【分野別】自動車運送業の特定技能外国人|採用完全ガイド

2024年問題に象徴されるように、日本の自動車運送業は深刻な人手不足に直面しています。この状況を打開する一手として、2024年4月、在留資格「特定技能」の対象分野に「自動車運送業」が追加されました。これにより、一定の専門性・技能を持つ外国人材を、トラック・バス・タクシーの運転者として受け入れることが可能になったのです。
しかし、新しい制度であるため、「どのような人材を雇用できるのか?」「受入れ企業には何が求められるのか?」「手続きはどう進めれば良いのか?」といった疑問をお持ちの採用担当者の方も多いのではないでしょうか。
本記事では、自動車運送業分野における特定技能制度の全体像を、国土交通省や出入国在留管理庁の公表資料に基づき、網羅的に解説します。制度の基本から、対象業務、受入れの要件、必要な試験、具体的な申請手続きの流れまで、採用担当者が押さえるべき情報を詳しく見ていきましょう。
自動車運送業における特定技能制度の基本概要

まず、「特定技能」という在留資格の基本と、自動車運送業分野が追加された背景についての基本的知識をおさらいしておきましょう。
特定技能制度とは?人材不足解消の切り札
特定技能制度は、国内での人材確保が困難な産業分野において、一定の専門性や技能を持つ外国人材を受け入れるために2019年4月に創設された在留資格です。この制度は、深刻化する人手不足に対応するための実務的な政策手段と位置づけられています。
制度の特徴としては、受入れ分野で即戦力として活躍できる水準の技能や知識を有する外国人材を対象としている点が挙げられます。そのため、外国人は分野ごとの技能評価試験と日本語能力試験に合格する必要があります。
企業側にとっては、採用後すぐに現場で活躍できる人材を確保できるため、教育コストや育成時間を大幅に削減できる点もメリットです。
2024年から追加された「自動車運送業」分野
自動車運送業界では、長年にわたってドライバーの高齢化や若年層の入職者減少により、慢性的な人手不足が続いています。
さらに、2024年4月から適用された「働き方改革関連法」により、トラック運転者の時間外労働が年間960時間に制限されました。これにより輸送能力の低下が懸念される、いわゆる「2024年問題」が顕在化し、社会インフラとしての物流維持が大きな課題となっています。
このような背景から、2024年3月29日の閣議決定において、自動車運送業が特定技能の対象分野に追加されました。その後、制度の詳細な運用方針が2024年4月に策定され、同年12月より受入れが正式に開始されています。
この制度は、自動車運送業界の持続可能性を確保し、国民生活や経済活動に不可欠な物流・人流サービスを維持するための重要な一歩と位置づけられています。
参考:「自動車運送業分野における特定技能の在留資格に係る制度の運用に関する方針」に係る運用要領|各関連省庁
特定技能1号と2号の違い
特定技能の在留資格には、「1号」と「2号」の2種類が設けられています。現時点で、自動車運送業は「特定技能1号」のみが対象です。将来的に「2号」への拡張も検討される可能性はありますが、当面は1号による受入れからのスタートとなります。
区分 | 特定技能1号 | 特定技能2号 |
---|---|---|
業務内容 | 相当程度の知識・経験を要する業務 | 熟練した技能を要する業務 |
在留期間 | 通算5年まで | 更新回数に制限なし |
家族の帯同 | 原則として不可 | 要件を満たせば可能 |
支援体制 | 受入れ機関または登録支援機関による支援が義務付け | 支援義務はなし |
移行要件 | ― | 1号修了後、より高度な試験合格で移行可能 |
【分野別】自動車運送業で特定技能外国人が従事できる業務

