月末時点において、同分野で在留する特定技能1号外国人の数は61,095人に達し、全特定技能外国人(208,462人)のうち約29.3%を占めています。分野別では最多となっており、当該業界における外国人材への依存度の高さを如実に示すものです。同時に、制度導入から5年を経て、すでに受け入れ体制が相当に整備されてきたこともうかがえます。
国別ではベトナムがトップで、次いでインドネシア、中国、ミャンマー、フィリピンとなっています。受け入れている都市別では愛知県、埼玉県、東京都、茨城県、千葉県など、主に大都市圏やその周辺地域に集中しています。これらの地域は製造拠点が多く、特定技能人材の受け入れ先として需要が極めて高いことが読み取れます。
特定技能の外国人自在を受け入れるに当たっては、文化や言語に配慮した支援体制の構築が、採用後の定着と生産性向上にとって重要な要素となります。さらにすでに多くの人材が就労している地域のネットワークを活用することで、受け入れ側の負担を軽減することもできるでしょう。

特定技能「飲食料品製造業」の受け入れ要件

特定技能の外国人材を受け入れるには、採用する企業、対象者ともに、満たすべき要件が定められています。
受け入れをスムーズに進めるためにも、以下の内容をしっかりチェックなさってください。
受入れ企業側の主な要件
特定技能外国人を受け入れる企業(特定技能所属機関)には、法令遵守と外国人材への適切な支援を確保するため、以下の義務が課されています。これには厚生労働省が所管する労働関係法令の遵守も含まれており、労働条件の明示や安全衛生対策の実施が重要視されています。これらを履行することで、制度の適正運用と外国人材の安定的な就労環境が維持されます。
下の一覧と内容を、前もってしっかり確認なさってください。
項目 | 具体的内容 | 参考リンク |
---|---|---|
雇用契約の適切性 | 外国人材との雇用契約が日本人と同等以上の報酬額であること 労働時間や休憩 休日などの労働条件が法令に適合していること | 受入れ機関の方 | 出入国在留管理庁 |
支援計画の策定と実施 | 特定技能1号外国人向けに10項目を含む支援計画を作成し、自社または登録支援機関で実施すること | 1号特定技能外国人支援・登録支援機関について | 出入国在留管理庁 |
各種届出の実施 | 在留資格取得・更新・変更・終了に係る届出 支援計画実施状況の報告 雇用契約内容変更の届出等 | 特定技能外国人の受け入れる際のポイント(出入国在留管理庁) |
機関自体の適切性 | 過去5年以内に出入国管理法や労働法令違反がないこと 禁錮以上の刑を受けた者が機関運営に関与していないこと | 特定技能外国人の受け入れる際のポイント(出入国在留管理庁) |
登録支援機関の活用
受け入れ機関は、特定技能1号外国人への支援計画の実施を、全てまたは一部を「登録支援機関」に委託することが可能です。支援をすべて登録支援機関に委託した場合、受け入れ機関は支援体制が整っているとみなされます。
参考:1号特定技能外国人支援・登録支援機関について | 出入国在留管理庁
評議会への加入義務
飲食料品製造業分野で特定技能外国人を受け入れる事業者は、「食品産業特定技能協議会」への加入が義務付けられています。
協議会の役割は、制度の目的普及や法令遵守の推進、地域の人手不足状況の把握・分析、そして特定の地域や業種に過度に人材が集中することを避けるための対策検討など、多岐にわたります。これは過去に技能実習制度で問題視された不正行為を防ぎ、外国人労働者の適切な保護を図るための重要な監督体制の一環です。
これらの義務を怠ると、所属機関としての登録取り消しや改善命令などの行政処分を受けるおそれがあります。また、支援業務を登録支援機関に委託した場合でも、最終的な責任は所属機関にありますので、内部チェック体制の整備が重要です。
参考:食品産業特定技能協議会(飲食料品製造業分野・外食業分野)について:農林水産省
外国人材が満たすべき要件
特定技能外国人として日本で就労するには、以下の要件を満たす必要があります。
- 素行
- 過去に不法残留や強制退去などの出入国・労働法令違反がないこと。
- 年齢(試験受験時)
- 多くの試験実施団体では受験可能年齢を18歳以上としているため、原則として18歳以上であることが求められます。法令上の年齢制限は明文化されていませんが、実務上は18歳未満の受験・就労例はほとんどありません。
- 技能試験
- 【1号】従事予定の業務区分に対応する特定技能1号評価試験に合格すること。試験は学科と実技で構成され、試験実施団体が定める日本語または現地語で実施されます。
- 【2号】各分野の特定技能2号評価試験に合格するか、または同等の技能検定1級を取得すること。
- 日本語能力
- 【1号】業務・日常生活上必要な日本語力を証明するため、JLPT N4以上、またはJFT‑Basic A2以上の合格が必要。
- 【2号】日本語試験による要件はありません。
- 技能実習2号修了者の特例
- 技能実習2号を良好に修了した者は、一定の条件を満たした場合に上記の技能試験および日本語テストが免除されます。

特定技能人材の採用から就業開始までの流れ

特定技能の在留資格を申請する際、外国人材が「国外にいる場合」と「日本国内に在留している場合」とで、手続きや必要書類が異なります。
(在留資格認定証明書交付申請)
技能測定試験、および日本語能力試験(JFT-BasicまたはJLPT N4)を受験・合格する必要があります。なお、本分野の技能実習2号を「良好に修了」した場合、これらの試験は免除されます。
対象者と雇用契約を結び、支援計画を策定・実施します。
受入れ企業が、外国人材の代理人として地方出入国在留管理局に申請を行います。
要件を満たしていると判断されれば、出入国在留管理庁から在留資格認定証明書が交付されます。証明書の有効期間は発行日から3か月以内で、この期間内に入国しなければなりません。
外国人材は証明書を持参し、本国の日本大使館または領事館で就労ビザを申請します。発給には数営業日を要するのが一般的です。ビザが発給された後、入国時に空港で在留カードが交付され、正式に就労を開始できます。
(在留資格変更許可申請)
すでに日本に在留している外国人(例:留学生、技能実習生など)でも、特定技能へ在留資格を変更する場合には原則として技能試験および日本語試験の合格が必要です。試験は全国各地で定期的に開催されています。また、技能実習2号修了者はこれらの試験が免除されます。
海外から招聘する場合の手順と同様。
受入れ企業が、外国人材の代理で地方出入国在留管理局へ申請を行います。標準的な処理期間は2週間〜1ヶ月程度とされています。
審査が完了し、許可が下りれば、新しい在留カードが交付され、特定技能外国人としての就労が正式に開始されます。
在留資格の申請手続きは、多くの書類や細かい規定が関わるため、書類不備や記載ミスが申請不許可の原因となることがあります。特に初めて外国人材を受け入れる企業にとっては、手続きの詳細が大きな負担となる可能性があります。このようなリスクを避けるためにも、専門の代行業者等に手続きを委託することが推奨されます。適切な支援を受けることで、スムーズな人材受け入れと安定した雇用環境の構築が可能になります。
特定技能1号の取得ルート
特定技能1号の資格を取得するには、以下の2つのルートがあります。
ルート1:技能実習2号からの移行(同分野・異分野)
既に日本に在留し、技能実習を修了した外国人材が対象です。
- 同分野での移行(飲食料品製造業)
-
飲食料品製造業で技能実習2号を良好に修了した場合、技能測定試験と日本語試験の双方が免除されます。
日本での生活経験や職場環境への適応度が高く、即戦力となることが期待されるため、多くの企業がこのルートを活用しています。試験免除により採用手続きも簡素化されるため、企業側の負担軽減にもつながります。 - 異分野からの移行
-
別の分野で技能実習2号を修了した外国人についても、飲食料品製造業の技能測定試験に合格すれば、日本語試験は免除されます。
ルート2:試験ルート(技能測定試験、日本語能力試験)
技能実習の経験がない外国人が特定技能1号を取得するには、以下の2つの試験に合格する必要があります。
- 技能測定試験
-
- 実施主体は一般社団法人外国人食品産業技能評価機構(OTAFF)です。
- 試験内容は、食品安全・品質管理・労働安全衛生に関する基礎知識の筆記、計画立案を含む実技問題などで構成されており、試験言語は日本語です。
- 試験日の年齢要件は満17歳以上とされ、日本国内で受験する場合は有効な在留資格が必要です。
- 合格基準は100点満点中65点以上と定められています。
- 日本語能力評価試験
-
- 日本語能力試験(JLPT)でN4以上、またはJFT-BasicでA2レベル以上が必要です。
- JLPT N3合格者は当然N4以上の基準を満たすことになります。
特定技能2号の取得ルート
特定技能2号は、より熟練した技能を持つ外国人材を対象とした制度です。以下の2要件を満たすことが求められます。
- 技能試験の合格
-
- 飲食料品製造業分野の特定技能2号技能測定試験に合格する必要があります。
- 実施主体はOTAFFです。
- 実務経験
-
- 飲食料品製造業において、技能実習生やパートタイマー、特定技能外国人など複数の作業者を指導し、工程を管理した経験が2年以上必要です。
- 「指導」にはリード・教育が含まれ、「工程管理」はライン長やチームリーダーの役割を指します。
試験内容は実技・筆記試験で構成されており、品質・納期・コスト管理など、より高度な管理職水準の知識を問うものとなっています。日本語のみで出題され、フリガナの記載はありません。合格率は50%台後半とされ、特定技能1号と比べてやや難易度が高くなっています。
2号の取得は単なる作業従事ではなく、現場リーダーとしての定着やキャリア形成を見据えた選択肢となっています。企業にとっては、育成した人材を戦力化する絶好の機会であり、長期的な人材投資にもつながります。