特定技能「自動車運送業」において外国人材が従事できる業務は、トラック・バス・タクシーによる旅客または貨物の自動車運送事業といった各分野ごとに、その範囲が明確に定められています。
トラック運送の運転業務
物流の根幹を担うトラック運転手は、貨物の集荷から配送までを担う重要な存在です。特定技能外国人としてこの業務に従事する場合、単に運転技術だけでなく、安全管理や貨物の取扱いに関する実務経験も求められます。日本各地へ荷物を届けるという社会的責任を果たす役割です。
- 主たる業務
トラック運転手区分では、以下の業務が主たる職務として位置づけられています。
- 車両の運行業務(運行前後の点検、安全な輸送の実施)
- 顧客の荷物の積込み・輸送・配送(集荷・納品)
- 走行記録・業務報告書などの作成
運転業務には、貨物の損傷や遅配を防ぐための適切な積付け・運搬スキルも含まれます。
- 関連業務(付随的に従事できる業務)
日本人トラックドライバーが日常的に行っている業務のうち、主たる運転業務に付随する作業であれば、特定技能外国人も対応可能です。具体的には次のような内容が含まれます。
- 車両の日常点検や簡易整備(タイヤ・灯火類・ブレーキ等)
- 荷崩れ防止のための積み込みサポート
- 荷降ろし作業や荷物の検品
- 運行記録の記載・書類の提出
- 車両の洗車や清掃
ただし、こうした関連業務のみに従事することは制度上認められていません。主たる業務である「貨物輸送」が中心であることが前提です。
トラック運転手区分では、安全な輸送と確実な業務遂行が求められます。特定技能外国人も、法令に基づいた運転資格を取得し、日本の物流を支える担い手の一員として働くことが期待されています。
バス(乗合・貸切)の運転業務
バス運転手として特定技能の在留資格で従事する外国人材は、公共交通や観光サービスの一端を担い、安全かつ快適な輸送を提供する役割を果たします。対象となるのは、一般乗合旅客自動車運送事業(いわゆる路線バス)や、一般貸切旅客自動車運送事業(観光バスなど)における業務です。単に運転するだけでなく、乗客への対応や車両の管理を含めた包括的な業務が求められます。
- 主たる業務
バス運転手が中心的に担うのは、以下のような運行および接遇に関する業務です。
- 車両の運行業務(出発前・終了後の安全点検を含む)
- 安全な乗降や輸送のための運転操作
- 乗務記録の作成や提出
- 車内アナウンスなどを含む乗客対応(接遇)
- 関連業務(付随的に従事できる業務)
主たる業務に関連して、日本人のバス運転手が通常従事する軽作業についても、対応することが可能です。以下は、実際に想定されている関連業務の例です。
- 車内清掃作業(座席・床面・窓ガラスの清掃など)
- 営業所構内の簡易な清掃
- 運賃の精算・日報等の事務処理
- その他、業務運行に必要とされる軽作業
ただし、これらの作業が主な業務となるような働き方、すなわち関連業務「のみ」に従事することは、制度上明確に禁止されています。あくまで中心は「運転業務」となります。
バス運転手区分では、安全運行と乗客対応を両輪とした業務が求められます。特定技能外国人も日本人と同様に、日常点検や接遇、記録管理などの責任を果たしながら、地域社会や観光産業に貢献していくことが期待されています。
タクシーの運転業務
タクシー運転手は、日常生活や観光、ビジネスの移動手段として欠かせない存在です。特定技能外国人がこの分野で働く場合、単なる運転技術だけでなく、接客マナーや地域の地理知識も重視されます。安全・快適な移動を提供する「移動のサービス業」と言えるでしょう。
- 主たる業務
タクシー運転手としての主な業務は以下のとおりです。
- 乗客の輸送業務(乗車地点から目的地までの安全な運転)
- 地理知識を活かした最適ルートの選択
- 乗降時の安全確認および車内案内
- 運賃メーターの操作・乗務記録の作成
特に都市部では、乗客のニーズに応じた柔軟な対応とスムーズな運行が求められます。
- 関連業務(付随的に従事できる業務)
主たる運転業務に加えて、日本人ドライバーが通常行っている次のような作業にも従事できます。
- 車両の点検・簡易整備(ライト、エンジン、ブレーキのチェック)
- 車両清掃(座席や床面、ガラスなど)
- 営業所での業務日報の提出、運賃清算
- 乗客の荷物の積み下ろしや目的地確認
もちろん、これらの作業が業務時間の中心となるような働き方は不可とされており、運転業務が主体である必要があります。
タクシー運転手区分では、地理力とコミュニケーション力が重要視されます。特定技能外国人も、第二種運転免許などの必要資格を取得した上で、乗客に信頼される運転サービスを提供する役割を果たします。
参考:特定技能1号の各分野の仕事内容(Job Description) | 出入国在留管理庁
特定技能外国人材を受け入れる企業の要件