【重要】技能実習制度から育成就労制度への移行と特定技能制度への影響

日本の外国人材受け入れ制度は、いま大きな転換期を迎えています。2024年6月21日に公布された「出入国管理及び難民認定法および技能実習制度に関する法律の一部改正」により、従来の技能実習制度は廃止され、新たに「育成就労制度」が創設されます。この新制度は公布から3年以内に施行される予定です。
育成就労制度の目的は、日本国内の人手不足分野において、人材の育成と確保を図ることにあります。就労を通じて技能を習得させる「育成就労産業分野」では、最長3年間の就労期間を経て、特定技能1号レベルの技能を持つ人材を育成することを目指します。
技能実習制度と比べて大きく異なる点は以下の通りです。
- 目的の違い
-
技能実習制度は「技能移転による国際貢献」が主な目的でした。対して育成就労制度は「人手不足分野における人材の育成と確保」を直接的な目的としています。
- 転籍の自由化
-
育成就労制度では、外国人本人の意思に基づき、一定の要件(同一職種、1~2年以上の就労期間、一定の技能・日本語能力)を満たせば転籍が認められます。これは技能実習制度で課題となっていた転籍制限を緩和し、外国人労働者の権利保護を強化するものです。
- 在留期間
-
原則として3年間の就労期間となり、特定技能1号水準の技能と日本語能力(A2相当以上、JLPT N4程度)の習得が求められます。
育成就労制度を修了すると、技能検定基礎級などの評価と、日本語試験合格を条件に特定技能1号への移行が可能です。
一方で、特定技能制度にも影響が及びます。特定技能1号外国人への支援は登録支援機関への委託が義務付けられ、新たに設立される外国人育成就労機構は育成就労外国人だけでなく特定技能1号外国人への相談・支援も担当します。
このように、育成就労制度への移行は外国人労働市場に大きな変化をもたらします。本人の意思による転籍が認められることで、企業間の人材獲得競争が激化する可能性があります。企業は賃金や労働環境、サポート体制、キャリアパスなどあらゆる面での競争力強化が求められるでしょう。
結果として、外国人材の囲い込みが難しくなり、より良い待遇を提供しなければ人材流出を招きかねません。この変化は、企業の外国人材戦略の抜本的な見直しを促す重要なトレンドと言えます。
参考:育成就労制度・特定技能制度Q&A | 出入国在留管理庁