外国人材を特定技能として受け入れるには、企業(特定技能所属機関)が法令を遵守し、安定的な雇用環境を整えていることが求められます。ここでは、自動車運送業分野における受入れ機関の要件を確認します。
所属機関に共通する基準
分野を問わず、特定技能所属機関には以下の共通基準が設けられています。
- 外国人との雇用契約が適切であること
-
外国人と締結する雇用契約の報酬額は、日本人と同等以上である必要があります。また、労働条件や福利厚生の面でも差別的な扱いは認められていません。
- 機関としての適格性があること
-
5年以内に出入国管理法や労働関係法令に関して不正行為がないこと、倒産状態にないことなどが求められます。
- 外国人を支援する体制を整えていること
-
支援責任者および支援担当者を社内で選任し、外国人材が安定して働ける環境をサポートする体制を設ける必要があります。
- 支援計画が適正であること
-
特定技能1号の外国人については、職業生活・日常生活・社会生活の支援内容を定めた「1号特定技能外国人支援計画」の作成・実施が義務付けられています。
これらの要件を満たしていなければ、特定技能所属機関としての認定は受けられません。
自動車運送業分野に特有の基準
上記の共通基準に加え、自動車運送業分野では国土交通省が定める独自の基準も満たす必要があります。
- 道路運送法に基づく事業者であること
-
特定技能所属機関は、道路運送法(昭和26年法律第183号)に定める一般貨物自動車運送事業、一般乗合旅客自動車運送事業、または第二種貨物利用運送事業を経営する者である必要があります。
- 特定技能協議会への加入
-
国土交通省が設置する「自動車運送業分野特定技能協議会」の構成員となり、必要な協力を行うことが義務付けられています。
- 安全性・職場環境の認証取得
-
次のいずれかの認証を受けていることが求められます。
- 日本海事協会の「運転者職場環境良好度認証制度」認証
- 全国貨物自動車運送適正化事業実施機関による「安全性優良事業所(Gマーク)」認定
- タクシー・バス分野への特別研修実施
-
タクシー運送業およびバス運送業の所属機関は、新任運転者研修(安全運行・接遇研修など)を必ず実施することが求められます。
参考:自動車運送業分野における特定技能外国人の受入れについて – 国土交通省
「1号特定技能外国人支援計画」の内容
所属機関は、1号特定技能外国人が安定的に活動できるよう、以下の支援項目を計画書に記載し、実施しなくてはなりません。
- 事前ガイダンス
- 出入国時の送迎
- 住居確保・契約支援
- 生活オリエンテーション
- 公的手続き同行
- 日本語学習機会提供
- 相談・苦情対応
- 日本人との交流促進
- 転職支援(解雇等の場合)
- 定期的面談・行政機関への通報
これらの支援は、在留資格「特定技能1号」の運用における基本的な要件として定められており、計画に明記した上で適切に履行されなければなりません。支援計画はすべて自社で行うか、後述する「登録支援機関」に委託することができます。
参考:1号特定技能外国人支援・登録支援機関について | 出入国在留管理庁

登録支援機関の役割と活用方法

受入れ機関は、1号特定技能外国人に対する支援計画の策定・実施が義務付けられていますが、自社だけで全業務をまかなうのは負担が大きいことも少なくありません。そこで、登録支援機関の活用が効果的です。
登録支援機関とは何か?
登録支援機関は、出入国在留管理庁長官の登録を受け、受入れ機関から委託された「1号特定技能外国人支援計画」のすべての業務を実施できる機関です。専門スタッフが、住居確保支援や契約手続きの代行、日本語学習機会の提供、さらには苦情対応まで、多岐にわたるサポートを担います。
- 業務負担の軽減
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事前ガイダンスや生活オリエンテーション、各種行政手続きの同行など、支援計画に定められた10項目すべてを委託できます。
- 専門性の確保
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外国人支援に精通したスタッフが対応するため、質の高いフォローが期待できます。
- 監督責任の継続
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支援を委託しても、受入れ機関の責任が免除されるわけではありません。定期的な支援実績報告の確認や、契約内容の履行状況のチェックが義務付けられています。
- 登録支援機関の一覧活用
登録支援機関の一覧は、出入国在留管理庁ウェブサイトで公開されています。契約前には複数機関を比較し、支援内容や費用、実績を十分に確認することが望ましいでしょう。
参考:
特定技能外国人受入れに関する運用要領|出入国管理庁
登録支援機関(Registered Support Organization) | 出入国在留管理庁
自動車 運送業の特定技能に求められる試験と日本語能力

特定技能1号の在留資格を取得するには、業務に必要な専門的知識・技能を測る「評価試験」と、円滑なコミュニケーションを担保する「日本語能力試験」の両方に合格しなければなりません。
評価試験(技能水準の証明)
この分野の評価試験は、一般財団法人日本海事協会(ClassNK)が、国土交通省監督の下で運営しています。
試験構成 | 学科試験:○×・択一式の筆記(安全運転・車両点検・貨物管理など)実技試験:運行前後の点検や安全運転操作を想定した判断問題 |
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合格基準 | 各科目60%以上の正答率で合格となります。 |
参考:自動車運送業分野特定技能試験|ClassNK Web Portal
日本語能力試験
業務上および日常生活上必要な日本語力を証明するため、以下いずれかの試験に合格しなければなりません。
国際交流基金日本語基礎テスト(JFT-Basic) | A2以上 |
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日本語能力試験(JLPT) | N4以上 |
JFT‑Basicは随時実施され、結果通知後すぐに要件を満たせます。JLPTは年2回(7月/12月)に全国で実施されます。
参考:
JFT-Basic 国際交流基金日本語基礎テスト
日本語能力試験 JLPT
試験免除ルートの現状
技能実習2号を良好に修了した者は、一部分野で評価試験と日本語試験の免除が認められます。しかし、自動車運送業は技能実習職種に含まれていないため、本分野で免除適用はされません。
将来的に制度改正がなされる可能性はありますが、現時点では全員が上記試験を受験する必要があります。

特定技能人材の採用から就業開始までの流れ

特定技能の在留資格を申請する際、外国人材が「国外にいる場合」と「日本国内に在留している場合」とで、手続きや必要書類が異なります。
(在留資格認定証明書交付申請)
技能測定試験、および日本語能力試験(JFT-BasicまたはJLPT N4)を受験・合格する必要があります。
対象者と雇用契約を結び、支援計画を策定・実施します。
受入れ企業が、外国人材の代理人として地方出入国在留管理局に申請を行います。
要件を満たしていると判断されれば、出入国在留管理庁から在留資格認定証明書が交付されます。証明書の有効期間は発行日から3か月以内で、この期間内に入国しなければなりません。
外国人材は証明書を持参し、本国の日本大使館または領事館で就労ビザを申請します。発給には数営業日を要するのが一般的です。ビザが発給された後、入国時に空港で在留カードが交付され、正式に就労を開始できます。
(在留資格変更許可申請)
すでに日本に在留している外国人(例:留学生、技能実習生など)でも、特定技能へ在留資格を変更する場合には原則として技能試験および日本語試験の合格が必要です。試験は全国各地で定期的に開催されています。
海外から招聘する場合の手順と同様。
受入れ企業が、外国人材の代理で地方出入国在留管理局へ申請を行います。標準的な処理期間は2週間〜1ヶ月程度とされています。
審査が完了し、許可が下りれば、新しい在留カードが交付され、特定技能外国人としての就労が正式に開始されます。
在留資格の申請手続きは、多くの書類や細かい規定が関わるため、書類不備や記載ミスが申請不許可の原因となることがあります。特に初めて外国人材を受け入れる企業にとっては、手続きの詳細が大きな負担となる可能性があります。このようなリスクを避けるためにも、専門の代行業者等に手続きを委託することが推奨されます。適切な支援を受けることで、スムーズな人材受け入れと安定した雇用環境の構築が可能になります。