成功事例に学ぶ:特定技能外国人の活躍と企業の成長

特定技能外国人材の受け入れに成功している企業には、共通して手厚いサポートと多文化共生への配慮があります。以下に具体例を紹介します。
- ワタミ株式会社の事例
ワタミ株式会社は弁当製造工場で、特定技能外国人の積極的な受け入れを進めています。東松山センターには、ベトナム人61名、カンボジア人3名を含む計64名が勤務中です。主に技能実習経験者を採用し、盛り付けや食材の運搬、検品といった業務に携わっています。
外国人スタッフは、まずは簡単な作業からスタートし、徐々に難しい業務へと段階的にステップアップしているのが特徴です。ベトナム語のマニュアルも用意されており、先輩技能実習生が後輩の指導にあたるなど、手厚いサポート体制が整っています。衛生意識の違いによる課題は、現場での指導や、通訳を交えた説明会で丁寧にカバーしているそうです。
さらに、月に一度、入社同期の外国人スタッフを対象に意見交換会を開催。通訳や担当者も参加し、気軽に相談できる場を設けています。日本人社員も積極的に外国人のサポートに取り組んでおり、良好な職場環境が築かれているのが伺えます。
特に注目したいのは、ベトナム出身のグェン・フエ・アンさんの事例です。彼女は留学時代にワタミでアルバイトを経験し、その後正社員として入社しました。現在は乳製品製造工場で機械オペレーターとして働き、周囲の丁寧な指導のおかげでスムーズに仕事を覚えています。将来的にはチームリーダーを目指し、特定技能2号の取得も視野に入れているとのこと。
参考:飲食料品製造業 ワタミ株式会社 「ワタミ手づくり厨房」 東松山センター|外国人材受入総合支援事業
- 株式会社焼津フーズの事例
冷凍・冷蔵マグロ製品の加工・販売を行う焼津フーズは2020年から外国人材の受け入れをスタートし、現在はミャンマー出身3名、ベトナム出身1名の特定技能外国人が現場で活躍しています。
彼らは主にマグロ製品の加工に従事していますが、日本語の聴解力が高いため、短期間の研修だけで即戦力となったそうです。刺身の調理など、文化的に馴染みの薄い作業も熱心にこなしていて、中には盛り付けまでできるようになった方もいます。
特にミャンマー出身のミイン・ゾウさんは、カツオ節製造の経験を活かしつつ、新たな技術の習得に意欲的に取り組んでいます。
職場では、プライベートへの過度な干渉を避けつつ、昼食を一緒にとるなど日本語力向上のためのコミュニケーションを大切にしています。将来的には工程管理やスーパーバイザーといった役割を任せることも視野に入れているそうです。
参考:株式会社焼津フーズ 受入事例 特定技能支援|飲食料品製造業分野・外食業分野
- ベトナム出身サンさんのキャリア事例
サンさんは2018年に技能実習生として来日し、シャッター施工に従事。コロナ禍で帰国困難となり、特定技能への資格変更を決断しました。
食品製造分野に進んだのはもともと興味があり、技能実習時代より給与が高く、家族への送金も継続可能な点が決め手だったそうです。未経験の仕事に最初は戸惑いましたが、同僚と相談できる環境で業務を楽しみ、上司からメンテナンス技術も学んでいます。約20名のベトナム人同僚がいて母国語で相談可能なため職場適応も順調です。
飲食料品製造業の特定技能2号対象追加を知り、取得を目標にしています。JLPT N3合格を目指し日本語学習を続け、将来的には日本で結婚・家庭を持ち、チームリーダーやマネージャーを目指しています。雇用主からは明るい性格と積極的なコミュニケーションが職場の雰囲気を良くしていると評価されています。
参考:「将来は特定技能2号を目指したい」技能実習を経て特定技能を取得したベトナム出身のサンさんが語る将来のキャリアとは | 外国人採用サポネット | マイナビグローバル
ワタミや焼津フーズの事例から学べるのは、外国人材に対する手厚いサポート体制と多文化理解が成功のカギだということ。入社後の段階的な業務習得や言語サポート、そして職場内でのコミュニケーション促進が、外国人材の早期戦力化と定着に大きく寄与しています。
またサンさんの事例からも、外国人材自身が将来的なキャリアアップを目指し意欲的に取り組む環境を整えることの重要性がうかがえます。企業が彼らの成長を支援し、長期的な視点で人材を育成していくことが、組織全体の生産性向上と持続的な成長に繋がるでしょう。
これらの成功事例は、特定技能制度がただ単に労働力を補うだけでなく、企業の競争力強化や職場環境の活性化にもつながることを示しています。
MWO申請|特定技能フィリピン人の受け入れのために