成功事例に学ぶ!外国人材が活躍する運送現場のリアル

特定技能制度によって実際に外国人材を受け入れている企業の現場では、どのような変化が起きているのでしょうか。ここでは、受入企業と外国人ドライバー本人の生の声を紹介しながら、制度の実態と成果を読み解いていきましょう。
受入企業の声
- 九州地方の中型配送企業(物流業)
「登録支援機関経由でベトナム人ドライバーを3名採用しました。配達エリアを限定し、丁寧な運転研修を実施したことで、事故ゼロ・離職ゼロの定着率を実現。まじめで勤勉、日本人の若手よりも安定して勤務してくれています」
- 名鉄NX運輸(名古屋市)
2024年3月の制度対象追加を受け、同社はインドネシア人12名を採用。現地採用チームを立て、左側通行や右ハンドルなど日本の運転環境に近いという理由で選定されました。入社後は日本語マニュアル整備やOJT研修を実施しています。
参考:名鉄NX運輸、印尼特定技能ドライバー12人内定式 | LOGISTICS TODAY
- 両備グループ(バス事業者・岡山県)
2025年2月、全国初となる特定技能バス運転手として、インドネシア出身のイユスさんがデビューしました。受け入れを行った両備グループでは、イユスさんを含む新たな戦力の導入にあたって、国土交通省の標準マニュアルに基づいた「安全運行研修」を徹底。本人の適応力に加え、運行管理者や指導員との丁寧なコミュニケーションが実を結び、スムーズな現場デビューが実現しました。「今後も外国人材の受け入れを通じて、安全・安心な運行を支える体制を強化していきたい」と語っています。
参考:全国初!ニッコー観光バス外国人社員が特定技能1号評価試験(バス)に合格 | 両備グループ 公式サイト – Ryobi Group –
外国人ドライバーの声
- イユスさん(インドネシア出身/バス運転手)
「特定技能制度で日本に来ました。新任研修で接遇・安全運転を徹底的に学び、自信を持って乗務できています。乗客から『丁寧な運転ですね』と声をかけてもらえると、とても嬉しいです」
参考:全国初!ニッコー観光バス外国人社員が特定技能1号評価試験(バス)に合格 | 両備グループ 公式サイト – Ryobi Group –
現場の声から分かること
これらの実例から分かるように、特定技能制度による外国人材の受け入れは、単に人手不足を補うだけでなく、現場全体の士気向上や教育体制の見直しといった副次的効果も生んでいます。また、外国人材の真面目な勤務姿勢や安全意識の高さが、現場の信頼を獲得していることも明らかです。
MWO申請|特定技能フィリピン人の受け入れのために

特定技能の分野でフィリピン人人材を雇用する場合、ここまで考慮した点とは別に、MWOへの申請も必須となります。
以前はPOLOという名称で知られていたMWOは、フィリピンのDMW(移住労働者省)の海外出先機関であり、日本では東京と大阪にMWOが設置されています(駐日フィリピン共和国大使館・総領事館内)。
DMWとMWOはフィリピン人労働者の権利保護、福祉の向上、海外雇用の促進と管理を一元的に行うことを目的としています。そのため、特定技能でフィリピン人を採用する際にも、MWOへの申請が義務付けられています。
MWOへの申請手続きは、一般的に以下の流れで進みます。
まず必要な申請書類や資料を準備し、MWO(東京または大阪の事務所)に送付(郵送)します。
次に、MWOによって提出された書類に基づいて審査が行われ、雇用契約の内容などが適切であると判断されれば、フィリピン政府から正式な承認の印とも言える認証が得られます。この承認によって、フィリピン人人材の募集活動が行えるようになります。
フィリピン人人材の募集を行い、採用・雇用契約を結びます。現地の送り出し機関を通じた人材の紹介も行われています。
フィリピン本国のDMWへのOEC申請などは、契約した現地の送り出し機関を介して行いますが、日本のMWO事務所への申請や申し込みは受入れ先が行わなければなりません。
このMWOへの申請は非常に複雑であり、提出書類の形式や内容に不備があると差し戻されるケースもあるため、注意が必要です。そのため時間と手間を省きながら採用を確実なものにするためにも、専門の代行業者を利用することが一般的です。
参考:フィリピン国籍の方々を特定技能外国人として受け入れるまでの手続の流れ|法務省

まとめ:特定技能外国人で明るい未来を

自動車運送業分野への特定技能の追加は、深刻なドライバー不足に悩む事業者にとって、新たな人材確保の道を開く大きなチャンスです。即戦力となる運転者を国内外から採用できるこの制度は、事業の維持・拡大に大きく貢献するポテンシャルを秘めています。
しかしながら、その受入れプロセスは、遵守すべき法令や基準が多く、提出すべき書類も多岐にわたるため、企業が自力で行うには相当な時間と専門知識が必要となります。
特にフィリピン人人材を受け入れる際には、国内への手続き以外に、MWOへの申請も必須となります。MWO申請サポートでは特定技能のフィリピン人採用を検討している企業に向けた、様々なサポートプログラムを提供しています。
まずは一度、お気軽にご相談ください。
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