特定技能の人材を多く排出している国の一つが、フィリピンです。彼らは高いコミュニケーション能力や『出稼ぎ』に対する強い意識から、様々な分野で即戦力の労働力として活躍しています。
しかし特定技能の分野でフィリピン人人材を雇用する場合、ここまで考慮した点とは別に、MWOへの申請も必須となります。
以前はPOLOという名称で知られていたMWOは、フィリピンのDMW(移住労働者省)の海外出先機関であり、日本では東京と大阪にMWOが設置されています(駐日フィリピン共和国大使館・総領事館内)。
DMWとMWOはフィリピン人労働者の権利保護、福祉の向上、海外雇用の促進と管理を一元的に行うことを目的としています。そのため、特定技能でフィリピン人を採用する際にも、MWOへの申請が義務付けられています。
MWOへの申請手続きは、一般的に以下の流れで進みます。
まず必要な申請書類や資料を準備し、MWO(東京または大阪の事務所)に送付(郵送)します。
次に、MWOによって提出された書類に基づいて審査が行われ、雇用契約の内容などが適切であると判断されれば、フィリピン政府から正式な承認の印とも言える認証が得られます。この承認によって、フィリピン人人材の募集活動が行えるようになります。
フィリピン人人材の募集を行い、採用・雇用契約を結びます。現地の送り出し機関を通じた人材の紹介も行われています。
フィリピン本国のDMWへのOEC申請などは、契約した現地の送り出し機関を介して行いますが、日本のMWO事務所への申請や申し込みは受入れ先が行わなければなりません。
このMWOへの申請は非常に複雑であり、提出書類の形式や内容に不備があると差し戻されるケースもあるため、注意が必要です。そのため時間と手間を省きながら採用を確実なものにするためにも、専門の代行業者を利用することが一般的です。
参考:フィリピン国籍の方々を特定技能外国人として受け入れるまでの手続の流れ|法務省
まとめ:特定技能制度の活用で持続可能な食品産業へ

深刻な人手不足という構造的な課題に直面している飲食料品製造業にとって、外国人材の活用はまさに不可欠となっています。
特定技能制度はそのための非常に重要な枠組みであり、特定技能2号の対象分野に飲食料品製造業が追加されたという方針からも、国がこの分野における外国人材の長期的な定着とキャリアアップを強く推進していることを示しています。
しかし、この制度を用いて外国人材を採用するには、企業の側にも満たすべき様々な要件が存在します。そのため、登録支援機関や代行業者などの助けを借りることが、企業にとっては一番の近道と言えるでしょう。
特にフィリピン人人材を受け入れる際には、国内への手続き以外に、MWOへの申請も必須となります。MWO申請サポートでは皆様のニーズに応じた、様々なサービスや案内を提供しています。
まずは一度、お気軽にご相談ください。
\ ご相談はこちらから /